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紛(まが)い物か本物か
写真㊤:藍九谷
こういう世界もある…というお話し。まあ、聞いてください。
東京新聞に、新橋の「D」という鮨屋が紹介されていた。十数年前に商売上、数回無理矢理連れて行かれたことがある。
小体(こてい)な店(カウンター10席、テーブル12席)だが、握りを一品一品、違った皿で出す。
皿ったって、そんじょそこらの皿ではない。伊万里、九谷・・・といった感じである。煙草も吸わせない。
伊万里
(以下の4点の画像は、http://yaplog.jp/tcanda/archive/563 と
http://yaplog.jp/tcanda/archive/564 によった)
鮨のタネは、毎日親方が紙に‘墨痕淋り’(「ぼっこんりんり」…pc変換しない)と書いて張り出す。
変わっているのは、タネ毎にどこの漁港のどの漁師が獲ったのか、漁港名と個人名まで書いてあることだ。
海苔は必ず、船橋・三番瀬の漁師・滝口喜一氏自慢の天日干しだ。
傑作だったのは、「密漁」と書いたタネが貼ってあったことだ。当然、漁港名など固有名は書いてない。
この親方は、休みの日は何十年も書道の大家のところへ習字に通っている。勿論、タネを墨書するためだ。喰うのを休んで喋っていると、「不味くなっちゃうよ!」と叱られる。値段は、高いらしい。払ったことはないから知らない。
しかし、世間には、宮様御用達の、座っただけで3~5万円取るような明石の鮨屋や、一貫一万円とる岐阜の怖い鮨屋もある。当然、行ったことはない。
岐阜の鮨屋は、高校生の頃、近所のその筋の幹部から「連れて行ってやろうか」と云われて、純情だったワタシは震え上がったことがある。今にして思えば、惜しいことをした。連れて行って貰えばヨカッタ。
でも、この新橋の鮨屋は、チョイとやりすぎだよねえ。凝りさへすれば、モノホン(本物)の鮨屋だというほど、甘えモンジャネエと思うけれど……反感持っちゃったヨ!
最後に、実に的確な批判をしたblogがある。紹介しよう。
鮨屋放浪記 というサイトである。
とくにその記述中に「親方の左手人差し指の先に絆創膏が貼られていた」とある。鋭い指摘だ。
板前…とくに鮨職人が絆創膏を指に貼るのは御法度!
バイ菌の巣だからだ。いくら凝りまくって気取っても、職人のいろはを無視するようじゃあねえ。
ま、イッカ! もう行かないンだから……
(05年04月22日 記)
06.07.21