ニセコのダチョウ牧場(第2有島だちょう牧場)

ダチョウの孵化から解体まで行い、命を頂く事、牧場を営む事で得た、学びや気づきを記録しています。

お店は今日から冬季休業に入ります

2024年11月24日 | 日記
お店は今日から冬季休業に入ります。

どら焼きやお菓子を今年もご愛顧いただきまして、誠にありがとうございます。

例年以上にお買い求めいただいたので、現在どら焼きは一部店舗様を除き委託販売、通信販売共に休止しております。

もうすぐ無くなると伝えてしまうとどら焼きを買い占める方もいるかと考え、販売休止の連絡が遅くなりましたこと、ご容赦いただければと思います。

なお、ダチョウの卵マドレーヌの製造と販売は継続しておりますので、道の駅さんなどで是非お買い求めください。

当牧場ではお肉を含めて製造、販売する商品の99.9%を売り切るということを実践しており、今年も無事にほぼすべての商品を売り切ることができました。

だちょうさんたちを飼わせてもらい、その命を頂いて商品を作り、販売させていただく責任として、毎年の目標にしていることが皆さんのおかげで今年も達成できたことを大変有難く思っています。

幼かっただちょうさんたちも成長して、卵をたくさん産んでくれるようになったのですが、それ以上にたくさんのお客さんにご来場いただき、お買い求めいただけたという事実に私自身が一番驚いております。

ダチョウという鳥は鳴かず飛ばずを体現する珍しい鳥なのですが、この牧場も長い間その言葉通りの状況であったことを牧場を10年以上前からみてきた皆さんはよくご存じかと思います(笑)

今ではとても認知していただけるようになり、様々なメディアからの取材にお断りしなくてはならないことも増えました。

各メディアの方々には本当にお世話になってきているので、大変心苦しいのですが、牧場で昔から楽しまれている方、これから牧場を訪れて楽しい思い出を作られるかもしれない方、メディアを通して牧場の様子を楽しまれる方、だちょうさん、働く私たち、それらすべてにとって良い形で持続できる方法を模索している最中でして、これからもお断りさせていただく際はご容赦頂ければ幸いです。

なお、媒体がどれだけ有力かどうかで出るメディアを選んでいるわけではもちろんございません。

時期によって協力する事が難しい場合やご要望頂く内容がダチョウの生態について誤解を招くと考えられる等、当方で総合的に考えてお答えしておりますので、これからもどのようなメディアの方でもお気軽にご連絡ください。見られる方が楽しんだり、喜んだりしてくれる物を作るお手伝いをすることはとても勉強になります。

ダチョウ事業の存続が難しいと思える時期を越えて、今までこうして経営を続けていられることはひとえに注目してくださっているお客様からのご厚情の賜物と考えております。

これからも日々だちょうさんのお世話や牧場の仕事などをしっかりこなし、楽しみにしてくださっている皆さんに楽しく、良い思い出となるお店を作っていきたいです。
皆様に少しでも恩返しができるよう、精進していきたいと思いますので、今後とも何卒宜しくお願い致します。

また来年の春、皆さんにお会いできる事を楽しみにしております。

それまで皆さんもお元気でお過ごしください。


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だちょうさんがすぐ逃げることから私たちが学ぶべきこと

2024年09月23日 | 日記
牧場ではだちょうさんが急に走り出すことがあります。
良く理由を尋ねられますが、注意深く観察していないと気付かないような些細なことでも走り出します。
一羽が走り出すと近くにいる子が一斉に走り出すことが多いです。
些細な理由で走り出すことや走り出した理由を覚えていないということから、だちょうさんは頭が悪いといっているお客さんが最近は増えています。

これは大きな誤解があると思います。
自然界において、群れを作る動物は周りの仲間の緊張している様子や逃げる動作等から危機を察知しています。自分の眼や耳といった感覚器官の情報にだけ頼っていては命が守れません。
周りが逃げれば自分も逃げるのは当然のことで、その逃げる理由などをいちいち考えていては逃げ遅れてしまいます。
また、だちょうさんは眼の良さでは他の陸上動物より優れていますが嗅覚や聴覚は他に優れている動物がいます。そういった動物が逃げ出したなら、自分たちが原因を何も分からなくても逃げ出した方が安全です。
速く長く走る能力で他の陸上動物に決して負けないので、走り出してしまえば先に逃げ出した動物よりも生き延びる可能性が高くなります。
走り出した理由を覚えていないから頭が悪いという考えは、走って逃げだすことに理由が必要な人間ならではの発想ではないでしょうか。

私たち人間は自分の生きてきた数十年程の知識や経験に基づいたバイアスや先入観といったものがあり、自分の生命の危機が迫っている時に適切な行動がとれない場合があります。
例えば火山が噴火した際、映像を撮ろうとして逃げ遅れて死亡する人や落雷する様子や水が溢れる川を動画で捉えている人がいます。
また、自然災害が発生する恐れがある際に避難を勧める情報が出ていたとしても迅速に避難しない人が一定数います。
「自分は大丈夫」だとか「これぐらいは大丈夫」という正常性バイアスと呼ばれる心の動きに従った行動をしたり、今まで大丈夫だったという経験による先入観によって避難しないとも考えられます。

