この件に関して、多くの人は誤解していると思う。ほとんどの人は、車が故障する原因はその車自体の品質にあると思っている。マレーシアでもそうで、輸入車が品質が良くて、次がノックダウン生産車(部品を輸入して国内で組み立てている)、最後がマレーシア産の車、みたいな順位付けになっている。自動車雑誌なんかを見るとこの車は輸入車だとかノックダウン生産車かみたいな事がちゃんと書かれていたりする。
けれど、車自体の品質は、単に原因の1つにすぎないと自分は思っている。たぶん、一番大きな原因はメンテナンスのはず。メンテナンスと言うか、メンテナンスする人間の意識と言った方が良い。
先日、機械がちょっと壊れてテクニシャンに点検修理させた。この場合、特にたくさん使われているベアリングの点検と交換が主な作業になっていた。作業が終わったと言うのでその機械を見に行ったところ、どう考えてもベアリングが入っているハウジングのフタを開けていない。開けていないと言う事は点検が終わっていない。
なのに終わったと言って来ているのはなぜなのだろう?、と思い、生産の作業者に聞いたらハウジングとシャフトの狭い隙間からスプレーかオイルガンで油を入れて手で回して良さそうだと確認しただけだと言う。
ちなみに、スプレー製品はベアリングなどの摺動部に元から付いているグリースを流してしまうので一時的には良いけれども中長期的には使えない。オイルガンでオイルを入れるのも、グリースと相性が悪いものがあって、その場合は潤滑していないのと似たような事になります。
つまり、どう言う事かと言うと、今は何となくちゃんと動けば修理したって事になる。けれど、1ヵ月後、半年後や1年後になるとそれは修理したのか壊したのかわからなくなってしまう。つまり、そう言う意識でしか修理とかメンテナンスがされないってわけで、機械は修理できたと思ってもまたすぐに壊れる。
修理が次の破損の原因を作っている。だから壊れ始めるとどんどん壊れる。修理の目的が今だけの事じゃなくて1年後もちゃんと動いているってところに無いわけだから、どんな機械も車もよく壊れる。高級車だってよく道端で停まっている。
日本の車は品質が良くて壊れ難いってのは事実かもしれないけれど、日本の修理屋さんの貢献度はけっこう大きいと思う。一度修理してちょっとしてからまたってなると、日本の修理屋さんなら自分の仕事が不十分だったかな、と思って再修理してくれる。
でもマレーシアだとそれはそれ、これはこれになっちゃう。だってあの時はちゃんと走ったじゃないか、と思ってる。同じところが壊れた事について恥ずかしいとも何とも思わない。
そんな事、うちの工場のテクニシャンを見てわかる。
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