チャイコフスキー くるみ割り人形
昨今、なにかとまた話題の若乃花であるが、その
好敵手といえば栃錦である。その栃錦が連続優勝して
横綱に昇進したのが、昭和29年の10月である。
昭和29年10月21日、「東京に戻ってまいりました」
というコピーを掲げて大丸東京店は開店した。江戸時代中期には
京都の呉服屋の支店として大伝馬町で営業してたのだが、
明治末に撤退してからはおもに地元関西で商ってたのである。
それからまた半世紀、先日、東京店が
「東京新店」として八重洲北口に移転して開店したが、
店名を「ヨース店」としなかったのは、きわめて残念である。
さて、今日は暖かかったが、11月も半ば(七五三)になると、
年の瀬感が満ちてくる。六本木のけやき坂も
青色LEDに照らされた。ところで、
肌寒くなると恋しくなるのがチャイコフスキーのバレエ
「くるみ割り人形」である。旧大丸百貨店東京店が開店した昭和29年、
山本周五郎の「樅の木は残った」が日経新聞で連載開始されたが、
「樅の木は北国の風雪に強い木で,江戸では暖かすぎて良く育たない」
というのは認識不足である。モミは寒すぎては育たないのである。
いっぽう、クリスマス・トゥリー、といえば、モミ、
という固定観念ができあがってるはずなのに、
「くるみ割り人形」では、その第8曲が
「冬の松林」とされてる誤謬を、ただ一人、
慶應義塾大学の平林教授が初めて指摘し、
チャイコフスキー研究の専門家らの目を覚まさせた。ただし、
バレエ界には未だ「松」がまかりとおってる現状である。
「樅は樅の上に松を接がず、樅の下に松を接がずとイェーリ(ель)」
このように、認識の「ゆきち」がいがあったのである。
私も別途タンネン(Tannen)に調べてみたが、
樹木の専門家によれば、ヨーロッパでは
モミ(Tanne)の木は北緯50°以北では自生しない、
のだそうである。反対に、以南の、たとえば
シュヴァーツヴァルトには生えてるのである。ゆえに、
もし仮に「くるみ割り人形」の舞台が、
ベルリーン、ハンブルィ、ブレーメン、
ドレースデン、エアフルトあたりだとして、
ズィルバーハオス判事の家に飾られてる
クリスマス・トゥリーがモミだったら、
たいそうな移送費がかかってることになる。どれだけ
「デピス収入」があったとしても、
そんな余計な労力は払わないと思われる。が、
「くるみ割り人形」の「モトネタ」は、
E・T・A・ホフマンの「ハシバミ割り物語」である。
その物語の舞台は北緯49°の「ニュルンベルク」なのである。
それなら、ツリーがモミであってなんら不思議はない。
この側面からも、平林氏の指摘は裏づけられる。ちなみに、
モミが自生しない北緯50°以北のドイツのご家庭の
クリスマス・トゥリーは何なのか、といえば、その
「タネ(Tanne)アカシ」は
「トウヒ(ドイツ・マツ)」なのである。ちなみに、
私の頭皮は悲しいかなヅラに覆われてるのである。
それはどうでも、モミがツリーに適してるのは、
その枝が上向きに反ってて飾りが落ちにくい、
という即物的な理由もある。しょせん、
トウヒは「代用品」にすぎないのである。ただ、
トウヒの葉はクチクラ層(私は口臭ソウ)によって、つまり、
蝋=ワックスが多く含まれるゆえ、
シバレる地域にも強いのである。ときに、
ドイツ語のモミはTanne(複数形はTannen)であり、
家はhaus(複数形はhaeuser)であるゆえ、
「Tannhaeuser(タンホイザー)」とは
ホーム<ホーマー<ホーメスト
「モミの木ハウジング」とでも訳したらいいのである。
冗談はさておき、タンホイザーは吟遊詩人だそうである。
詩、といえば、(邦題)「ある愛の詩」という映画があった。
「ペイトン・プレイス物語」のライアン・オニール、
「ゲッタウェイ」のアリ・マグローが主演。
フランシス・レイが音楽(盗作問題はたしかは金で解決された)。
レイといえば、レイ・ミランドがオニールの富豪の父役だった。
元祖「ダイアル・ドMを廻せ」である。また、現在では
この嫌いな星にやってきて、ただ缶コーヒーだけには
ハマってる宇宙人になりさがったトミー・リー・ジョウンズが、
ハーヴァードの学生という端役で出てたことである。同人は
実際にバーヴァード出のインテリであるが、
エセ地球環境問題提唱者がそのときのルームメイトだったらしい。
それはともかく、映画中、オニールがクリスマス・トゥリー売りの
バイトで得たツリーは、ノーウェイ・スプルースというトウヒである。
ちなみに、vnの表板にはドイツ・マツが使われてるのである。
ストラッドもしかりである。いっぽう、モミは
木の内側が他の木と違って白いので清らか感があるのである。
神事に使われる理由である。
*♪ドー・<レー・<ミー│>レー・ーー・ーー│
レー・ミー・<ファー│>ミー・ー、……*♪
「3度上がって2度下がる」という「パッション動機」が
樅の森に積もった雪の銀色の世界(←ズィルバーハオス)に
清らかで荘厳な響きをしみこませるのである。
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