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もんく [とある南端港街の住人になった人]

地震でわかった日米のビジネスの違い

震災でわかった日米の競争力格差-ニューズウィーク日本版(←クリック) と言う記事の中で、地震で日本が止まるとこんなに世界が困ることがわかった。ボルボ、シボレー、GM、アップル、HPやボーイング、名立たるアメリカ企業が操業停止の危機に瀕しているとの事。

記事の原題は"Japan Rules Global Supply Chain"となっていて、日本が商品流通のルールになっていると言うような意味だ。確かにそうだろうと思う。日本は今商品の表にブランド名が書かれる物よりも見えない部分の方がずっと強い。

この記事で日本は喜んで良いのかな?、と思うのが正直なところでもある。なぜなら、結局コンダクターはアメリカである事には違いないのだから。日本がいくら良い技術を作り出してもそれを喜んで利用しようとするアメリカの戦略が無ければそれは無意味。今のスマートフォン・ブームではアメリカ発のFacebookやTwitterと言う利用価値、それにAndroidやiPhoneと言うアイデアが先行してそれに多くの国と企業を巻き込むことができたから実現したものだ。

NintendoやPlaystationはどうかと言うと、ソフト開発者を囲い込んだに過ぎないわけで、世界にユーザーを増やしたけれども、それでそのゲームが消費されているだけに終わっているように見える。そこから先が無い。ドコモが契約者と電話機メーカーを囲い込んでいるのと違わないのではないか。電話機など数年して今より良いのが出れば買い換えて終わり。自動車だってそうで、どんどん新しいのが出て買い換えて終わり。途中で韓国メーカーが割って入って来たらそれでも自動車の消費サイクルは成立してしまう。日本は今でもそう言うビジネスしかできない。

もう、アメリカはそう言うビジネスに飽きてしまって次の段階へ行ってしまっている。数年経って無駄になりそうな設備投資や人を自分で確保しておくなんてきっと考えていない。それより世界のオーケストラの前でコンダクタとして立っていた方が絶対に有利だとわかっているのだから。演奏が素晴らしかったら賞賛を浴びるのはピアノ弾きでもバイオリン弾きでもなくて指揮者なのだ。


そう言うわけで、日本が重要な部品を多く作っていてそれが世界の商品の鍵になっている、としても、それは単に今の日本の立場がそうであるに過ぎないって事だろう。そして10年も経てば同じ事ができるようになる後発の国がいくらも出てくる可能性がある。また、日本は良い生産技術開発が出来て良い物が作れるけれども、ビジネス感覚には乏しいと言うアンバランスを露呈しているに過ぎない。


そう言う意味で、この記事は日本語に翻訳されてはいるが、アメリカ発のアメリカに対しての警告だと捉えるべきじゃないだろうか。決して日本賛美ではないだろう。




ちょっと前に「新幹線の図面など無料でくれてやるべきだ」と書いたけれども、新幹線の図面が無料なら高速鉄道を企画している国では競争入札などしなくて済むだろう。入札が無ければ日本は中国やドイツやフランスに負ける事はない。自動的にどの国も新幹線方式を採用することになるからだ。

そうしたらこれも自動的にボルボ、シボレー、GM、アップル、HPやボーイングの製品と同じように日本の生産設備が必要になり、日本の部品が必要になり、そして日本の都市計画に関わるソフトも必要になる。もしかしたら日本人の技術者も多く必要になる。日本に今できる事はアップルがやっているような事ではなくて、つまり新幹線と名の付く製品を完成品の状態で売ることではなくて、中身の本当に重要な部分を売ることだけだろう。

それじゃ、どうしていけないのだろうか。トヨタやパナソニックやSONYのように名前を付けて商品を売ったところでそれほど日本のためにはならないし、みんながそんな事をする必要など元から無いのではないだろうか。
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