夏の軽井沢「風の色」と題して開いた個展
会場は離山公園地内のギャラリー蔵。
園内は記念館と旧雨宮邸のお屋敷のある庭園と離山の森、静寂と深い緑の木立ちの中にある。
夏休みのピークとあって国道は大渋滞の様相だ。
会期中台風やら豪雨やらで軽井沢に来た人は難儀な思いをしたことだろう。
三日目の午後だったか、強い夕立があった。
来館者も途切れ、ふと入口の軒下を見やると若い女性が髪を濡らして立っている。
雨のしずくを避けながら空を見上げていた。
「どうぞ、中で休んでいってください。」
「ありがとうございます。どうもすみません。」
身のこなしの軽やかな赤い靴の女性は、ふわりと舞い込んだ蝶のように
会場の中に入って来られた。
二言三言話しているうちに打ち解けて
身の上話をしながら展示の作を熱心に見ていた。
「雨が降らなかったら寄ることもなく素通りしていたかも。雨に感謝しなくっちゃ。」と笑っていた。
やがて雨も上がって、振り返りながら表通りに出て行った娘さんの笑顔が目に浮かぶ。
雲が切れ、木洩れ陽が差し込む頃
木立ちの葉陰で雨宿りしていた小さな蝶が舞い上がった。
ちょっと雨宿り、が素敵な雨宿りのひとを迎えたひと時でした。