ジャニス・イアン Will You Dance? ハバネラ
岡崎出身の俳優杉浦直樹が先週、満80歳を前に肺腺癌で死んだ。
同人は私が10代だった頃にTBSのTVドラマの主役や準主役をしてた。
いずれのドラマでも、あの「困った表情、しぐさ」が味だった。
昭和47年(1972年)の「知らない同志」では、
売り上げ不振で、やり手新店長田宮二郎に取って代わられ、
大阪の店舗に飛ばされるスーパーの店長役だった。
杉浦の妻役が栗原小巻女史で、田宮の妻役が山本陽子女史だった。
石立鉄男が部下役だった。
昭和50年(1975年)の「家庭の秘密」では、
池上季実子女史の父親(池上は実は養女)役。中山仁に誘拐された実子が
秋吉久美子女史だった。このドラマで主題歌として使われたのが、
荒井由実女史の「あの日にかえりたい」の2番歌詞部分だった。
<<暮れかかる、都会の空を、思い出は、さすらって行くの。
光る風、草の波間を、駆け抜ける、私が見える>>
この箇所の節は「名探偵ポワロ」の主題曲に似てる。また、
このあとに続くサビ部分の節は、
チャイコフスキーの「悲愴交響曲」の主題に酷似してるので、
やたらと耳についた。当時、高校の帰りにしょっちゅう
秋葉原の石丸電器のレコード売り場にレコードを買いにいってたが、
秋葉原の街中にこの歌謡曲がやたらと流れてた、
という記憶がある。ともあれ、
この詞の出来から、荒井由実女史という人物が
タダモノではないと感じた。のちに「月光ソナタ」といわれるようになった
ピアノ・ソナタを聴いてその作曲者がタダモノでないと感じて
ベートーヴェンを訪ねずにはいられなくなった
ベッティーナ・ブレンターノ女史(すぐあとにフォン・アルニムと結婚)の気持ちが
少しはわかった。というわけで、
クラシック売り場だけしか行ったことがなかったのに、
このシングルを買ってしまった。そして、
同女史の顔がブサイクなことを知った。
昭和52年(1977年)の「岸辺のアルバム」は、登戸の対岸、
多摩川左岸の狛江の住宅が台風による増水で
堤が決壊して家屋が流された実写を採り入れたことで、
現在も人々の記憶に残ってるようである。この年は、
西太后と庄司歌江の顔がたまに区別できなくなるほど
拙脳なる私は志望大に落ちて駿台予備校理科系3類に通ってた。
その予備校の校舎から近くの、御茶の水駅のレモン画翠の向かいの
瀬川ビルの地下にあった店のきしめんをよく昼食にしてた。
私にとっては懐かしい「きしめんのアルバム」である。それはともあれ、
このドラマの主題歌だったのが、
米国のフォーク・スィンガー、Janis Ian(ジャニス・イアン、1951-)女史の
"Will You Dance?"
だった。本国ではまったく売れなかったが、
日本ではこのドラマに使われたことでシングルカットされ、
売り上げは100万枚を突破した。
(以下は、音源から私が採詞・採譜したもので、
原作とは異なる箇所があるかもしれないので、
悪しからず了承いただきたい。また、
比較的簡易な英単語がほとんどなので、
いつものようにはカタカナ発音は附さない。
「」内は拙大意である。それから、
この歌は"おとなの歌"なので、そういう内容を
嫌悪、苦手、などとするかた、または性に関して
うぶ茶なかたは、以下は読まないでいただきたい)
"Someone is waiting over by the window
「窓から身を乗り出して今かいまかと期待に胸を膨らませてる人がいる」
Just beyond the stairwell someone's crying
「(そのいっぽうで、)階段の陰に隠れてすすり泣いてる人もいる」
Drowning in the words of the Prophets
「旧約聖書の預言書の言葉の洪水に翻弄されてる人たちなのね」
That they were written for the dead and the dying
「すでに死んだ人やいままさに死のうとしてる人のために記された、
生きてる人のためには何もならない書だっていうのに」
Someone's lying, No one's buying
「それがさも生きてる人の役にたつ本みたいに思わせるような
嘘をついてる人がいるけど、
私たち世代の誰がそんなもの信じるっていうの。バカらしい」
Someone is dying
「死に直面してる人がいる」
Panic in the streets can't get no release someone escaping
「街には助かる道も分からないままクスリに逃げてラリってる人もいる」
Waiting on a line for the Holy Revolution parading illusion
「聖なる革命のパレイドなんていう幻影を期待して道端の列の内側で待ってる人がいる
(スターリンに粛正されて悦んでるマゾ自虐コミュニストや、
毛沢東一派による"文化大革命"という名の大虐殺を皮肉ってる。
あるいは、ジョン・レノンの"Revolution"を信奉してる人たちを)」
Someone's using, Most amusing
「そんなまやかしもので儲ける人がいるいっぽうで、
ほとんどの人がそんなものに騙されて中毒になっちゃうのよね、アホクサ
(新興宗教の教祖とそれに財産をまきあげられる盲目的信者ら、
左翼思想の幹部とそれの駒として利用される洗脳されやすい党員ら、
マルチ商法で儲ける輩とそれに騙される被害者ら、という対比)」
Will you dance? Will you dance?
