大島康紀☆雪月花

Artist COKY.OSHIMA
Painting,Drawing
Arts & Essay

手のひらアート

2015-08-23 | Essay
ポケットに小さな画帳を押し込んでスケッチに出かける。
気軽に取り組める「手のひらスケッチのすすめ」を絵画講座の中で実践してきた。
F0,SM,はがきサイズなど、総称してミニアチュールと呼ぶ。
画家は大作に挑む前に小品でエスキースを描く。
構想を練り、イメージを構築していくうえで大事な作業なのだが
ミニアチュールの仕事は最早エスキース・下絵の範疇を越えて
「掌展」「手のひらアート展」と銘打ちいくつかの個展を開いた。


「日本はがき芸術作家展」に寄せて
信州と上州の県境の峠をスケッチして周っていた時、小さな美術館の前を通過した。
館長でもある画家・稲川庫太郎さんの個展が開催されていて、
全国公募のはがき絵の展覧会を企画していることを知る。
講座の受講生たちのモチベーションを上げるのにも良い機会かと応募を勧めた。
一般出品者の一人として私も参加して10年
毎年何らかの賞が付いてくるが気にも留めずモチーフを変えながら
ひたすら己のエスキースを超える手のひらアートを追求してきたように思う。
次につながる実験的発表の場でもあった。
途中、文化会の会員推挙を受けた。審査の要請もあったが辞退した。
無鑑査の作家になりたいとは思っていたが、
今年「大賞」受賞してみると己の仕事の置きどころが理解できた。

(妙義山麓美術館)

花の絵

2015-08-21 | Essay
花を描く。
描かれた花は枯れなくていいというコレクターがいた。
確かに頒布会の個展で花の絵は成績がよい。
花が嫌いな人もそういないだろう。
四季折々に咲くさまざまな花に誰もが心を和ませる。

美しい花の生命観に魅せられて「花の絵」がモチーフに加わり、スケッチにも余念がない。
アトリエの庭では山野草を育て、バラは2階の屋根まで届くまでに大きくなった。
花の絵は誰が描いても同じだから描かないよなんていっていたのに。

自然と対峙して制作に打ち込もうと東京からアトリエを浅間山麓の山中に移した頃、
頻繁に出かけていた高原でそれまで見たことのなかった高山植物に出会う。
高山植物の花は画家の心を大いに感動させてくれた。
切ることも折ることもできない花たちに会うため画材を担いで通う日々が続いた。
マツムシソウ、ヒメシャジン、ヤナギラン・・・
やがて、これらのスケッチは12枚セットのポストカードとなった。

花の絵というと静物画として花瓶に挿した卓上の花を描く。
植物画というボタニカルアートの画家もいる。
花瓶の薔薇のモチーフで一世を風靡した画家もいる。

誰が描いても同じとは思っていないが
切り花は描かない。描かないつもり。描かないだろう。
花の命を故意に断ち切りたくはないので・・・。