逃げる事に理由が必要な人間が陥りがちな間違いのように思えます。

「〇十年ここに住んでいてこんなことになったのは初めてだ」という言葉はテレビや新聞で聞いたり読んだりしたことがあるのではないでしょうか。

人間が生きる数十年の年月から得られる知識や経験があまり参考にならないことは皆さんもご存知だと思います。

ある時牧場に雷を伴う強い嵐がきました。
だちょうさんは雷鳴が近くで聞こえだすとみんなその場に座り込み、首を地面に伏せて出来る限り体を低くしました
落雷から身を守る理にかなった無駄のない動きにとても関心しました。彼らが生きてきたサバンナのような環境で、雷鳴が聞こえたらすぐ身を伏せた者が生き延びたのかもしれませんね。

これから地球温暖化に伴う地球環境の変化が数十年に一度の頻度といわれていた規模の自然災害を頻発させるといわれています。
数十年程度の経験や知識によってもたらされる先入観によって「自分は大丈夫」と動かないことより、むしろ頭が悪いといわれても、危機を察知したら逃げる能力や備える能力がこれから大切になると思います

だちょうさんは恐竜の性質を一番色濃く残していると考えられている、古い生き物です。
彼らは地球環境が変わり、周囲の生態系が変化していく中で自分たちの生き残れる場所を探しつづけ、現代まで生き延びてきました。

私達賢いといわれる人間が文明といわれるような歴史を作り始めてわずか数千年で地球の環境を大きく変え、年々人間や他の生き物が生きにくくなっています。

人間中心の社会で生活を続けると、私たち人間は他の生き物や自然の循環によって生かされているという事実を忘れ、他の生き物への敬意を失ってしまい、安易にだちょうさんを頭が悪いと言ってしまうのかもしれませんね。

しかし、私達人間は頭が悪いと言われるような行動をだちょうさんがどうして取るのかを考え、そこから学ぶ姿勢を持てるかどうかはとても大切だと思います。

自然や生き物から学び、知識を深めていくことで、それぞれの特性を活かし、持続可能な社会を築いていけると思いますし、そのために何ができるのか常に考え、実践していきたいものですね。






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第2有島だちょう牧場と有島さん

2023年12月25日 | 日記
だちょう牧場は第二有島という名前がついています。

有島武郎さんという小説家が牧場の一部をかつて所有していたことに由来して名前が残りました。

当時彼はたくさんの土地を持っていて、農民に貸してお金をもらっていました。

このあたりの土地は農業を営むにはあまり良い環境ではなく、当時土地を借りていた農民たちの暮らしぶりも良くありませんでした。

有島武郎さんはとても色々なことを考えたうえで、彼は所有していた土地を農民たちに無償で解放しました。

彼はただ解放するだけではなく、農業をするために必要な空気や水や土地などの自然物は私有して自分の利益の為だけにつかうのではなく、人間全体の物であり、人間全体の役に立つようしなくてはいけないと言いました。また、分けられた人々はみんなで協力し、助け合って現在の困難な状況を越えながら、周囲に良い影響を与えられるようにと祈りました。

時が流れましたが、この考えは今も多くの人々に受け継がれて共感を呼び、有島武郎さんの考えはニセコ町に限らず多くの場所へ広がっています。

だちょう牧場はニセコ町に根付いている「相互扶助」という有島武郎さんが唱えた考え方に助けられ、今までやってこられました。

本当にありがたいですね。

だちょう牧場は入場無料でこれまでやってきましたが有料にした方が良いと何度も言われました。
その方が経済的な利益は出るでしょう。
ですが、有島武郎さんの自然物は私有するべきではなく全体の役に立つようにという考え方に共感するので、牧場を無料で開放し、老若男女問わず環境について考えてもらえる事は良いことではないかと思っています。

私たちが経済を優先し、自然をないがしろにしてきた結果が至る所に現われています。それでもまだまだ他人事のように考える方や今のやり方で問題がないと考える方が多いように思えます。

小さな牧場にできることは本当に限られていますが、有島武郎さんが唱えた理想や大切な考え方がつながってきたように、少しずつでも牧場に訪れる人たちやこうした投稿を見てくれる方々に牧場の取り組みを精一杯お伝えし、良い影響が周囲に届くように励もうと思います。

