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黒の国のエディア❻

2024-07-09 18:58:00 | 短編小説


エディアとシヴィーがカサバ村での平穏な日々を楽しんでいるある日、特別な出来事が起こった。
市場からの帰り道、エディアとシヴィーは森の中で一匹の黒猫を見つけた。
黒く艶やかな毛並みのその猫は、どこか不思議な雰囲気を纏っていた。

「姉さん、あの猫…なんだか普通じゃない気がする」とエディアは小さな声でシヴィーに話しかけた。

「そうね、ちょっと見てみましょう」とシヴィーは優しく微笑み、猫に近づいた。
猫は逃げることなく、二人をじっと見つめ返してきた。

「こんにちは、猫ちゃん。どうしたの?」とシヴィーが尋ねると、猫は一歩前に進み、まるで人間のように頭を下げた。

「この猫、すごく賢そうだね。家に連れて帰ってもいいかな?」とエディアが提案した。

「そうね、家族が増えるのはいいことだわ」とシヴィーは頷いた。こうして、黒猫は二人の家族に加わることになった。

エディアとシヴィーは猫に「タマ吉」と名付けた。
タマ吉はすぐに家族の一員として溶け込み、エディアたちの生活に新たな喜びをもたらした。
しかし、タマ吉には他の猫とは違う特別な力があった。
それは五秒先の未来を見ることができる予見眼だった。

ある日、エディアが魔法の練習をしていると、タマ吉が突然彼女の前に飛び出してきた。
驚いたエディアは魔法を止め、タマ吉を見つめた。

「どうしたの、タマ吉?」とエディアが尋ねると、タマ吉はその場に座り、前足で何かを指し示すように動かした。
エディアがその方向を見ると、ちょうどそこにシヴィーが入ってきたところだった。

「タマ吉が未来を見て、私を助けてくれたんだ」とエディアは興奮気味にシヴィーに伝えた。

「本当にすごいわね、タマ吉」とシヴィーは感心した様子でタマ吉を撫でた。

その後も、タマ吉は何度もエディアたちの助けとなった。
五秒先の未来を見る力は、小さな事故や問題を未然に防ぐのに大いに役立った。
タマ吉はただのペットではなく、エディアたちの頼れる仲間となったのだ。

ある晩、エディアはタマ吉と一緒に星空を眺めながら話しかけた。
「タマ吉、あなたはどこから来たの?なぜこんな力を持っているの?」

タマ吉は静かにエディアを見つめ、まるで理解しているかのように目を細めた。
その瞬間、エディアはタマ吉がただの猫ではないことを強く感じた。

「あなたがいてくれて本当に良かった」とエディアは微笑み、タマ吉を抱きしめた。
タマ吉もエディアに寄り添い、そのぬくもりを感じていた。

タマ吉の存在は、エディアとシヴィーに新たな安心感と喜びをもたらした。

異世界から転生してきたこの黒猫は、エディアたちの生活に新たな光をもたらし、家族の絆を一層深めていった


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