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a green hand

牧野富太郎

朝ドラの「らんまん」がスタートした。
植物好きには興味のある朝ドラだと思う。
きっとT君も、Tさんも数人の庭友達は喜んで見るに違いない。

私がこの牧野富太郎に出会ったのは小学校高学年の図書室である。

さして本好きというほどではなかった私が書架に並ぶたくさんの本の背表紙から何気に選んだ生涯初の本が「牧野富太郎」だった。
何の知識もなく、本も借りたことのない私が図書室で偶然というか手に取った本はただただ格好いい名前だったのかもしれない。

牧野などという苗字も、富太郎などという名前も身近に聞いたことがない。
俳優なのか侍なのかとか、そんなことすら考えずに感覚的に手にした本である。

そして、ある日突然、図書室に私の感想文が貼られていたのである。

何を感じ何を読んだのか全く覚えていない。
覚えていたのは図書室に私の感想文があったという信じられない驚きである。

そして「牧野富太郎」という格好いい名前の人物は植物学者だということを識った。

その感想文も今思うと、感じたり考えを表現するような子どもではなく、あらすじでも書いたのではないかと思う。

であるから、珍しい子がめずらしい本の感想を書いたという当時の先生の温情なのではと思えるのである。

半世紀以上も大昔のことである。
記憶が改ざんされているかもしれない。w


阿武隈川のほとりのダムのある山の中で育った私は、自然には恵まれており、今の季節であれば立派な桜トンネルをくぐっての学校への行き帰りであった。
しかも1人で。
桜の木の一本一本を見ながら。w

高校時代も植木市に寄り、すぐに枯らしてしまうのに、苗木を買ったり華道などする高校時代を送った。

庭に命をかけている今の私は、生涯初に出会った牧野さんの本がどこかで私を気にしてくれていたようにも思う。

数年前、懐かしくなり、牧野富太郎自叙伝を買ってみた。

書棚から持ち出し、続きを読んで見ることにした。






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