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2020.6.1COVID-19【 池内 恵|ニューズウイーク日本(2020年6月1日: すばらしい「まだら状」の新世界_冷戦後からコロナ後へ

2020年06月01日 | ⑺_①COVID-19《戦争・治安に協力する公衆衛生学|新興感染症コロナウイルス
 カテゴリーを変えるかも(URLアドレスは変わりません)。
午後4:32 · 2020年6月1日


午前3:06 · 2020年6月1日

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鈴木一人
午前9:17 · 2020年6月1日

午前8:51 · 2020年6月1日



**広告や本文と関係のないイメージ画像などに、病的なまでに気が散ってしまう。ゆっくり読みたい記事を、全文をコピペして引用してる(引用元URLを書いて)
by龍隆2020.6.2

池内 恵|ニューズウイーク日本(2020年6月1日(月)16時35分:
 すばらしい「まだら状」の新世界_冷戦後からコロナ後へ
  池内 恵(東京大学先端科学技術研究センター教授)※アステイオン92より転載
https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2020/06/post-93562.php
<冷戦後、自由主義と民主主義の理念が世界を覆うように思われた。しかし、実際にはイスラーム過激派が台頭、米欧は内部に深い亀裂と分裂を抱えている。このようなちくはぐな状況を池内恵・東京大学教授は「まだら状の秩序」と呼ぶ。コロナの夜が明けた時に世界秩序はどう変わっているか。論壇誌「アステイオン」92号は「世界を覆う『まだら状の秩序』」特集。巻頭言を全文転載する>

冷戦が終結した時、三〇年後の世界がこのようなものになっていると、誰が予想しただろうか。フランシス・フクヤマは『歴史の終わり』で、自由主義と民主主義が世界の隅々まで行き渡っていく、均質化した世界像を描いた。それに対してサミュエル・ハンチントンは『文明の衝突』で、宗教や民族を中心にした歴史的な文明圏による結束の根強さと、それによる世界の分裂と対立を構想した。

いずれの説が正しかったのだろうか? 確かに、世界の均質化は進み、世界の隅々まで到達したインターネットとスマートフォンの上で、自由主義や民主主義の理念も、気軽に手にして呼びかけることができる商品であるかのように普及した。しかしそれらが現実の制度として定着し、実現しているかというと、心もとない。

それではハンチントンの言う「文明の衝突」が生じたのか。確かに、冷戦終結直後のバルカン半島の民族紛争や、二〇〇一年のアル=カーイダによる九・一一事件をきっかけとした、米国とイスラーム過激派勢力とのグローバルなテロと対テロ戦争の応酬、二〇一四年のイラクとシリアでの「イスラーム国」の台頭、といった事象を並べれば、世界は宗教や民族による分断と対立によって彩られているように感じられる。しかし実際の世界は、文明によって明確に分かたれていない。文明間を分け隔てる「鉄のカーテン」は、地図上のどこにもない。

むしろ「文明の内なる衝突」の方が顕在化し、長期化している。イスラーム過激派は世界のイスラーム教徒とその国々を、国内政治においても、国際政治においてもまとめる求心力や統率力を持っていない。実際に生じているのは、イスラーム教徒の間の宗派対立であり、イスラーム諸国の中の内戦であり、イスラーム諸国の間の不和と非協力である。

求心力と輝きを失う、米国と西欧
「イスラーム国」やアル=カーイダの脅威を受けるのは、なによりもまず中東やアフリカのイスラーム諸国であり、人々は宗教規範を掲げた独善を武力で押し付けるイスラーム過激派の抑圧から逃れるには、劣らず抑圧的な軍部・軍閥の元に庇護を求めるしかない、という苦しい選択を迫られている。

これに向き合って、自由主義と民主主義の牙城となるはずの米国や西欧もまた、求心力を失い、内部に深い亀裂と分裂を抱えている。「欧米世界」の一体性と、その指導力、そしてそれが世界を魅了していた輝きは、多分に翳りを見せ始めている。「欧米世界」は、外からは中国やロシアによる地政学的な挑戦を前にじりじりと後退を余儀なくされ、内からは、英国のEU離脱、米国のトランプ政権にまつわる激しい分断に顕著な、揺らぎと分裂の様相を示している。冷戦後に「欧米世界」に歓喜して加わった東欧諸国をはじめとしたEUの周縁諸国からは、あからさまに自由主義や民主主義をかなぐり捨て、ポピュリズムと権威主義の誘惑に身を投げるかのような動きが現れている。
2p
「イスラーム国」が示した、「まだら」な秩序変化
歴史は自由主義と民主主義の勝利で終わったわけでもなく、まとまりをもった巨大文明圏が複数立ち上がって世界を分かつこともなさそうである。

現在の世界秩序を何と呼べばいいのだろうか? 私は試みにそれを「まだら状の秩序」と呼んでみている。「まだら状」とは何か? それははたして「秩序」と言いうるものなのか?

