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a green hand

「アブランティス公爵夫人」が来てる!

絵:アプランティス公爵夫人

2006年、スペインへ行った。
いつものように美術館巡りだったわけだが、その時のメインとなったプラド美術館。

そこで初めて、ゴヤ、エル・グレコ、ムリーリョなどに親しみを覚えるように
なった。

ゴヤに関して、さほどの興味はなく奇妙な絵が多いなという中、一枚のポストカード
に惹かれ買った。

ピアノの上にずっと長く飾られていた、ゴヤらしくなく好きだなと思う絵。
というのは私の解釈の未熟さかもしれない。


宮廷画家にしては、プライドが高く、自己表現の強い画家だとの感想をもっている。

宮廷画家なので「アプランティス公爵婦人」の絵を描くのはごく自然なわけだが、それが
とても美しいのだ。

ゴヤは嫌な人は嫌なように描くのだから、婦人はゴヤから見て、素晴しい人だったのか
楽譜を持ち歌っているのかゴヤを見ているのか・・。

それがとても気に入り、5年も飾ってあった。
娘や息子の小さい時の写真の横に。

ポストカードをみながら、私はこの絵をプラド美術館で本当に観たのだろうか、ポストカード
だけを買ったのだろうかという呆れた疑問を持ち続け、本物を見たい衝動に何度か駆られて
いた。

その絵の前に立ったなら、きっと私は、絵を見てからポストカードを買ったのかどうかが
わかると思った。もしかしたら、その絵は、どこかに貸し出されていたという可能性もある。

私は、必ずや観たものだけのポストカードを買っているわけではなく、その時に映りのいい
と思ったものを買う傾向にあるからだ。
紛らわしい買い方さえしなければ、観てきたとわかるのにと後になって思う。

プラド美術館の画集を現地で買ったから、その時も、ポストカードを買ったのは
2・3枚ぐらいではなかったかと記憶しているがそれも5年も前となると怪しい記憶である。

それも不思議とゴヤのもの。
「魔女の飛翔」は訳のわからない絵だとの理由で購入した。

蛇足ながら最近気になっているのは、ゴヤの「サバサ・ガルシァの肖像」
である。

エピソードとして
外務大臣の姪が、伯父と共にゴヤのアトリエを訪ねた。ゴヤに伯父が肖像画を描いてもらうためである。

ゴヤはその一緒に来た姪の美しさの虜になり、モデルにして描いた肖像画であるという。
ごく普通の装いに、装飾品も背景もなしの中に立つサバサの美しさは並々ならぬもの。

ゴヤといえばモデルの深層も透けて見えるような画家である、表情にゴヤが虜になっただけの
美しさと精神の高貴さが現れている。

ゴヤがどんな気持ちでこの作品を仕上げていったか、絵を描いたことのない私でさえ、その
喜びはいかばかりだったろうと・・。
この作品はアメリカにある。ワシントンナショナル・ギャラリーである。
いつか日本に来てくれるだろうか。

ワシントンナショナル・ギャラリーには、ちょっと私の好きな作品が集められていて、やはり
行かないとだめなのかなぁなどと思っている。



さて、アメリカを除き、大きな美術館は一応行ったことになるが、私の一番は、
「プラド美術館」のように思う。時々、プラダとかトレドとか間違ってしまい恥ずかしい
のだが。「プラド美術館」だなと思う。
ワシントンナショナルギャラリーを見たら、大きな美術館ではきっとそこが2番になりそうである。

エル・グレコとかムリーリョなど好きだなあと思う。
若いころには名前も知らない、無関心だった画家たちである。

印象派から興味を持ち、ドンドン歴史を遡るように興味が変化するのが不思議である。
今の私は、興味の対象が時代的に、宗教画あたりなのかなと思う。

人は変わるからおもしろい。


ピアノの上を眺めニンマリする私である。
必ず、遥々スペインから来てくれた「アプランティス公爵婦人」に上野でお会いしたい。

それに、エル・グレコやムリーリョも来てくれているのか楽しみである。
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