GooBlog編_おはら野のブログ

_この世は猫のみる夢_

2019.12.9【ミチコ・カクタニ|本: 真実の終わり The Death of Truth/2018著・岡崎玲子訳/集英社2019.6

2019年12月09日 | 《か》ABC_読んだ本・人・ブログ
午後6:39 · 2019年12月8日

 戦時交換船に関しては。『北大生・宮澤弘幸「スパイ冤罪事件」の真相を広める会http://miyazawa-lane.com/』も参照してください。このスパイ冤罪事件のもう一組のアメリカ人教師は、この戦時交換船でアメリカに戻った。角谷静夫氏はアメリカの軍事基地に踏み入ってスパイ容疑を受ける。
(時間が無くなった、また後程)

午後7:26 · 2019年12月8日
 
尊敬すべき書評家ミチコ・カクタニがついに本を書いた。トランプについてである。
ニューヨーク・タイムズの書評家として30年を過ごしたのち、カクタニは彼女の最初の本を書いた。
Jul 31, 2018 · 11 min read
よく分からないことが起きているので、原文をコピペする。URLから原文に行きたい方は上のツイートから入ってください。
全文引用
 ニュースサイトVoxに掲載された“Michiko Kakutani, esteemed book critic, has finally written a book. It’s about Trump.”という記事の翻訳です。この訳文はCreative Commons(Attribution, non-commercial, share alike)ライセンスにて公開していますが、これは訳文に対して適用されることを意図しており、元記事のいかなる権利も侵害する意図はありません。問題がありましたら、可能な限り早く対応いたしますので、ご連絡ください。また、誤訳・不適切な表現等ありましたらご指摘ください。以下、訳文です。

エリック・アレン・ビーン 2018年7月25日 12:50pm EDT
 「彼の嘘は私たちをすり減らすことを意図しています」と、ピュリッツァー賞受賞者の書評家ミチコ・カクタニは、私たちの大統領について語る。「私たちを圧倒し、疲弊させ、人々が事実と虚構を区別するのをやめるところまで冷笑的にさせます。」
 これは、彼女の最初の本、薄くはあるが広範囲にわたる彼女の新しい本「The Death of Truth(真実の死)」の中でカクタニが記録した現実の本質に関する多くの思索の1つにすぎない。その根本では、「The Death of Truth」は、いかにして真実の概念が、私たちの現在の瞬間においてかくも争われるようになったのかという疑問を探求しようとしている。カクタニは、客観性に対する攻撃は新しいものではないことを認めているが、ポストモダニズムとソーシャルメディアによって、近年では「指数関数的に加速」されていると主張している。
 ニューヨーク・タイムズの前主任書評家であるカクタニは、昨年退職するまで38年間この新聞のために働いた(彼女はまだこの新聞のために定期的に記事を書いている)。在任期間中、彼女は間違いなく米国で最も影響力のある書評家であり、ゼイディー・スミス(Zadie Smith)、デヴィッド・フォスター・ウォレス(David Foster Wallace)、ジョージ・サンダース(George Saunders)のような作家たちのキャリアを押し上げるのに重要な役割を果たした。彼女が有力になりすぎており、出版界にあまりにも多くの影響を与えていると思う人もいた。
 彼女はその痛烈な批評によって、ノーマン・メイラー(Norman Mailer)、ゴア・ヴィダル(Gore Vidal)、ジョナサン・フランゼン(Jonathan Franzen)のような作家たちによって恐れられ、嫌われていた。しかし彼女は、タイムズ紙に勤務している間は常にスポットライトを避け、インタビューや公開討論を拒否し、写真に現れることはほとんどなかった。彼女の知的な範囲と過去数十年間におけるその成果を考えると、「The Death of Truth」が彼女の最初の本であるのは驚きだ。
 私は、真実を攻撃する人たちに対する反応はどのようなものであるべきか、芸術家は政治的になる責任があるか否か、故フィリップ・ロス(Philip Roth)についての彼女の考え、そしてもし可能ならトランプとマイク・ペンスにどの本を薦めるかなどについて、カクタニと話した。以下は、簡単に編集され、簡略化された私たちの会話である。

