チャイコフスキー庵 Tchaikovskian

有性生殖生物の定めなる必要死、高知能生物たるヒトのパッション(音楽・お修辞・エンタメ・苦楽・群・遺伝子)。

「若年世代の死因、自殺が1位は先進7カ国中で日本だけ……といううわべだけを見た話」

2014年06月04日 17時06分29秒 | 歴史ーランド・邪図
政府が昨日午前の閣議で、
2014年版「自殺対策白書」を決定した、
ということに関連して、
「先進7カ国の年齢階級別人口10万人対志望者数(15~34歳、死因の上位3位)」
という、世界保健機関の資料から内閣府が作成した表が挙げられてた。
それによると、ここ10年内の先進7カ国の15~34歳の死因の上位3位は、
ドイツ、英国、フランス、カナダ、の4か国が
第1位=事故(10.7~19.6)、第2位=自殺(6.8~12.2)、第3位=悪性新生物(5.9~6.4)
となってる(括弧内の数字は全体に占める率)。
先進国といっても経済状態が発展途上国並で"スロウ・ライフ"な芸風のイタリアは、
第1位=事故(16.5)、第2位=悪性新生物(7.6)、第3位=自殺(4.7)
と、非常に判りやすいお国柄である。対して、
車社会・銃社会・移民社会な米国は、
第1位=事故(37.4)、第2位=殺人(12.4)、第3位=自殺(11.3)
で、まったく異質なことが判る。さて、我が日本であるが、
第1位=自殺(20.0)、第2位=事故(7.9)、第3位=悪性新生物(5.3)
という数字である。

たしかに、
喧伝されてるように、日本の若い世代の
自殺率は他諸国の倍にもなってる。が、
事故死率は他の6か国よりきわめて低い。また、
悪性新生物(おおざっぱには癌)による死も
他の6か国に比して相当に少ない。
医療体制や医療保険制度が進んでるからである。
他人を巻き込むような自殺なら問題だが、
何がなんでも自殺はいけない、
というのはいかがなものだろうか。

イタリアに自殺が少ないのは、なにも
"陽気"という国民性だけではない。
自殺が禁忌(犯すと死後は地獄に堕ちる、と教育されてる)な
カトリック社会であることがより大きな理由なのである。反対に、
日本は先進国の中で、
キリスト教率がもっとも低い国である。
すべての宗派をあわせても100万人程度、
総人口の1パーセントにも満たない。
あのザビエルも日本での布教が思わしくなく、
さしあたっての成績を上げるために
中国へ"転進"せざるを得なかった。

キリスト教による治世で成り立ってる西欧諸国、
そのトップである米国(および英国)が
日本人の自殺の多さをイヤがるのは、
単純にキリスト教の教義によるものではない。たとえば、
先の大戦のときの"特攻"のような、
「国や家族のために」は自らが犠牲になる日本人の国民性であり、
そうしたことを他国、とくにイスラム教国に見習われては
米英は困るわけである。

そもそも、
覆水は盆にかえらない、
のだから、
床にこぼれた水をすくってコップに戻してあげても
本人はそうした行為自体には感謝こそするかもしれないが、
汚れた水を喜々として飲めはしない、
こぼれた事実を受け入れられない者にとっては
手遅れなのである。そもそも、
脳内の神経伝達物質に関わることを
軽々には操作することはできないし、それこそ、
"神の領域"を犯すことになるのである。
他人に迷惑をかけない自殺者の意志・尊厳を
尊重・理解できる世の中というのもまた、
成熟した社会といえるのではないだろうか。
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