岐阜県岐阜市にある「鵜飼ミュージアム」に行ってきました。
「鵜飼」はおまけで、特別展示の 川端康成 「篝火」をめぐる恋文」展(11月10日まで)が目的
まったく読書家ではありませんし、康成作品を読んだこともないです。映画で知るのみ。
この展示が始まる時に、新聞に取り上げられており、川端康成の作品に多大な影響を与えたという、
初恋の人「伊藤初代」さんとの手紙 恋文 が展示されるというので興味を持った次第で…
川端康成は岐阜に住む恋人の初代を訪ねて、3度岐阜に来ているのだそう。
しかも、初代さんとは結婚の約束をしていながら、突然、初代さんから婚約の破棄をされるという…
あどけなさの残る初代と康成
二人の出会いは、初代13歳、康成19歳の時。
写真の初代は、あどけなくて、でも少し陰りを感じさせるような、美しい少女という感じ。
大人のような着物姿をしていると、余計にあどけなさを感じさせるというか…
二人は岐阜ー東京の遠距離恋愛ですね
初代15歳、康成22歳の時、結婚の約束をするのだけど、その時の初代は、康成に愛されることを心から喜んでいて、
手紙に、「こんな私を愛し続けて下さい」「愛という言葉を初めて書きました」 「汽車の汽笛の音がすると寂しくなって…」 とか、
15歳の女の子が書いていて、いじらしくって…
初代の情熱的な率直に恋心を綴る手紙は、大正時代の女性のイメージとは違ってて意外なほどストレート
そりゃ、康成とすれば、「初代の事は全力で大事にするから!!」とか、思うわね
なのに、突然の婚約破棄…
「私にはある非常がある その非常をあなたに話すくらいなら死んだ方がましです」
「私の事は忘れて、私も忘れます」
手紙の文字が、感情を表しているように感じる
この手紙を読んだ時は、私の気持ちは、康成の気持ちになっちゃって…
なんで、「非常」って何?? 何??
一度は、康成の友人のとりなしで婚約破棄を撤回するも、すぐに絶縁の手紙がくる。
文字は更に乱れたような、感情をぶつけているような激しさを感じる
「あたなは、私をお金で手に入れようとしている」「あなたを信じられなくなった」
「憎んでくれて構わない」
なんて、そんな… なんでそんな事言うの? 私の頭も混乱していました。眉間にしわが寄ってしまう
結局、今でも婚約破棄の理由はわからないそうです。
たった2カ月で破棄になってしまった婚約 これはきついでしょ。トラウマになるでしょ。 憎いと思っても一生忘れられないでしょ。
今みたいに、携帯ですぐに連絡がとれる時代じゃないし…
初代宛てに書いた康成の手紙が、もう辛くて、切なくて、可哀想で仕方がない
康成が手紙を書いても返事が届かないことを心配して、書いた手紙だけど、結局出すことはなかったって…
恋しくて 恋しくて、会わないことには何も手につかない、貴方が思うようにしてあげる、心配しないで、安心して…
もう、「101回目のプロポーズ」(古!)じゃないけど、必ず、僕が幸せにしますから って、もう切々と、
格好つけづ、何振りかまわず、懇願してる… と思うと、もう、 こっちまで泣けてくる
この体験を元に「篝火」を書いて、以降の作品に影響を与えて、結果ノーベル賞だから 皮肉なんでしょうかね
本のタイトルでもある「篝火」って、岐阜の長良川鵜飼の「篝火」のことだそう。 岐阜の旅館で二人で見たそうです。
その時の情景が物語の中で書かれているそう。
鵜飼の篝火を見ながら、結婚の約束をしたのかな。 篝火の光を受ける二人の姿を想像してしまう
初代は幸せだったに違いないのに…
初代は44歳で他界。 康成は72歳で自殺。
初代が死んだ時、康成も自分が死んだと思ったのじゃないかなんて考えたら…
なんだかやるせない気持ちで展示室を後にしました
この後、シーズンの終わりも近くなった鵜飼の篝火を見てみたかったけど、台風の影響でないかもと思い、
別の目的の為、各務原市へ移動しました。
(終)