GooBlog編_おはら野のブログ

_この世は猫のみる夢_

2020.6.20COVID-19【岩田健太郎|BEST TIMES(KKベストセラーズ)2020.05.30: 岩田健太郎医師「科学は検証を経て、真実に少しずつ近づいていく」【緊急連載④最終回】

2020年06月20日 | ⑺_①COVID-19《戦争・治安に協力する公衆衛生学|新興感染症コロナウイルス
午前8:59 · 2020年6月20日
 
 岩田健太郎氏、何かと騒々しいが、まとめの一つになる。
 BEST TIMES←KKベストセラーズ。ワニブックや、細木の大ベストセラーを出した個性的出版社。ここも騒ぎを大きくして売り上げを稼ぐ出版社。

**かてごりーは変更するかも
by龍隆2020.6.20

岩田健太郎医師「科学は検証を経て、真実に少しずつ近づいていく」【緊急連載④最終回】
文:岩田健太郎 写真:ZUMA Press/アフロ 構成:甲斐荘秀生
藤井聡氏公開質問状への見解(第4回:最終回)
https://www.kk-bestsellers.com/articles/-/521889/
 京都大学教授で元内閣参与だった藤井聡氏が、感染症対策専門家会議の尾身茂先生と、感染症数理モデルの専門家として情報の発信と政府への助言をしている西浦博先生に対して、批判文と公開質問状をネットで公開しました。内容は以下になります(以下【当該資料】参照)。

 【当該資料】2020年5月21日『「新」経世済民新聞』【藤井聡】【正式の回答を要請します】わたしは、西浦・尾身氏らによる「GW空けの緊急事態延長」支持は「大罪」であると考えます。
https://38news.jp/economy/15951(新経世済民新聞|2020年5月21日)
 藤井氏の意見と質問状のポイントを整理すると、さらに以下になります。

 (1)「4月7日時点」の「8割自粛戦略という判断」そのものは「結果論」では責められない
 (2)実証的事後検証は「8割自粛戦略は、無意味で不要だった」事を明らかにした
 (3)8割自粛戦略は、無意味で不要だっただけでなく、単に「有害」だった(経済的に「有害」だった)(倒産や失業をたくさん出す結果になった)
 (4)4月7日の「緊急事態宣言/8割自粛」の政府判断は「間違い」だった(次に感染の第二波が来たとしたら、より経済的被害の少ない対策を取るべきである。例:「100人以上のイベントのみ中止」など)
 (5)西浦氏・専門家委員会が「GW空けの緊急事態解除」を科学者として主張しなかったのは国家経済破壊の「大罪」である(GW明けには実効再生産数<1がわかっていたはずである)

 また新潟県前知事の米山隆一氏や三浦瑠麗氏、堀江貴文氏などメディアでの発言力が大きい人たちまでが参戦し、藤井氏と同じような議論を展開しはじめています。

 藤井聡氏による、尾身氏、西浦氏に対する批判とはいったい何を根拠に語っているのか? またその批判する考え方そのものはどういう意味があるのか?

 「感染の問題」と「経済の問題」を混乱させたまま進む議論に対して、感染症専門医の第一人者・岩田健太郎氏に、一度議論の内容を整理していただき、感染症専門家の立場から藤井氏の意見に対する見解をうかがった————

◼️ 誰が決めているのかわからない
//画像//
 日本の場合は「専門家会議」と呼ばれている団体が、どこまで政策決定に寄与しているのかが非常に不透明です。

 例えば「3月23日に関西三府県で緊急事態宣言を解除するという方向で調整中。3月21日に専門家による諮問委員会を開いて最終決定する」という内容をNHKのニュースなどが報道していました。これでは、緊急事態宣言の解除を決めているのが専門家なのか、官僚なのか、政治家なのかが全然わからないですよね。

 いかにも判断を専門家にかけてるんですが、要するに出来レースなわけです。ちゃんと根回しして「ここでGOを出しましょう」と宣言を出す段取りまでを整えちゃってるわけですよね。

 我々にもそこまではわかるんだけど、だれがシナリオをつくっているかはさっぱりわからない。西浦先生なのか、尾身先生なのか、官僚なのか、大臣なのか、さっぱりわからないですね。

 これは日本の感染症対策では昔からある問題です。科学の、行政の、政治の役割がどこからどこまでかというのが全然決まっていない。端的に言うとCDC(アメリカ他諸外国で設置されている、感染症対策の専門機関)が無いので、不透明なままで決めている。専門家会議の資料だって、どこまでが専門家の自筆で、どこからが官僚の作文で、どの部分が政治家の横槍だか分からない。

