「ハック・ウィルソン/ルースの次に50本以上本塁打を放った男」

[Lewis Robert "Hack" Wilson (1900-1948)]

現在、我が国の11月23日は新嘗祭由来の勤労感謝の日である。
1873年から1947年までは新嘗祭として国民の祝日だった。
1948年の11月23日は、MLB(メイジャー・リーグ・ベイスボール)の
1スィーズンの打点記録を持つハック・ウィルスンが死んだ日である。
スティーヴ・マクウィーン、クリント・イーストウッド、ショーン・コネリー、ジーン・ハックマンや
ロリン・マゼールなどが生まれた1930年、
ナショナル・リーグのシカゴ・カブズの外野手
ハック・ウィルスンは155試合(*)に出場して
(*当時は154試合制だが、この年のカブズは
引き分けが2試合あったため、156試合行った)、
709打席、585打数、208安打、146得点、
105四球、1死球、18犠打、84三振、
56本塁打、191打点、
という驚異的な成績を残した。MLB史上、
ベイブ・ルースが1920年に初めて50本以上本塁打を記録してから、
50本以上の本塁打を放ったふたりめの選手である。
ハック=72本は打てなかったが、それでも
56本は飛躍的な本数だった。この年、
アメリカン・リーグの本塁打王はルースだったが、
その本数は49本だった。ともあれ、
この56本は、1998年にあの筋肉増強剤コンビ、
サミー・ソウサとマーク・マグワイアに抜かれるまで、
ナショナル・リーグ記録を68年も保持してた。ちなみに、
191打点は未だに(81年間)MLB記録である。が、
ウィルスンが放った50本以上は生涯このスィーズンだけだった。

ウィルスンはもともとアル中だったらしく、
ベンチにもウィスキーを持ち込んでた。そして、
この大記録を打ち立ててしまったことが、
ズングリムックリ体型の人間にありがちな、
ガラスの心臓にストレスをかけた。伝説では、
ついに外野の守備に就くときまで、
酒瓶を手にしてたので、イニングが進むにつれて、
ほとんど守備位置から動けなくなってった、という。
成績はあがらず、結局、
MLは12スィーズンめの1934年が最後になった。翌1935年、
1スィーズンだけダブルA(秋元玲奈・相内優香両アナではない)の
アルバニー・セネターズで59試合に出場して現役を終えた。

ウィルスンが亡くなった翌日のNY・タイムズはこう伝えてる。
[11月23日、ナショナル・リーグの本塁打記録保持者の
ハック・ウィルスンがボルチモアの市立病院で死去。ウィルスンは
引退ののち、1941年にいわゆるボルチモアに転居。
太平洋戦争需要の軍需工場に勤め、
ここ数年は市の公園管理部の労働者として働き、
最後は市営プールの管理人をしてた。
先月、家で転落して怪我を負い、1週間入院。
昨日遅く、容態が悪くなって病院に担ぎ込まれた。
肺炎様症状から内出血を起こしたのが死因だと
担当医は語った]

He frequently hacked and coughed for a condition similar to pneumonia.