以前インドネシアで開かれた絵画の展覧会を見に行って驚いた。
インドネシアの絵画と言えば観光客の私達には伝統的な手法やモチーフのものを想像するのだが、それはもちろん観光客向けの単なる民芸品としてのものである。しかし、インドネシアは想像以上に芸術絵画が盛んであって、民芸絵画を描かない芸術家も多い。その展覧会に出品していたのは芸術絵画を描く人ばかりであったのでそこに描かれていたのはもちろん美術品として絵画であった。
驚いたのは民芸品では無かったと言う理由ではない。その描かれているテーマについてである。
日本でその手の作品を見るとき、そこに表現されるものは「美」である。
芸術は「いかにして美を表現するか」と言うテーマに対する答えであると、私は思い込んでいた事に私自身がそこで初めて気付いた。
インドネシア人芸術家がそこで表現していたのは「美」などではなく「社会」であった。その頃のインドネシアはスハルト独裁時代であり、社会体制に対する批判などしようものなら投獄は免れなかったのであるが、芸術の皮を被せる事でそれを免れつつ貧困問題や社会の不正、不公正を訴えていたのである。
この映画を見てそんな事を思い出した。
もちろんこの映画のテーマとこの話は直接関係無いのであるが、この映画にはそういったものが含まれている。直接テーマについては見ればわかりそうなのでそれで良いと思うのでそれ以上ここでは言わないでおく。
多分、最もこの映画で評価すべき点はその表現方法だろう。まるで夢野久作の小説のようで、見ているこちらの頭の中身をしっかりかき回してくれる面白さがある。これも書くより見るべきなので.....これまで。
(結果:かき回されよう。)
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orang-u
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