 まあ、その意思決定プロセスの不透明さは日本の大きな問題です。いずれにしても、そのようにどこにだれの責任があるか明確でない意思決定について、西浦先生など個々人にその責任を全部投げるのは不適切です。西浦先生だって、この文章は我が意を得たり、この部分は不本意ながら、というのがあるとは思いますし。

 藤井先生がもし「GW明けの緊急事態解除の延長」そのものを批判するのなら、そう批判すればいいのであり、「コト」の問題を「ヒト」の問題に転化するのはフェアな議論だとは思いません。

 それとは別に、延長を決定したのはなんなのか、だれなのかも明確にすべきですね。それがジャーナリストの役割か政治家の役割かはわかりませんけど。

 それがわからない状況で個々人を責めるのは不適当だし、第1回で申し上げた通り「西浦先生がいない世界」と「いる世界」では、「いる世界」のほうが遥かに、遥かに、遥かにマシです。それは西浦先生の計算が正しくても、間違っていてもそうなんです(<―ここは繰り返しますが、非常に重要なポイントです)。

 これは官僚の方にお会いする時にも言うことですけれど、西浦先生が出すモデルやひとつひとつの計算結果は、我々がものを考える上での「土台」として存在しています。その土台はとっても大事で、必要なんですよ。
2p
◼️対応を検証し、第二波に備える
//画像//
 藤井先生の議論の中でぼくが「正しいな」と思ったのは、今回の対応についてこのままスルーしてはいけない、検証しないといけないということです。

 「〇〇さんの大罪だ」みたいな言い方をするのはよくないと思うんですけど、かといって「これは終わったことだから、もういいじゃないか」っていうのも、やっぱり間違いです。第一波を乗り越えたこの一連の流れは、「志村けんさんがお亡くなりになった」などの偶然の要素も大きい可能性もあるわけです。それは、換言するならば一種の「まぐれ」の可能性です。全面的に「まぐれ」ではないにしても、そういう「要素」があった可能性は十分にあります。

 緊急事態宣言そのものは罰則規定もなにもないスローガンみたいなもので、効果はみなさんの気持ちに依存していました。だからどうなるかは蓋を開けてみるまで誰にもわからなかった。幸か不幸か日本の場合は、だんだんみんなが自粛モードになって、ある意味「過剰な自粛」もしたので「案外」うまくいったところがあります。

 ぼくの実家の島根県なんかではほとんど感染者がでてないのに、軒並みお店が閉じて、公園も閉じて、誰も外に出なくなった地域もあったそうです。「そこまで過剰にやる必要はなかった」と言われれば、なかったとも思うんですけど、日本の場合は同調圧力が非常に強いので、それが多分感染症のコントロールという観点からは「いい方向」に作用した。

 それが経済的に有害だったかというと、もちろん有害だったに決まっています。ぼく自身4月に入ってから「少なくとも東京ではロックダウンすべきだ」と主張しましたが、もちろんロックダウンは経済へのダメージがすごく大きい。

 ぼくの意見では、感染がすごく激しい地域でもっと激しいロックダウンをして、ズバッと短期的に感染者を減らしてパッと解除するほうが望ましかったと思っています。これは今後いろんなシミュレーションをして、いろいろなパターンのロックダウンのもたらす感染予防効果や経済への影響を比較すれば、解析・検証できることでしょう。

 同じように、藤井先生のご指摘の通り、GW明けにさらに延期する意味があったかについても検証の余地があると思います。

 どの辺が狙った通りで、どの辺が計算違いだったのか。経済活動の抑制はどの辺がやらなすぎで、どの辺がやりすぎだったのか。47都道府県みんな一律に扱うやり方が本当に適切だったのか、違うシナリオのほうがベターだったのか。きちんと検証して、第二波の可能性に備えるべきでしょう。

 この連載の第3回で「報告の遅れ」の問題を紹介しました。報告の遅れが生じなければ、もっとリアルタイムに「いまなにが起きているか」が理解できたはずですが、それをもたらしたのは現場の非効率です。

 つまり、保健所が使い叩かれた。「保健所を介さないと何も起きない」という非常に非効率なスキームのために、東京では情報が麻痺して混乱が起きたのは間違いないですから、第二波が来るまでにこの問題は絶対に解決すべきです。

 保健所の職員だってあれだけ多忙を極めれば、病気にもなるし、倒れたりもします。「同じやり方でもう一度やってくれ」と言われたら、多分ほとんどの職員の方は「勘弁してくれ」と音をあげるでしょう。

