新型コロナウイルスの流行前までは、マスクやトイレットペーパーといったものに、特別な価値を置いている人など、ほとんどいなかったはずですよね。でも、それらが入手困難となった今の時期に限っては、それらがとても価値ある物に見えてきます。
たまたま開けた引き出しの中に、使い残しのマスク数枚でも見つけようものなら、まるで紙幣を見つけた位の喜びを感じる人もいるのではないでしょうか。こんな時期でもなければたぶん、そのまま気にもとめずに、引き出しをしめたことでしょう。
食料にしても、たっぷり買い置きした状態にあれば、食べ物のありがたみは薄れやすく、食べ残しを捨てても平気でいられるような精神状態になりがちです。でも、今日食べる分ギリギリしかなければ、好き嫌いなど言ってられず、とりあえず目の前にある食べ物をありがたくいただくことになり、その食べ物の価値は飛躍的に上がるはず。
これらのケースをみると、残り少ないと考え 物と向き合うことは、その物の価値を上げるためにはとても有効だと思えます。
一方、コップの中に水が半分入っているのを見て、「もう半分しかない」と思うか、「まだ半分もある」と思うかで、その後の行動は大きく変わってくる、という話も耳にします。
たとえば、買い置きのトイレットペーパー残り6ロールを見て、
「もうこれしかないのか!? 」
と 今の状況下では不安に思う人が多いため、
「もっとたくさん買っておかなくちゃ!!」
と、まとめ買いに走る人も増えてしまうわけですね。
このケースで考えると、残り少ないと考えることは、場合によると不安をあおることにもなりそうです。
人生の残り時間は、まだまだある、と思っていた方が生きやすいか?
少ないと思っていた方が生きやすいか?
今の私なら 残り少ないと思っていた方が生きやすい気がします。
それは、残り少ないと考えることによる あせりや不安の気持ちより、残り少ないから大事にしよう、と思う気持ちの方が 少しだけ勝っているからだと思います。