エリック・アレン・ビーン
 あなたは、ポストモダニズムのいくつかの「安易な帰結」がポピュリズム右派の思考に浸透していると書いています。
ミチコ・カクタニ
 ポストモダニズムは、壮大で包括的な物語を疑うことによって、私たちが文章や出来事の読み方を形作る上で視点が果たす役割を強調しました。そのような考え方は革新的で画期的な芸術をもたらしました。ほんの少し名前を挙げるなら、デヴィッド・フォスター・ウォレス、クエンティン・タランティーノ(Quentin Tarantino)、フランク・ゲーリー(Frank Gehry)の作品を考えてみてください。ポストモダニズムは歴史のかつては狭かった門を、これまでに疎外されてきた視点に対して開け放ちました。
 しかしその中で、さまざまな考え方がポップカルチャーへと浸透し、「Me Decade」のナルシシズムと融合し、そしてまた、人々が自分の意見を科学的な証拠によって検証された客観的真理や真剣な調査報道と同じくらい有効であると主張することを可能にするような、より矮小化された形態の相対主義へと至りました。気候変動の否定論者は同じだけの時間を要求し、創造論者はインテリジェントデザインが「科学に基づく」進化とともに教えられるべきだと論じ、そしてフォックスニュースはそれが「公平でバランスのとれた」ものであると主張しました。これらすべてが、ドナルド・トランプ、オルト・ライトのトロールたち、そしてロシアのプロパガンダの流布者たちの嘘が根を張ることができるような肥沃な土壌を提供しました。
エリック・アレン・ビーン
 あなたがこの本で跡付けているように、トランプはどこからともなく出てきたわけではありません。権力者はしばしば真実が何であるかを定義しようとするという考え方をよりよく理解する上で、過去の作家から何か助けを得ることはできますか?
ミチコ・カクタニ
 ハンナ・アーレント(Hannah Arendt)による本、たとえば「The Origins of Totalitarianism(全体主義の起源)」や「Crises of the Republic(共和国の危機)」は、真実を強奪することがナチズムとスターリニズムの台頭の中で果たした役割を調べています。彼女の仕事は、いかにして歴史の中で最も醜悪な2つの政権が20世紀に権力へと至ったのかについての見方を与えるだけでなく、マーガレット・アトウッド(Margaret Atwood)が「危険の旗」と呼んだもの、つまり人々を大衆扇動とプロパガンダの影響を受けやすくさせ、そして国家を将来の独裁者にとっての簡単な獲物とするようなものに対する、より普遍的な分析を与えるでしょう。
 オーストリアの作家シュテファン・ツヴァイク(Stefan Zweig)の1942年の回顧録「The World of Yesterday(昨日の世界)」は、第一次世界大戦でヨーロッパがどのようにして自らを切り裂き、ほんの数十年後に第二次世界大戦の惨劇へと急速に傾いていったのかについての忘れがたい記述を読者にもたらし、恐怖と憎悪に対する感情的な訴えによっていかに簡単に理性と科学が放逐されるかを示しています。
 リチャード・ホフスタッター(Richard Hofstadter)による本「The Paranoid Style in American Politics」と「Anti-Intellectualism in American Life(アメリカの反知性主義)」は、不平、剥奪、および陰謀論的思考によって駆り立てられたアメリカ史における思考の暗い気質についてのエピソード的な波を記録しています。以前の噴出には、1850年代半ばの反カトリック・反移民のノウ・ナッシング党の人気や、1950年代のマッカーシズムの拡散が含まれます。
エリック・アレン・ビーン
 昨年まであなたは、当たり前ですが、ニューヨーク・タイムズの日々の主任書評家でした。そして、あなたはキャリアの大部分で自分自身を前面や中心に置くのを避けていました。公的なイベント、インタビュー、写真などです。なぜあなたはそのアプローチをとったのですか?そして、この本を宣伝する中で、以前よりも多く自分をそのような状況に置くというのは困難なことですか?
ミチコ・カクタニ
 私は恥ずかしがり屋ですので、私の文章がそれ自身で語るようにすることを好みました。実際、1つには私はいつも人として直接というよりも紙の上での方がより明瞭であると感じていることもあって、私は作家になったのでしょう。「The Death of Truth」の執筆は、私がタイムズ紙でやっていたことからの自然な進歩のように感じました — 私が批評家として書いたノートの類を増幅したようなものです。
