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黒門町の功罪
(黒門町とは、八代目・桂 文楽 を指す)
NHKの録画で、三遊亭小遊三の『厩火事』(うまやかじ)を観た。どういうわけか、私は彼の『厩火事』(うまやかじ)に接する機会が多い。
小遊三
面白いような面白くないような・・。でも失礼ながら、彼なら、あんなものだろう。 (『厩火事』)
『厩火事』の難しさは、主人公・お先さんの「7歳も年上の女の哀しみ」を、どのように高座で見せるかにかかっている。
お先さん
確かに、この噺を文芸的な(文学的な)レベルまで引き上げたのは、黒門町の功績に違いない。
だが、ある年齢層のファンは黒門町を知っているが故に、却って始末に悪い。現代の噺家が黒門町と重なる「同じネタ」・・例えば『厩火事』を演る際には、この階層の客は、どうしても「黒門町の演出と芸の水準」を原点にして、比較してしまう悪癖が抜けない。
落語は所詮「お笑い」に過ぎない。黒門町は特別だと割り切るしかないように思うが・・。如何なものだろうか?