2018.4.12予知できぬ地震、南海トラフどう対応 議論始まる 中央防災会議|日経新聞2018.4.12
日経記事全文引用
2018年4月12日 初稿
予知できぬ地震、南海トラフどう対応 議論始まる: 日本経済新聞 https://t.co/4R1DWaEouw
— 災害担当記者のつぶやき (@antidisaster) 2018年4月12日
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マグニチュード(M)9クラスの南海トラフ巨大地震を巡り、政府の中央防災会議の作業部会は12日、発生可能性が高まった際の住民避難や企業活動のあり方などについて議論を始めた。予知が困難となり、発生が確実ではない段階での臨時情報の発信へと対応を見直す中、自治体や企業にどこまで具体的な方向性を示せるかが焦点となる。
作業部会は年内に報告書を取りまとめる方針。
12日午前に東京・霞が関で「南海トラフ沿いの異常な現象への防災対応検討ワーキンググループ」の初会合を開いた。委員は地震・防災の専門家や経済団体幹部、県知事ら計19人。
これまで国は南海トラフ巨大地震のうち、東海地震の予知は発生の数日前に可能として対策を進めてきたが、中央防災会議の作業部会が2017年9月に「現在の科学的知見で予知は困難」と報告。国は同年11月から、南海トラフ全体の震源域で前震などの現象が確認された場合に「地震発生の可能性が相対的に高まった」との情報を流す運用を始めている。
しかし、情報発信後の適切な避難方法や企業活動のあり方などは明示されていない。
初会合では議論をまとめる主査の福和伸夫・名古屋大減災連携研究センター長は「暫定的に対応している現在、万が一異常な事態が起きれば社会が混乱する。不確定性のある情報にどう対応するか、具体的な方向性を少しでも早くまとめていく」とあいさつした。
検討のモデル地区に選ばれた静岡県の川勝平太知事は「一律的ではなく対応の多様性が重要」と述べた。高知県の尾崎正直知事は「不確実な情報でもぜひ出してほしいというのが大方の意見」と地域の声を紹介した。
出席した委員からは「命を守る避難活動と経済活動をどう両立させるか」「臨時情報をいつ解除できるかが生活には重要だ」などの声も出た。
今回の作業部会では、自治体や企業の対処法のほか、情報提供の仕組みを社会全体でいかに整えるかなどが主な論点。今後は月1回のペースで集まり、具体的に意見交換していく。
「どこまで避難、操業停止」 事前対応に悩む自治体・企業
南海トラフ巨大地震の事前対応について、国は津波被害が特に大きいとされる高知、静岡両県と中部圏をモデル地区に指定している。2017年11月以降、地震の発生が確実でない段階での情報発信への対応について課題を検討している。
静岡県は40年前から東海地震に備えた具体的な対策を練ってきたが、国が「予知は困難」と判断したため見直しを迫られた。
「住民全ての避難はやり過ぎか」「空港や港を平常通り利用することは妥当か」など地震の発生が確実でない段階での対応を検討。県幹部からは「災害が起きなかった時に、どこまで避難生活を我慢できるのかといったバランスが難しい」などと声が出ている。
企業も判断を迷う。国が中部圏の大企業に聞き取り調査したところ、製造業や百貨店などの24社全てが「(発生可能性が高まったという)情報が出ても操業を続ける」と回答した。
国が予知を前提に設けていた従来の対策は、鉄道や金融などを含む各企業が強制的に営業を止めることになっていたが、今は何も示されていない。自社だけ操業停止すれば経済的損失を生むのではないか、との懸念が影を落とす。
作業部会は今後、こうしたモデル地区で出た意見を生かしながら議論。年内にもまとめる報告書を基に年明け以降、国は具体的な指針づくりを始めたい考えだ。
作業部会は年内に報告書を取りまとめる方針。
12日午前に東京・霞が関で「南海トラフ沿いの異常な現象への防災対応検討ワーキンググループ」の初会合を開いた。委員は地震・防災の専門家や経済団体幹部、県知事ら計19人。
これまで国は南海トラフ巨大地震のうち、東海地震の予知は発生の数日前に可能として対策を進めてきたが、中央防災会議の作業部会が2017年9月に「現在の科学的知見で予知は困難」と報告。国は同年11月から、南海トラフ全体の震源域で前震などの現象が確認された場合に「地震発生の可能性が相対的に高まった」との情報を流す運用を始めている。
しかし、情報発信後の適切な避難方法や企業活動のあり方などは明示されていない。
初会合では議論をまとめる主査の福和伸夫・名古屋大減災連携研究センター長は「暫定的に対応している現在、万が一異常な事態が起きれば社会が混乱する。不確定性のある情報にどう対応するか、具体的な方向性を少しでも早くまとめていく」とあいさつした。
検討のモデル地区に選ばれた静岡県の川勝平太知事は「一律的ではなく対応の多様性が重要」と述べた。高知県の尾崎正直知事は「不確実な情報でもぜひ出してほしいというのが大方の意見」と地域の声を紹介した。
出席した委員からは「命を守る避難活動と経済活動をどう両立させるか」「臨時情報をいつ解除できるかが生活には重要だ」などの声も出た。
今回の作業部会では、自治体や企業の対処法のほか、情報提供の仕組みを社会全体でいかに整えるかなどが主な論点。今後は月1回のペースで集まり、具体的に意見交換していく。
「どこまで避難、操業停止」 事前対応に悩む自治体・企業
南海トラフ巨大地震の事前対応について、国は津波被害が特に大きいとされる高知、静岡両県と中部圏をモデル地区に指定している。2017年11月以降、地震の発生が確実でない段階での情報発信への対応について課題を検討している。
静岡県は40年前から東海地震に備えた具体的な対策を練ってきたが、国が「予知は困難」と判断したため見直しを迫られた。
「住民全ての避難はやり過ぎか」「空港や港を平常通り利用することは妥当か」など地震の発生が確実でない段階での対応を検討。県幹部からは「災害が起きなかった時に、どこまで避難生活を我慢できるのかといったバランスが難しい」などと声が出ている。
企業も判断を迷う。国が中部圏の大企業に聞き取り調査したところ、製造業や百貨店などの24社全てが「(発生可能性が高まったという)情報が出ても操業を続ける」と回答した。
国が予知を前提に設けていた従来の対策は、鉄道や金融などを含む各企業が強制的に営業を止めることになっていたが、今は何も示されていない。自社だけ操業停止すれば経済的損失を生むのではないか、との懸念が影を落とす。
作業部会は今後、こうしたモデル地区で出た意見を生かしながら議論。年内にもまとめる報告書を基に年明け以降、国は具体的な指針づくりを始めたい考えだ。
2018年4月12日 初稿