エリック・アレン・ビーン
 あなたがこれまでに出した注目すべき批評のうちで、考えが変わったものはありますか?
ミチコ・カクタニ
 ほとんどの読者は、ある本を何年も経った後に再読したら、その本について多少は違った考えをするでしょう。個々の本に関する私の見解は、おそらく進化していますが、 — あるいは、その著者の後の作品を読むことにより微調整されていますが — 特定の本に対する私の見方がより根本的に変わったという例は思い浮かびません。
エリック・アレン・ビーン
 あなたは「出版界で最も恐れられた女性」 と呼ばれてきました。そして、私はあなたがタイムズ紙にいた時期に受けたひどい反論のいくつかについて知っていると確信しています。特にジョナサン・フランゼンのような作家は、あなたが彼の回想録を酷評した後にあなたのことを「ニューヨークで最も愚かな人間」と呼びました。それらの個人的な攻撃をどのように見ていましたか?
ミチコ・カクタニ
 私は物事を決して個人的に受け取らないようにしました。私はすべての本をその真価に基づいて批評するよう心がけていました。著者が私について言ったことは、私がどのようにして本にアプローチするかとは無関係でした。偶然にも、私はフランゼンの最後の2つの小説に非常に感銘を受けたため、私の批評の中でそう述べました。
エリック・アレン・ビーン
 あなたはフィリップ・ロスの作品の擁護者であり、「The Death of Truth」の終わりに向かうところで彼を引用しています。しかしながら、多くの人々はロスの作品を不快だと思っており、しばしば彼の本は女性嫌いの人間による性的な権利意識に満ちていると主張しています。この批判は公正だと思いますか?
ミチコ・カクタニ
 フィリップ・ロスは、「The Human Stain(ヒューマン・ステイン)」や「The Plot Against America(プロット・アゲンスト・アメリカ もしもアメリカが…)」のような作品において、アメリカの経験を定義するのを手助けしてきた作家でした。同時にまた、彼のフィクションの多くは、1960年代の余波におけるこの国のナルシシズム的で内向きの傾向を反映していました。
 私は彼の1997年の小説「American Pastoral」を戦後小説の傑作のひとつと見なし、ロスの無数の贈り物を大いに称賛しました。アメリカ人が反逆や改革の原則とその結果としての根無し草的な感覚とを受け入れていることに対する彼の挑発的な探求、紙の上で彼自身の人生を複雑にする彼の飽くなき能力、彼の言葉の創造性と彼の熱に浮かれたような機知。
 ロスは、「American Pastoral」と「The Human Stain」で真に複雑な女性キャラクターをいくつか作り出すことに成功しましたが、彼の本の中の女性の多くは、単純な欲望の対象物またはロスのヒーローたちを無限にいらだたせる原因として浅く描かれています。私は、たとえば「Sabbath’s Theater」のような作品には非常に批判的でした。それは、残酷で軽蔑的に女性を扱うナルシシストのうんざりするような、故意に不快感を与える描写だと私には見えました。
 しかし、ロスは必ずしも彼の女性嫌いのヒーローの視点を支持するとは限りませんし、実際にはそれらのキャラクターは、その身勝手さや愛することができないことによって自分自身や周囲の人々を傷つけるような、過ちを犯す、限られた、深刻な欠陥のあるキャラクターとして現れています。
エリック・アレン・ビーン
 今日の芸術家は政治に取り組む責任がありますか?
ミチコ・カクタニ
 芸術家は自分自身の想像力が鼓舞するものに従う自由を持つ必要があります。その自由は民主主義によって授けられます。芸術家が1つの種類の芸術を生み出すことが期待されているのは独裁国家だけです。時に芸術は、フランツ・カフカ(Franz Kafka)の小説や物語のように、最も個人的な源から湧き出たものが、大きな政治的、歴史的共鳴を得るようになります。
エリック・アレン・ビーン
 もしあなたがトランプに1冊、マイク・ペンスに1冊、別の本を薦めることができるとしたら、何にしますか?
ミチコ・カクタニ
 トランプには、シェイクスピアの「Richard III(リチャード3世)」を。ペンスには、ジル・トウィス(Jill Twiss)とマーロン・ブンド(Marlon Bundo)による「John Oliver Presents a Day in the Life of Marlon Bundo」を。

