現代妖怪列伝
狐憑きとか犬神筋という憑きもの・妖怪の類の話題は、近頃はあまり人口に膾炙することが少なくなった。ところがドッコイ、妖怪がいなくなったわけではない。
ここに現在も脈々として生き残っている“妖怪”の数々をご紹介しよう。題して“現代の妖怪列伝”でありまする。
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【ねだるがき】 強請(ねだ)る餓鬼
http://www.fan.hi-ho.ne.jp/mit777/pc/ryo9.htm
四国地方に多い〈ひだる餓鬼〉の系統。ひだる餓鬼は、寂しい往来などで、人びとにワルサを仕掛ける。取り憑かれると、極端な空腹感に襲われ、崩れるように倒れ、意識が薄れる。
同系統の【ねだるがき】は、家庭内で、親の脛を囓るのを専らとする。囓って囓って囓り尽くすオソロシイ妖怪。とにかく甘えが非道く、自立心がない。末の望みは全く持てない。
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【ひとつまこじょう】 人妻古嬢
〈一つ目小僧〉を先祖に持つ妖怪。団地に多く棲息する。平凡な日常に飽き飽きしており、密かに「アバンチュール」を夢見ている。
哀しいかな、昔の姿、今何処と言わんばかりに贅肉が付きまくっている。勿論、三段腹。亭主が定年になると、ポイ捨てをする悪質さ。この点はご用心。
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【ひとつねこじょう】 人抓古嬢 これも【ひとつめこぞう】の亜種。
場末の四流バーに行くと、『ラッシャイマシェ~!』と言いながら、薄暗い所から現れる。狸もビックリ!という厚化粧をしており、目に簾(すだれ)のようなまつげを付けている。
安物香水の臭いを、嘔吐感を催させるくらい辺り一面に振りまく。頼みもしない酒類を勝手に頼み、断りもなくガブガブ飲む。
自ら卑猥極まりない冗談を言うくせに、客が少しでもシモネタを振ると、大仰にギャアギャア騒ぎ立て、客の腿をやたら抓る。人抓古嬢の由縁。
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【けわい娘】 化粧(けわい)娘
「名筆浮世絵鑑」・五渡亭国貞 画
鏡台に肘を付き、真剣な面持ちで眉を整える遊女。
現代それもごく最近になって出現した妖怪。電車の中など公衆の面前で、手鏡をのぞき込みながら、口を大きく、それも開けるだけ開けて、化粧をしている若い娘。羞恥心を全く持ち合わせない恥知らず。「嗜み」という言葉の存在すら知らない。
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皆さんは、他にもこのような妖怪を御存知ではないでしょうか。教えて下さい。