 「感染者数をFAXで報告する」という伝統的な文化もそうですし、いちいち電話で連絡するのもそうです。保健所ではお互いに電話がつながらない状況が延々と続き、時間的に大変な非効率を生んでいました。例えばLINEでグループつくって送ってしまえば、手間をかけずに複数の関係各位に同時に情報が伝達できたはずなのに、「電話とFAX」というとんでもなく古典的なやり方に依存してしまった。

 あるいは、これは後で改善されましたけれど、保健所を介さないとPCRができないなど、いろいろな問題がありましたね。PCR検査をできなかった人が大勢いたことをはじめとして、西浦先生のグラフに出ていない感染者がデータの背後にたくさんいたことは、まず間違いないでしょう。

 そういうものを全部含めてこの第一波をどう議論し、総括し、反省し、改善できるか。できることはたくさんあると思います。

 日本の感染症対策は、伝統的に「結果的にうまくいったからよかったんだ」という話でこういったことをスルーしがちなので、それは絶対やめたほうがいい。

 医療現場では局面局面で「もうだめだ」と思うところが多々あり、本当に際どいところでした。例えば「ホテルへの患者移動があと数日遅れていたらもうだめだったかもしれない」と思っている医療従事者は大勢いるはずです。

 そういう綱渡りだったところを忘れて、「イタリアやアメリカをみろ!日本はすごくよくやったじゃないか」みたいな、変な「物語」に落とし込まれないようにしてほしいと思っています。
3p
◼️いろんな知恵によって前進していく

 ですからぼく自身は、藤井先生を含めていろんな学知をお持ちの方がいろんなことをおっしゃってくれるのは素晴らしいことだと思っています。

 山中伸弥先生がWebサイトを作っていろいろなことを提言されているのもそうですし、実効再生産数に関しても、数理モデルや数学の専門家、あるいはこの領域のアマチュアなマニアの方々がそれを補正したり、異なる条件下での感度分析的なグラフなどを作って、実名ないし匿名でWeb上で公開されています。これはソーシャルネットワークが発達した世界における素晴らしいことですよね。

 べつに感染症が専門の方じゃなくてもいいんです。やっぱり一部には見当違いな問題設定や、背景を知らない故の失敗はあるんですけれど、いろんな方がいろんな知恵を出していくことで、どんどん物事が前に進んでいく。

 それも含めて、西浦先生がああやって「実効再生産数」という概念をパンと示したからこそ議論が起きたわけで、やっぱり西浦先生がいらっしゃらなかった時と比べると段違いなわけです。

 そもそも、これはすべての領域に言えることですが、あるひとつの研究・ひとつの論文ですべてを解決することなんて、土台不可能なんです。

 例えば治療薬ひとつとってみても、はじめに「この薬を3人に使ってみたら効果があった」という報告がなされる。そうすると「3人に試しただけじゃ有効性はわからないじゃないか」っていう話になって、次は70人くらいに使ってみる。それで良さそうなら、今度はプラセボ群と比較する。

 いま効果を検証しているアビガンやレムデシビルも、こういう過程で少しずつ吟味をしながら前進しているんです。

 「少しずつ前進している」ということは、ひとつひとつの研究では全部は解決しないということです。

 はじめに「3人に試してみたら良かったよ」という報告があった時に、「3人なんか意味ないじゃないか」と非難するようなことが時々ありますね。それはまったくナンセンスで、「3人に試す」というエピソードがあったからこそ、「もっとたくさんの人で試してみよう」「ランダム化比較試験をやってみよう」と、その先へと進んでいく「萌芽」が出てきたわけですよ。

 最初からパーフェクトな答えを出す研究なんて、できっこない。少しずつ前進して、正しい答えへと漸近していくしかないんです。そして、仮にランダム化比較試験で「この薬は効果なし」という結果が出たとしても、「3例では有効だった」と報告した方に対して「デマを撒き散らした」といった誹謗中傷をしてはいけません。それは現実的制約の中での誠実な報告であり、決して「デマ」ではありません。

 西浦先生のモデルが出てきたからこそ次の改善ができる。「報告の遅れを補正しよう」みたいに少しずつモデルが精緻になっていくわけで、最初から100%の形で出てくることはない。はじめから100%のものをつくろうとすると何年もかかりますよ。すべてが終わった後で「3年前はこうなってました」みたいに説明を受けてもしょうがないでしょう。

 いまは「ここがあかん、あそこがいけない」みたいに攻撃感情が強くなっているところがありますけど、第一波のパニックが過ぎて落ち着きを取り戻した段階で、もう少し冷静に科学的な議論を進められたらなと思っています。
4p
◼️真実に少しずつ近づいていく