エリック・アレン・ビーンは、ウォール・ストリート・ジャーナル、ボストン・グローブ、ヴァイス、プレイボーイ、ニュー・リパブリック、ロサンゼルス・レビュー・オブ・ブックス、アトランティックに記事を書いてきたフリー・ライターです。


『真実の終わり』を読みながら違和感を覚えた。で、上のブログ記事を見つけて読んだら、ほぼ納得できた。エリック・アレン・ビーンとミチコ・カクタニの対談を読んでからのほうが、『真実の終わり』は読みやすい。

上記訳文の、V0xに投稿された記事(原文)↓
午後1:56 · 2019年12月9日

Michiko Kakutani, esteemed book critic, has finally written a book. It’s about Trump.
After three decades as the New York Times’s book critic, Kakutani has written her first book.
By Eric Allen Been Jul 25, 2018, 12:50pm EDT
  https://www.vox.com/2018/7/25/17612566/trump-michiko-kakutani-new-york-times-book-critic

by龍隆2019.12.9

 ようやくゆっくり読む気になった。流し読みじゃなくて。
by龍隆2020.6.3

 上の対談から抜き出した。1941年に不動点定理を発表した数学者角谷静夫を父親に、日系人収容所に収容された経験を持つ母に育てられた、ミチコ・カクタニ氏は、「物事を個人的に受け取らない、私について言ったことは、私が著書について書いたことと無関係だったから、」と。多分、父親が書いた論文に対する反論が、論文の内実以外のことであれば、関係ないのだ、と。科学者の論争ってそうだよね。
エリック・アレン・ビーン
 あなたは「出版界で最も恐れられた女性」 と呼ばれてきました。そして、私はあなたがタイムズ紙にいた時期に受けたひどい反論のいくつかについて知っていると確信しています。特にジョナサン・フランゼンのような作家は、あなたが彼の回想録を酷評した後にあなたのことを「ニューヨークで最も愚かな人間」と呼びました。それらの個人的な攻撃をどのように見ていましたか?
ミチコ・カクタニ
 私は物事を決して個人的に受け取らないようにしました。私はすべての本をその真価に基づいて批評するよう心がけていました。著者が私について言ったことは、私がどのようにして本にアプローチするかとは無関係でした。偶然にも、私はフランゼンの最後の2つの小説に非常に感銘を受けたため、私の批評の中でそう述べました。

by龍隆2021.2.16

2019.12.9【ミチコ・カクタニ|本: 真実の終わり The Death of Truth/2018著・岡崎玲子訳/集英社2019.6
真実の終わり The Death of Truth/ミチコ・カクタニ2018著・岡崎玲子訳/集英社2019.6 山東//滋賀ほか
集英社:紹介 http://renzaburo.jp/shinkan_list/temaemiso/190531_book02.html
内田樹の研究室|『真実の終り』2019-05-10 vendredi
  http://blog.tatsuru.com/2019/05/10_1030.html
「真実の終わり」(ミチコ・カクタニ、集英社、2019年)の書評をある雑誌から頼まれた。たいへん面白い本だったので、すぐに書評を書いた。書き終えてから原稿依頼メールを見たら「800字」とあった。
 3000字近く書いてしまっていたので、しかたがないので、短くしたものを雑誌に送った。せっかく書いたものなので、ロングヴァージョンをここに上げておくことにした。
 ソーカル=ブリクモンの『知の欺瞞』はフランスの哲学者たちがどうしてあれほど分かりにくく書くのかについての憤激に動機づけられたものだったけれど、『真実の終り』はそれから20年後に何が起きたのかを教えてくれる。

内田樹氏の挨拶。一般的で当り障りない。でも、2019年6月10日第一刷発行の本の書評を5月10日に書けるのだろうか。校正刷り段階のテキストをもらったのかな、、そうしておこう。そっかオリジナルの英語版を読んだのか。
by龍隆2019.12.9



紹介:関連するおはら野のブログ記事名orURL
2020.12.28/2021.1.19更新【ミチコ・カクタニ|ポストモダンと自分中心時代(Me Decade): 本:真実の終わり
https://blog.goo.ne.jp/owarano51/e/9293af6ee12107c0844e7424e4f7d8fa

 
研究者リサーチreserchMap:https://researchmap.jp/researchers(研究者氏名を入力)

《滋賀県立図書館横断検索》画面
(どこかに在架あれば、最寄り図書館へ取り寄せできるサービス)
 http://cross.shiga-pref-library.jp/dog/crs/
長浜市立図書館(長浜・びわ・浅井・虎姫・湖北・高月・余呉)の簡単検索
 https://www.library.city.nagahama.shiga.jp/WebOpac/webopac/index.do?clear=1&target=adult
米原市立図書館(近江・山東)の簡単検索
新:https://www.lics-saas.nexs-service.jp/maibara/webopac/index.do?target=adult
「書籍横断検索システム」は、オンライン書店の横断検索システムです。
 http://book.tsuhankensaku.com/hon/
by龍隆2020.6.3
by龍隆2021.2.16
** ここより下は本文記事ではありません(#ハッシュタグの表示を除いて) **



最新の画像もっと見る