現在の世界地図は、政治体制によっても、宗教や民族によっても、明確に分かたれていない。自由主義とイスラーム主義といったイデオロギーによる断裂の線は、地理的な境界を持たず、中東でもアフリカでも、欧米の国々でも、社会の内側に走っている。

個々人の内側も、一方で、手にしたスマートフォンを今更手放せないのと同様に、慣れ親しんだ自由を享受せずにはいられないにもかかわらず、他方で、強い指導者に難問を委ね、即断即決の強権発動で解決してもらおうという心性に、知らずのうちに侵食されている。ここに「まだら」な状態が生じてくる。

「イスラーム国」が示した、「まだら」な秩序変化
「イスラーム国」は、世界が様々な脅威によって不意に「まだら」に侵食されて変容する秩序変化のあり方を、先駆的に示したものだったと言えるのではないか。二〇一四年から二〇一八年にかけて急速に支配領域を拡大し、そして急速に消え去った「イスラーム国」という現象は、旧来の世界史記述にあるような帝国や国家の盛衰とは、メカニズムを異にする。組織的な中央政府が秩序立った軍を整備して領域を拡大し、周辺諸国を「併呑」して国境線を外に広げていくのではなく、各地にポツポツと現れた「イスラーム国」への共鳴者たちが、それぞれの街区や町や地域を支配して、「まだら状」に支配領域を広げていく。従来の国家が国境と領土の連続性と一体性を原則とし、面的に広がっていくことを競ったのに対して、「イスラーム国」は地理的な連続性と一体性に囚われない。まるで散らばった水滴が繋がって水たまりとなり、池となり、やがては大海となるかのように、分散した主体が、各地で同じ方向の同じ動きを繰り返すうちに、外的環境が整うことによって結びつき、奔流のような勢いを持ち始める。

これを既存の国家や国際システムが押さえ込むには、多大な労力と犠牲を必要とする。「イスラーム国」のメカニズムは、イスラーム教の共通の規範体系という前近代に確立された「インフラ」を、グローバル化による移動の自由の拡大、情報通信の手段の普及という現代のインフラと結合させ、双方の恩恵を存分に受け、活用したものだった。確固とした中央組織を持たず、インターネットを通じて不特定多数に対して、イスラーム教の特定の規範の履行義務を繰り返し呼びかけ、自発的な呼応を誘う。これによって各地に「まだら状」に現れた同調者・小集団が個別に行う運動を、インターネット上で集約し、一つのものとして発信し、認知させる。それがまた新たな呼応者を生んでいく。
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世界に広がる、「まだら状の秩序」

各個人がイスラーム主義の理念に惹かれ呼応する、内なる動因に依拠した運動を抑圧するには、多大な自由の抑圧を伴いかねない。イスラーム過激派を抑圧するための行動が、自由主義と民主主義の抑圧をもたらしてしまうというジレンマである。「イスラーム国」が活性化した二〇一四年から二〇一八年にかけて、それを根絶するために、自由主義と民主主義の側が自らの理念を返上し、結果的に「イスラーム国」の理念が勝利するというディストピアの実現のすれすれまで、世界は知らずのうちに追い込まれたとも言えよう。「イスラーム国」の組織の消滅は、「イスラーム国」の理念を撲滅したわけでもなく、さらに、「イスラーム国」が「まだら状」に発生し拡大することを可能にしたグローバル化と情報通信技術の普及を止めたわけでもない。同様の事象は、条件が変わらなければ、今後常に起こりうる。それは中東やイスラーム世界から起こるとは限らない。グローバルな条件が可能にする、グローバルな危機の震源は、「まだら」な世界地図のひとつひとつの斑点のように、世界各地に、究極的にはわれわれ一人ひとりの内側に、点在している。

世界に広がる、「まだら状の秩序」
この「まだら状」の現代世界をどのように記していけばいいのか? 今回の特集では、中東を中心に、一様ではない各地の情勢を、それぞれの地域に根ざした視点から描いてもらうために、地域研究者を中心に寄稿を呼びかけた。執筆者が位置する場所と背景は、グローバル化を反映して多様で多彩であり、執筆者のアイデンティティを一言で言うことも難しい。「最高指導者と革命防衛隊―イランを支配しているのは誰か?」でイランのイスラーム革命体制の変質を、革命防衛隊による権力中枢の侵食による、ある種の緩慢なクーデタとして描いたアリー・アルフォネ氏は、テヘランに生まれ、デンマークで育った後、現在は米国の首都ワシントンにあるアラブ湾岸諸国研究所に職を得ている。

