北朝鮮外相、制裁下での非核化先行「あり得ぬ」 国連総会演説
9/30(日) 6:55配信
米ニューヨークで開かれた国連総会で演説する北朝鮮の李容浩外相(2018年9月29日撮影)。
【AFP=時事】北朝鮮の李容浩(リ・ヨンホ、Ri Yong-Ho)外相は29日、国連総会(UN General Assembly)で演説し、同国に対する制裁の厳格な履行を米国が推進し続ける限り、北朝鮮側が先に核武装を解除することは「あり得ない」と述べた。
【写真】演説する李外相と会議場の様子
李外相は、朝鮮半島非核化をめぐる協議の行き詰まりの原因は「米国が高圧的な措置に頼っていること」だと非難し、「そうした措置は信頼を構築する上で致命的である」と主張。さらに「米国を信頼できない限り、わが国の国家安全保障に対する確信は存在せず、そのような状況下では、われわれから先に、一方的に武装解除することはあり得ない」と述べた。
李外相はまた、米国が主張する「非核化先行」の方針は「制裁により圧力の水準を高め、高圧的なやり方で自らの目的を達成しようとする」ものだと指摘。「制裁でわが国をひざまずかせられるという認識は、われわれを知らない者らの妄想である」とした。
李外相は、北朝鮮政府はすでに核・ミサイル実験を停止し、核実験場を廃棄して、信頼構築に向けた取り組みを続けているが、「米国からの相応の反応は見られない」と述べた。
北朝鮮外相、米国から「相応の措置ない」=制裁継続などに不満―国連演説
9/30(日) 1:20配信
【ニューヨーク時事】北朝鮮の李容浩外相は29日、国連総会で一般討論演説を行い、北朝鮮が核実験停止などの「重要な善意の措置」を取っているにもかかわらず、「いかなる米国の相応の措置も見ることができない」と不満を表明した。
また、「制裁の継続は(米朝間の)不信感を深めるだけだ」と述べ、圧力維持を訴える米国に、方針を転換し信頼醸成に取り組むよう求めた。
李氏は「米国への信頼がなければわが国の安全保障への自信を持てず、このような状況下では一方的に最初に核武装解除することはあり得ない」と主張。非核化は「われわれの米国への十分な信頼感がある時のみ可能だ」と述べた。
また、米国が朝鮮戦争の終戦宣言に「反対している」と反発。ただ、2回目の米朝首脳会談が調整される中で、非核化への意思は「揺るぎない」とも強調した。
北朝鮮は、金正恩朝鮮労働党委員長と韓国の文在寅大統領が署名した平壌共同宣言で、北西部・東倉里のミサイルエンジン試験場と発射台を関係国の専門家立ち会いの下で廃棄することに同意。米国の「相応の措置」を条件に寧辺の核施設廃棄の用意があると表明している。
李氏は26日にポンペオ米国務長官と会談。ポンペオ氏は正恩氏からの訪朝招請を受け入れた。ポンペオ氏は来月、再訪朝して米朝首脳会談の最終調整を行う。
対北、中露は「制裁緩和を」 日米との温度差鮮明に 安保理会合
9/28(金) 12:00配信
【ニューヨーク=上塚真由】国連安全保障理事会で27日に行われた北朝鮮問題の閣僚級会合で、ロシアのラブロフ外相は「北朝鮮が段階的な(非核化などの)軍縮措置を行った後には、制裁緩和が続くべきだ」と述べ、制裁緩和の必要性を訴えた。中国の王毅国務委員兼外相も、非核化の進捗(しんちょく)状況に合わせた緩和措置を要求。厳格な制裁維持を求めた米国や日本との温度差が浮き彫りとなった。
ラブロフ氏は演説で、北朝鮮がミサイル発射や核実験をやめたことで、「地域の緊張は著しく緩和した」と評価。その上で、「北朝鮮が地域の安定に協力している背後で、西側の諸国が制裁強化の方向を押しつけているのは不適切だ」と米国などに反発した。
また、朝鮮半島情勢の改善を支持するメッセージを発する時期にきているとし、新たな安保理決議案を提案することにも意欲を示した。
王氏も演説で、安保理決議には、順守状況に基づいて制裁措置を調整するとの規定があると指摘したうえで、制裁緩和について「非核化を進めるため、検討する必要がある」と述べた。また、朝鮮半島の平和に向けて「全当事者が、適切かつバランスの取れた形で安保上の懸念に対応することが重要」と指摘。適切な時期に朝鮮戦争(1950~53年)の終戦宣言を行うことが「非核化をさらに進展させる」とし、体制の保証につながる終戦宣言に固執する北朝鮮の主張を支持した。
制裁維持で協調する日米は、北朝鮮が洋上で貨物を積み替えて密輸する「瀬取り」への対策の必要性を強調。ポンペオ米国務長官は「われわれは監視を続ける」と警告し、河野太郎外相も「制裁破りの行動を止めることが、われわれの義務だ」と取り締まり強化に協力を呼びかけた。