お茶の畑は山にある。だからふるさとは山だ。
ちょっと前にそのふるさとの中でも有名な阿里山(ありさん)に行った。
そこにはお茶屋さんもたくさんあっていろいろ試飲して選ぶ事ができる。
阿里山で飲めるお茶は烏龍茶なのだけれども、日本にあるあの烏龍茶の色はしていない。
黄緑色の日本茶のような色だ。
なぜなら醗酵がそれほど進んでいないお茶だから。
醗酵が進んでいないからと言って良く無いお茶と言うのではありません。
それはそう言う種類のお茶で、そう言う香りを楽しむものなのだから。
これとは別に醗酵が進んで深い褐色の烏龍茶と言うものもちゃんとある。
「歳とったお茶」と表現される烏龍茶だ。
この歳とったお茶のふるさとは山ではないのだそうだ。
先日みつけたここ、台南で一番古いお茶屋さんは操業100年を超えているとか。現在のご主人はもう7代目。
街中で目立つほど大きい店構えでも大きな看板が掲げられているわけでもなく、それとは逆で地図を描かれて説明されても多分わからないような場所にある間口も狭いお茶屋さん。店内を覗くと大きな壷が奥に向かって並んでいる意外は台湾ならどこにでもある普通のお茶屋さんだ。いやいやそれよりよほど目立たない。
初代のご主人は大陸は福建省から移り住み、台湾中部の山岳部にお茶を植えたのが始まりだとの事。
それ以来お茶を街へ運んで醗酵させているのだそうです。
ここで醗酵されたお茶は深く落ち着いた香りがします。
そして口の中で丸く丸く転がるように流れます。
あの若くて新鮮な芳香を持ったお茶はここで歳を重ねて全く別の人格を持つお茶に変化するようです。
だから街のこの古いお茶屋さんがお茶のもう一つのふるさとなのです。
写真はそのお茶屋さんで買った昔のタイプの茶器です。
ポットも茶碗も指で摘めるくらいに小さいものです。
このお茶は七煎目まで楽しめるから一度にたくさん飲まないと言うことに加えて、歳を重ねたらそんなに欲張ってはいけないと言う教訓的な意味もあるのだそうです。
そうそう、茶器は持つものでなくて「飼う」ものです。
茶器もお茶と同じようにうまく歳を重ねさせて、まるでペットのように飼い育てるのだとか。
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orang-u
けせら
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