同じくワシントンのジョージ・ワシントン大学で政治学・中東政治の教鞭を執るネイサン・J・ブラウン教授からは「宗教と国家―エジプトの権力構造における宗教機構」で、イランのシーア派の革命統治体制と対照的な、エジプトのスンニ派の宗教―国家関係の現在を、歴史と制度に遡って解読してもらった。

中東のもうひとつの大国トルコについては、首都アンカラに商工会議所・経済団体が設立したTOBB経済工科大学で国際関係・中東政治を教えるシャーバン・カルダシュ准教授に、中東の秩序崩壊・溶解の中で国家としての一体性を保ち、地域政治における指導力・存在感を高めるトルコの戦略的意図や目標を「戦略的自律性の追求―アラブの春の挫折とトルコ外交」で解説してもらった。
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コロナの夜が明けた後の「すばらしい」世界秩序
「まだら状」の秩序は中東やイスラーム圏にのみ限定されるものではない。オスマン帝国やペルシア帝国と並んで前近代のユーラシアの秩序を形成していたロシア帝国の周辺領域もまた、秩序が「まだら状」になりやすい条件を備えていると考えられる。これについては廣瀬陽子(慶應義塾大学教授)に「南コーカサスにおける非民主的な「安定」」を寄稿していただいた。さらに、清水謙(立教大学助教)「変わりゆく世界秩序のメルクマール―試練の中のスウェーデン」が示してくれているように、自由主義や民主主義の理念が最も安定して実現していると考えられてきた北欧にも、内なる動揺は忍び寄っているようである。岩間陽子(政策研究大学院大学教授)による「権威主義への曲がり角?―反グローバリゼーションに揺れるEU」と、近藤大介(ジャーナリスト)「習近平の社会思想学習」によって、特集の視野は全世界に及んでいる。

コロナの夜が明けた後の「すばらしい」世界秩序
冷戦後の秩序に染み出してきた斑点のような、変質の兆しを各地の政治の現実から読み解く本特集をどうにか編み終えた時、新型コロナウイルスの爆発的伝播によりグローバル化は急停止し、近代初期か、あるいはそれ以前の状態にまで巻き戻された。国境は閉ざされ、国家はその国民を呼び戻し、グローバルな移動の自由を享受していた人々は不意にその国籍と登録居住地に縛り付けられた。そこに民族の一体感や連帯感は乏しい。国民を呼び戻した国家は、慌ただしく「点呼」するかのように人々を数えるが、その後集団として動員するのではなく、分断し、隔離する。人々はそれぞれの部屋に閉じこもり、人と人との繋がりを極限まで断つことを求められている。公衆衛生のために、人々の私的自由と権利は大幅に制限された。

コロナの夜が明けた時に、世界秩序はどう変わっているのだろうか。グローバル化のインフラに乗って、ウイルスという斑点が急激に現れ、繋がって世界を覆った過程を、われわれはまだ正確に追えていないし、その当面の帰結を飲み込めていない。長期的な帰結についてはなおさらだろう。世界が一変するその直前に、「まだら状の秩序」を凝視する作業によって変化の片鱗を見出そうとしていたわれわれの営為は、危機が去った後に、どのように見えてくるのか。本誌が刊行され、どれだけの時間をかけてでも、いつか読者の目に届いた時に、世界はどう見えているのだろうか。新しい世界が「すばらしい」ものであることを祈っている。

池内恵(Satoshi Ikeuchi)
1973年生まれ。東京大学大学院総合文化研究科博士課程単位取得退学。国際日本文化研究センター准教授、アレクサンドリア大学(エジプト)客員教授東京大学先端科学技術研究センター准教授を経て、現職。専門はアラブ研究。著書に、『現代アラブの社会思想』(講談社)、『アラブ政治の今を読む』(中央公論新社)、『書物の運命』(文藝春秋)、『イスラーム世界の論じ方』(中央公論新社、サントリー学芸賞)など。


当記事は「アステイオン92」からの転載記事です。
『アステイオン92』
 特集「世界を覆う『まだら状の秩序』」
 公益財団法人サントリー文化財団
 アステイオン編集委員会 編
 CCCメディアハウス
(引用終わり)


池内恵|運営サイト・ブログ名: 中東・イスラーム学の風姿花伝
 http://ikeuchisatoshi.com/
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by龍隆2020.56.1
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