「ねえ踊ろうよ、踊ろう」
Smell of caviar and roses
「国や人種を越えて踊ろうよ。
キャヴィア(ソ連=東側)とバラ(米英=西側)のにおいが混ざり合ったら
チョウザメじゃなくてキョウザメかもしれないけど」
Teach your children all the poses
「子供の世代にありったけの振りを教えてあげなよ」
how familiar are we all
「私たちがどれほど仲良しで交じり合ってるか分かるように」
Will you dance? Will you dance?
「ねえ踊ろうよ、踊ろう」
Light fantastic in the morning
「朝っぱらからダンスなんてどう? 私を娼婦だと思ってみて」
(trip the light fantastic=dance=make love)
How romantic to be whoring
「女を買うのってすごく楽しいことなんじゃない?」
Boring though it may be
「射精しちゃったらそのあとは倦怠感だけなのかもしれないけど」
Who'll survive if you and I should fall?
「でもそういうことしないで万一あなたと私が死んじゃったら、
子孫が絶えちゃうじゃない。子孫繁栄のため、っていう
いい方便があるじゃない、エッチしたいんならさ」
Someone is bleeding crimson in the night
「きちんと初夜を迎えてそのとき初めて破瓜を体験する人もいるけど」
Strangers, in the light a sudden meeting
「通りすがりの人との予期しない出会いで真っ昼間でもやっちゃう人だっているわ」
Greeting one by one
「そうやって、つぎつぎにしちゃったりして」
Every life runs flashing before those dashing eyes
「勝負メイクしてる間に人生なんてあっというまに終わっちゃうんだから」
Will you dance? Will you dance?
「だから、踊ろうってば。踊ろうよ」
Take a chance on romance and a big surprise?"
「いちかばちかゆきずりの性行為に運をまかせてみれば?
ひょっとして大当たりがあるかもよ」
♪ミーーー│<ソーーー・<レーーー│レーー>ド・ドーーー│ーー●●・●●●●│
>シ<ドド>シ・<レ>ド●●│>シ<ドド>シ・<レ>ド>シ>ラ│
ラーーー(<シ>ラ)・>ソーーー│ーー●●・●●●●│
>ファファファ・ファーファ<ソ│<ララララ・>ソ>ファ>シ<ド│
<シ<ド●>シ・<シー<ドー│ーー●●・>ラー<ドー│
>ラーーー(<シ>ラ)・>ソーーー│ーー●●・>ミー<ラー│
>ソーーー・>ファーーー│ーー●●・●●●●│
●●●●・(くりかえし)
●●<シ<ド│ドー、>シ<ド・ドー●●│●●>シ<ド・<レ>ド>シ>ラ│
ラーーー(<シ>ラ)・>ソーーー│ーー、>♯ファ<ソ・<ラ>ソ>ミ>ド│
<ミーーー・>レーーー│>シ<ド<ファ<ラ・<ドー>シー│
>ソーーー・ーーーー│ーーーー・ーー、<シ<ド│
ドー、>シ<ド・ドー●●│●●>シ<ド・<レ>ド>シ>ラ│
ラーーー(<シ>ラ)・>ソーーー│ーー、>♯ファ<ソ・<ラ>ソ>ミ>ド│
<ミーーー・>レーーー│>シ<ド<ファ<ラ・<ドー>シー│
<ミーーー・ーーー、>シ│<ドーーー・ーー、>ラー│
<ファーーー・ーー>ラー│<シーーー・>ソーーー│
<ドー●●♪
(最後は)
レレ│レー、>ララ・ラー、ララ│ラー、<シシ・シー、<レレ│レー>ドド・ーーーー♪
(ウィリュ│ダーンズ、>ウィリュ・ダーンズ、テイカ│チャーンス、<オンロ・マーンス、<アンダ│ビーグ>サプラーイズ)
そして、後奏が終わる直前で「スターップ(stop)」と囁く声がするのである。
この曲は終始♪ターータ・ターター♪という「ハバネラ」のリズムが刻まれる。
ハバネラという踊りは、1791年のハイチ革命で逃げた難民によって
キューバに伝えられた。そして、それがスペインにもたらされた。
ビゼーがスペインの民謡だと思いこんで使用したのが、まだ存命の作曲家
イラディエールのハバネラだった。ともあれ、そのハバネラでは、
奔放なカルメンによって"L'amour! L'amour! L'amour! L'amour!"と
何度も唱えられ、ドン・ホセにキャヴィアではなかったが赤いバラが投げつけられる。
ヴェトナム戦争に対する懐疑と嫌戦感、黒人差別、そしてキューバ危機、ドル・ショック。
1960年代から1970年代のアメリカにはヒッピーが生まれ、大学紛争、
フリー・セックスが風潮となった。そんな中で出てきたのが、
<<学生でにぎやかなこの店の片すみ隅で聴いていた>>
ボブ・ディランであり、フォーク・ソングと呼ばれるポップスのジャンルが築かれた。
そんなフォーク・スィンガーのひとりがジャニス・イアン女史だったのである。
同女史は同性愛者である。
国も人種も性別も種も関係ないのである。そのうち、
イルカやシェパードと結婚する人もでてくるかもしれないぜ、シェキナ・maybe。
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