今年は有島武郎さんが亡くなってちょうど100年という節目の年なので、こうしたことを書かせていただきました。

最後に彼の農民達に残した文章を書いておきます。

長文を読んでいただいてありがとうございました。

「生産の大本となる自然物即ち空気、水、土地の如き類のもの。それらは人間全体で使うべきもので、或いはその使用の結果が人間全体の役に立つように仕向けられなければならないもので、一個人の利益ばかりのために、個人によって私有さるべきものではありません。我々の将来が、協力一致と相互扶助との観念によって導かれ、現在の不備な制度の中にあっても、それに動かされないだけの堅固な基礎を作り、我々の正しい精神と生活が自然に周囲に働いて、周囲の状況をも変化する結果になるようにと祈ります。」











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牧場の取り組みをサステナ旅という番組で取り上げて頂けました

2023年09月28日 | 日記






先日TVhさんのサステナ旅という環境に配慮した観光を行う番組で、牧場のことを取り上げて頂きました。

写真に写っているスギちゃんという芸人さん
とNORDの舟木健さんという俳優さんがいらっしゃり、だちょうさんや牧場の事をお話ししました。

サステナブルやSDGsという言葉が社会に浸透する前から、だちょうさんが環境に負荷をかけない畜産として有望ではないかと考え、取り組んできました。

今までの経験で、他の畜産動物に比べて必要とする栄養が少ない上に、おからや捨てられる野菜くず、ビール粕等を効率良く消化吸収出来るだちょうさんに与える事で、より環境に優しい持続可能な畜産ができます。

日本では「もったいない」という素晴らしい価値観を表す言葉があり、サステナブルやSDGsにとても親和性が高いと思うのですが、だちょうさんは無駄なエネルギーを使わず、他の草食動物が見向きもしない草や他の草食動物の糞も食べてエネルギーに変えられる能力を持った「もったいない」を体現している動物です。

私もだちょうさんを見習って、お店の運営も「もったいない」事はしないようにしてきました。

実はお店の机や椅子、棚等は拾ってきた物や廃材を修理して使っていますし、商品の売れ残りや廃棄が極力ない形にしています。

たくさん作ってたくさん売ることは目指せば、売り上げは伸びますが、フードロスを増やしてしまい、環境に負荷をかけてしまいます。
短期的には売り上げを上げられても、中長期的に見ればムリが出ますし、社会や環境に損失を与えたツケをなんらかの形で払わされてしまうと考えています。

まだまだダチョウ畜産の可能性の一端しか実現できていないので、偉そうなことを言って大変恐縮なのですが、これからも少しずつ前進していきたいと思います。

長くなりましたが、お時間あったら番組を是非ご覧ください。
日経チャンネルでも放送予定とのことで、北海道以外の方もご覧いただけるのでご興味ありましたら是非どうぞ。
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子どもたちに伝えたい逃げる事の大切さについて

2023年08月20日 | 日記
「逃げる事の大切さについて」

だちょうさんは逃げる事が得意です。

何か異変を感じたり、周りの生物が走り出したりしたら、脇目も振らずに走り出します。

だちょうさんは走り出した理由を思い出せないからバカだと言われる事もありますが、陸上生物で一番の長距離ランナーであるだちょうさんにとって、何故走るのか考えたり、異変を注意深く観察したりしている時間は無駄で、その間に走った方が、敵は疲れ果ててしまいますから安全です。

だちょうさんはとても良い目で周囲を見渡し、問題を察知したらさっさと逃げ続ける事で、地球上で恐竜に近い最も古い鳥として生き延びてきました。

“賢い”私達人間は、仕事の環境や人間関係のあれやこれやに悩まされた時、周りの目を気にしたり、将来への不安から今いる環境から離れる事に躊躇してしまいます。

けれども、古くは孫氏の兵法がいう「36計逃げるにしかず」やハンガリーのことわざ「逃げるは恥だが役に立つ」、最近の経済理論でも言われるように、逃げる事はとても効率的な生存戦略とも捉えられますし、脇目も振らずにさっさと逃げるという事が大変役に立つように思えます。

チャールズ・ダーウィンという進化論を書いた方が「生き残る種とは、最も強いものではない。 最も知的なものでもない。 それは、変化に最もよく適応したものである」と言っています。

だちょうさんは長く生き延びる中で、環境の変化に耐えながら他の“賢い”生物の絶滅を見てきました。

今悩んでいる方は、どうしようもない事をあまり悩み過ぎて疲れ果てる前に、だちょうさんを参考に誰かの目や意見を気にしないで、さっさと逃げ出して下さいね

子どもたちの夏休みが終わるこの時期、毎年子どもたちのメンタルヘルスが心配になるのでこんな事を書きました。

昔、フリースクールという学校の代わりになる居場所でボランティアをしていた事があります。

なんらかの理由で学校に通えない子や居場所が無い子がのびのび楽しそうに過ごしていました。

子どもひとりひとりの個性を尊重される場所はきっとどこかに有るように思えます。

牧場にたくさんいらっしゃって、楽しんでいった子どもたちが、どうか袋小路にたどり着いて悩み過ぎる前に、良い居場所にたどり着いて欲しいなぁと願っています。


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