2023年10月のイスラエル・ガザ侵攻は、同年10月7日、イスラム組織ハマスの大規模奇襲攻撃と、人質240人剥奪に始まります。
歴史を紐解げば ユダヤ人はローマ帝国の支配に抗して2度蜂起(西暦66-70年、132-135年)し、結果、「生き残った者はほとんでいなかった」と記録されるほどの惨敗を喫しています(寺内孝著『キリスト教の発生―イエスを越え、モーセを超え、神をも超えて』の「律法、終末、メシア」7 ’すべて空(くう)なり‘参照)。
ローマ帝国はユダヤ戦争終結後、ユダヤを「パレスチナ」と、エルサレムを「アエリア・カピトリナ」と改称しました。ユダヤ人は亡国したのです。彼らの中には戦前からパレスチナや欧州各地に居住していた人たちがいますし、戦後にユダヤを追われた人たちもいます。これらの人たちは世界各地に離散しましたが、その土地で帰化しなかった主因は、ユダヤ教の律法(モーセ五書、即ち創世記、出エジプト記、レビ記、民数記、申命記)があるからです。その掟の中で、ユダヤ人は天地万物創造の唯一神に「選ばれた」民と記されています(申7:7)。
ユダヤ人は異郷の地で、1800年間、亡国の民の悲哀をなめました。第2次大戦後、彼らは大挙して、神が「与える」(創12:7、13:15)と誓われた「乳と蜜の流れる土地」(出33・3)・パレスチナに帰り、1948年にイスラエル共和国の独立宣言を出しました。この帰郷で、当地のパレスチナ人70万人が難民化しました。これがパレスチナ問題の発端です。
難民の中から、あるいは難民を支持する人たちの中から、ハマスが誕生しました。イスラエルは、攻撃を仕掛けられれば存亡の危機に立たされますから激しい反撃に出ます。その反撃の仕方は、律法に支えられている部分があると思われます。「主なる神」いわく、敵を「撃つときは、彼らを必ず滅ぼし尽くさねばならない。彼らと協定を結んではならず、彼らを憐れんではならない。」(申7:2)、「人に傷害を加えた者は、それと同一の傷害を受けねばならない。骨折には骨折を、目には目を、歯には歯をもって人に与えたと同じ傷害を受けねばならない。」(レビ24:19-20)
イスラエルは、圧倒的な軍事力でハマス撲滅の挙に出ています。彼らは間もなく、いくらかの点で、所期の目的を達成するでしょう。だが、世界の民は、無辜の民の死と損傷と悲哀を凝視しています。イスラエルはある意味で、世界の多数者を敵に回している点があるといえましょう。ハマスはハマスで、再起を期するに違いありません。武器による殺戮の応報には限りがありません。
思うに、律法に記された「神」は、天地万物創造の全能神ではありません。その「神」の本質は、イスラエルの守護神、民族神なのです。このことを、私は上掲の拙著で繰り返し主張しています。そうであるにもかかわらず、モーセに発する3つの宗教(ユダヤ教、キリスト教、イスラム教)は「神」を全能神と信じ、エルサレムにそれぞれの聖地を置いています。争いの根本に誤りがあるのです。われわれは古代人の発想から抜け出し、歴史を作りなおすべきでしょう。事の振り出しに戻り、人間みなきょうだいの観点に立ち、新しい歴史の創造に意を注ぐべきだと思うのです。
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今回ユニセフの呼掛けに応じ、些少ではありますが、「ガザ人道危機緊急募金」に、「武器を持つな」と記して寄付しました。
寺内 孝 様
この度は、ガザ人道危機緊急募金にご協力を賜り、心より感謝申し上げます。 お寄せいただきました募金は、緊急事態下の子どもたちのために、病気の予防、安全な水や栄養補助食の提供、教育の再建や子どもたちの保護などの支援活動に大切に活用させて頂きます。 下記の通りご寄付のお申し込みをお受けいたしましたので、ご連絡申し上げます。
■受付番号 :10001034140
■受付日 :2023年10月24日
■お名前 :寺内 孝 様
■ご寄付の金額 :〇,〇〇〇円(ガザ人道危機緊急募金として)
※領収書について ご寄付領収日は、各カード会社からの当協会への入金日付となり2023年12月、また領収書ご送付は2024年1月上旬予定です。 なお、クレジットカードのご利用日は、お申込日ではなく、当協会でのお手続き日となります。 今後ともユニセフを通じて、緊急事態に直面した子どもたちにご支援を賜りますようお願い申し上げます。 ]
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