鶴の恩返し
お爺さんが山の中で怪我をして倒れている娘さんを発見した。
お爺さんは、この娘さんを背負って家に帰り、手厚い介護をしたところ、娘さんはスッカリ元気になった。
娘さんは、お爺さんに丁重に御礼を言った…
「ご恩は決して忘れません。恩返しをしたいと存じます。奥の部屋を貸してください。
私が良いというまでは、決して部屋を覗かないでください」。
そう言って娘は、部屋に入ったきり一週間経っても二週間経っても出てこなかった。
不安になったお爺さんは、そっと襖(ふすま)を開けてみてビックリ仰天した。
部屋はもぬけの空だった。タンスもなくなり、鏡台もなくなり、何から何までなくなっていた。
この娘さんは、鶴ではなくて鷺(詐欺) だったのだ。