 例えば「コロナウイルスはこういうウイルスで、こうやって診断して、治療して、対応すればいい」とか、「ロックダウンは〇月〇日にこういうレベルでやって、△月△日に解除すればいい」という正解があると仮定しましょう。でも、その真実は誰にもわからないわけですよね。カント(Immanuel Kant:1724-1804)が「物自体」という概念を提唱していますが、それと同じく、真実は誰にも見えないわけです。
//画像//
 けれども、「見えない」というのは「何もできない」ことではない。これまでの歴史の中で我々人類は何百年、何千年とかけて、その真実に近づこうと努力をしてきたわけであり、そのひとつの形が科学なわけですよね。

 ニュートンとかによる力学の原理がなかった時代より、ある時代のほうがはるかに我々は前進しています。相対性理論がなかった時代よりはある時代、量子力学がなかった時代よりはある時代、そしてPCRがなかった時代よりはある時代のほうがはるかに進歩している。

 PCRはたくさん間違えるし、失敗もあるけれど、PCRがなかった時代に比べるとそれこそ驚異的な前進ですよ。なんと言っても「ウイルスが見つけられている」わけですから。

 1918年のスペイン風邪の時代にはそもそもインフルエンザウイルス感染症という概念すら確立していませんでした。我々はものすごく進化した形で議論している。「PCRにはこんな欠点があるよ」という議論ができるということがそもそも、1918年のスペイン風邪の時代とは全然違う次元の議論を我々がしている証左ですよね。

 我々には真実は見えないけれども、確実に近づいてはいる。ですから、そうやって「近づいていく」ことを続けていくことがとても大事なんです。

 本【緊急連載】おわり。(本文構成:甲斐荘秀生)

(引用終わり)


岩田健太郎医師「感染爆発を押さえた西浦博先生の『本当の貢献』とは」【緊急連載①】
藤井聡氏公開質問状への見解(第1回)
https://www.kk-bestsellers.com/articles/-/517429/
岩田健太郎医師「日本で感染爆発が押さえられた要因とはなんだったのか」【緊急連載②】
藤井聡氏公開質問状への見解(第2回)
https://www.kk-bestsellers.com/articles/-/518809/
↑ これ【緊急連載③】
藤井聡氏公開質問状への見解(第3回)がないんよな。

新型コロナウイルスの真実/岩田健太郎/ベスト新書(KKベストセラーズ)2020.4 //滋賀ほか

よく投稿するサイト
準備中:人名(本人|投稿したブログ名・日付:
TOPページURL
拾い読み


準備中:人名|拾い読み: 投稿先WEB名(運営者日付: 記事タイトル
TOPページURL

ツイッター:岩田健太郎 ネーム:岩田健太郎 Kentaro Iwata アカウント:@georgebest1969
 URLアドレス: https://twitter.com/georgebest1969
岩田健太郎|楽園の「こちら側: 記事タイトルor URL
 TOPページのURLアドレス https://georgebest1969.typepad.jp/blog/
研究者リサーチreserchMap:岩田健太郎
https://researchmap.jp/kobeuniv-iwata


おはら野のブログ|紹介:記事名orURL
準備中:①日付【人名|おもな本: 
準備中:②日付【人名|本: 書名_副書名/出版社刊行年
準備中:③日付WEB【人名(運営者|運営WEB名: 記事タイトルor URL
準備中:③日付WEB【人名|拾い読み: 運営WEB名(日付: 記事タイトル
準備中:④日付WEB【人名|おもな投稿先WEB名(運営者: 
準備中:④日付WEB【人名|拾い読み: 投稿先WEB名(運営者日付: 記事タイトル


検索用|研究者リサーチreserchMap:https://researchmap.jp/researchers研究者氏名を入力

《滋賀県立図書館横断検索》画面
(どこかに在架あれば、最寄り図書館へ取り寄せできるサービス)
 http://cross.shiga-pref-library.jp/dog/crs/
長浜市立図書館(長浜・びわ・浅井・虎姫・湖北・高月・余呉)の簡単検索
 https://www.library.city.nagahama.shiga.jp/WebOpac/webopac/index.do?clear=1&target=adult
米原市立図書館(近江・山東)の簡単検索
 https://www.library.city.maibara.lg.jp/WebOpac/webopac/index.do?clear=1&target=adult
「書籍横断検索システム」は、オンライン書店の横断検索システムです。
 http://book.tsuhankensaku.com/hon/
by龍隆
** ここより下は本文記事ではありません(#ハッシュタグの表示を除いて) **

最新の画像もっと見る