人間は太古の昔より競争しながら存在してきた。その競争は産業革命以来、奪い合いの状況にあり、食うか食われるかといった猛獣的競争に傾いている。敗者の中には社会の中で自分の居場所を見つけられないか、見つけにくい人がいる。そのタイプを便宜的に3つに大別しておこう。1.自傷他害のケース。自傷は自らに留まるが、他害は被害者とその関係者を突然の不幸に陥れる。例を挙げよう。17歳少年の東大前殺傷事件、18歳少年の岡山駅構内での他者突き落とし事件、18歳少年の西鉄バスハイジャック殺傷事件・・・。事件を起こすのは少年だけでない。大阪・診療所放火殺人事件、秋葉原殺傷事件、大教大付属小殺傷事件・・・。2.うつ、不眠症等のケース。この種の患者は現在、心療内科や精神科にあふれている。3.引きこもりのケース。現在、中高年だけでも61万人余がこの状況にある。
仮に競争の勝者であっても栄光は永遠でない。大阪の警官襲撃ピストル強奪、東京練馬の息子刺殺、東京湯島の息子撲殺、東京新宿の孫による祖父惨殺、・・・。
以上の諸問題は誰の身にも起こりうること。明日は我が身と考えた方がよい。私たちの社会は硬直化している。柔軟な思考法が求められているのではないか。高卒後すぐに大学へ、はよいが、回り道も悪くないし、ペーパーテストの勝者だけを勝者と見るのではなく、職務の中で技能・頭脳を鍛錬した人にも道を大きく開くという複線思考が大切では。学習の目的は高位高所得獲得にあると考えるよりも心の豊かさの涵養にあると見るべきではないか。
競争(勝利)至上主義に偏った、硬直した社会を軟化させる視点の1つは次のことではないか。所得・分配格差の是正(子供の7人に1人は貧困家庭)、非正規雇用の正規化、同一労働同一賃金の完遂、1日8時間労働の定着、年休完全消化とともにサバティカル(的なこと)の導入、行き場を見失っている人には親身に相談にのれる組織と機関の充実、・・・。これに関わって、上記「61万人余」の問題で1つ提案しておこう。この人たちには、このままで現世を終わってもらいたくない。生まれてきて良かったと実感してもらいたいのです。瀬戸内海には限界集落の島があると聞く。その地で空き家を借り受け、つつましい生活の中で、魚をとり、果樹野菜を栽培しながら、体力・能力に応じた労働をしてもらうのはどうだろうか。——理想を言い実現しようとすれば、私たちの所得は多少低下するかもしれないが、安心安全で、落ち着いたゆとりのある社会の形成には何かを耐えねばならないのではないか。私見にはご批判もありましょうが、私たちが日常的に抱えている困難な問題をどうすればよいのかを考えているのです。皆さんも社会の閉塞状況を打開する道を課題にしてくださっては・・・。
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