もんく [とある南端港街の住人になった人]

静かな横暴

夕食を終えてからカフェに来ている。

カフェなどと言うとだいたいスターバックスなどを想像する人が最近は多いかもしれないが、我が家はそんな店に長居できるほど裕福ではないのでマレーシア純正イポー出身のカフェ"オールドタウン"。

オールドタウンがどんなものか知らない人が多いと思うので説明すると、見た目はスターバックスとそれほど変わらないがメニューがマレーシアの古くからある(マレーシアにもマレーシアなりのカフェの文化があるのだ)いろいろになっていて値段はかなり安い。

例えばマレーシア特産ホワイト・コーヒーのホットを頼むとRM3.5(88円ほど)とあちらの何分の一の値段。(実は壁の無い店で同じものを注文するとその半額以下。)この店名物のカヤ・トースト(説明しないので検索のこと)だって1つでRM1.8(45円ほど)しかしない。

なのにこんなに明るいし冷房は効いている、清潔そうに見える、スピードは遅いけれどWifiは無料と至れり尽くせり。


で、カフェに来て何をしているかと言うと、特に何も。
何か考えたり考えなかったり。




そろそろマレーシアでの仕事も丸3年。

マレーシアでやっていると台湾で同じ事をしているよりも日本とのギャップを感じる部分が大きい。台湾の人達は日本人から見れば仕事をガリガリやるとは見えないようだけれども上昇志向がとても強い。要は日本人とやり方が違うだけでそれを日本人がわからないのだ。

マレーシアの人達の場合には一緒に仕事をしているとまるで1つの村の中でやっているように感じられる。上昇志向と言うよりも安定している事の方が重要のようだ。だから職務が違っても給料が大幅に違ってもそれはそれ。もちろん裏では穏やかでいられない部分も無いわけではないが、表面上は静かにしているのがモラル。


日本人はそれを"やる気"がどうのと評するけれども、どちらかと言えばその日本式評価の方がどうなのだろう?、と感じられる。

なぜなら日本的には給料以上の"がんばり"が評価の対象になっていて、例えばある程度個人の時間を犠牲にする事や無理をする事が暗に求められる。それが"やる気"の指標になっている。そう言う意味ではマレーシアの人達に対する日本人から見ての評価は一般に芳しいものにはならない。


もちろんその評価は現地採用で働く日本人、つまり自分にも適用されているわけだけだし、マレーシアの人達より経験が浅くとも給料は良いと思われているからさらに求められるものは大きい。けれども、前にも書いただろうか?、日本から来ている日本人は当たり前すぎて気づいていないのは、彼らにはその"がんばり"をするだけのメリットはあるが現地採用とマレーシアの労働者にはそれが無いと言う違いがあるのだ。

日本で採用されている日本人労働者は例えその場で給料が上がらないにしても、余程ヘマをしない限りにおいて長期雇用が半ば約束されている。だけれども現地採用の場合にはVISAに期限がある事もあって期間を決めた契約が存在するわけだから、給料は何をどうがんばってもそのままであるし半終身雇用にはなりようが無い。つまり彼らと同じメリットは無いにも関わらず、それと同じ"がんばり"を普通の事のように期待している。マレーシアの人達の場合は職位で給料が決まっていて、ある程度交渉の余地はありそうだけれども日本でのように自動的に毎年、と言う事は無い。しかも日本式なので良い仕事に対してその場で反映と言うのも無い。

だからと言ってそれをどうする事もできないが、日本人の(自動的に)思う"がんばり"が、世界の当たり前だと思うのは間違いなのだ。そう考えると外国人が日本企業で働く事に、日本人が思うほど喜びは感じられるものではない。悪い言い方をすれば、日本企業のやり方を外国で適用するのは静かな横暴と言えるのかもしれない。

コメント一覧

orang-u
こんにちは
そらさん、はじめまして。こんにちは。
またコメント下さい。
そら
何気ないけど深い言葉がたくさん詰まっているブログですね。お気に入りに登録させていただいたので、また遊びに来させていただきます。

異国の地で大変だと思いますが、がんばってくださいね
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