1953年3月5日はソ連で、チカチーロも真っ青な
大量殺戮魔ジュガシヴィリが死んだ日とされてる。実際には、
その数日前に、殺戮の手先を務めてたビェーリヤによって
毒殺されてたという説もある。ともあれ、
3月5日に死んだことが公になったことで、
Сергей Сергеевич Прокофьев
(スィェルギェーィ・スィェギェーイヴィチ・プラコーフィイフ、いわゆる
セルゲイ・セルゲイヴィッチ・プロコフィエフ、1891-1953)の死に対する
報道とその葬儀はうら寂しいものとなったらしい。
ロシア人のサーネイムは外来貴族以外はほとんどが渾名が由来である。
プロコフィエフというサーネイムもそのご他聞にもれず、
「小銭集め野郎」「守銭奴」という意味である。
「係わり」を表すロシア語の接頭辞"про(プロ)"+
копьё(カピヨー=槍)である。なので、
「槍持ち」という意味かもしれない。が、
1534年、イヴァーン雷帝による貨幣制度改革でできた硬貨には
槍を持った騎士いわゆるゲオルギー・ポベドノースィェツが刻まれてた。で、
"копейная денга(カピェーィナヤ・ヂェーンガ=コピヨーのジェンガ)"
と呼ばれ、それが"копейка(カピェーィカ。いわゆるコペイカ)
となったのである。現在のロシアでもコペイカは、
ルーブリの1/100の補助通貨として使われてる。
ソ連が「日ソ中立条約」を破って
南樺太・千島列島・満州・朝鮮に侵攻し、
民間人殺戮・略奪・強姦の限りを尽くし、
日本人シベリア抑留・強制労働に向い、
北方四島を不法占拠する前年の
昭和19年にプロコフィエフが完成させたソ連バレエ
Золушка(ゾールシカ、いわゆるシンデレラ)"は、
全篇がうら寂しさに貫かれた音楽である。が、
この中のいわゆる「愛の主題」とされてるものから成る
第50曲(終曲)"Amoroso(アモローゾ)"いわゆる「愛をこめて」は、
カメレオンのような作風変化に彩られたこの作曲家の作品の中で、
もっとも感動を呼び起こす音楽である。
[アンダーンテ・ドルチッスィモ、4分音符=60、4/4拍子、4♯(ホ長調)→無調号(ハ長調)]
♪ドー・ーー・・ーー・<ミー│>シー・<ドー・・>♯ラー・<シー│
>♯ソー・<ラー・・>ファー・・ーー│ーー・ーー、・・>ミー・ーー│
>レー・ーー・・ーー・ーー│ーー・<ミー・・>ドー・>シー│
<ドー・ーー・・ーー・ーー│ーー・ーー、・・<<ミー・ーー│
>ドー・ーー・・ーー・>シー│<ミー・>シー・・<ドー・♯ラー│
<シー・>♯ソー・<ラー・ーー│<ファー・ーー・・>ミー・ーー│
>レー・ーー・・ーー・ーー│<ラー・>ミー・・>ドー・>シー│
<ドー・ーー・・ーー・ーー│ーー・ーー・・(ハ長調に転じる)ーー・●●♪
ハ長調に転じて上記を繰り返す(*)。この
[ホ長調]→[ハ長調]
という転調は、チャイコフスキーがその3つのバレエすべてで
重用した転調でもある。
(*)出だしは、
♪ドー・ー>シ・・<ド<レ・<ミー│>シー・<ミー・・>♯ラー・<シー│
>♯ソン<シ・>ラー・・>ファー・ーー│……♪
と、少しばかり変奏させてる)
弦が美しい旋律を擦りあげる裏で
ホルンにオッブリガートを吹かせて感動を煽る、
というチャイコフスキー特有のオーケストレイションでも、
それをここ一番という箇所で踏襲したラフマニノフ同様に
プロコフィエフはチャイコフスキーへの敬意を表してるのである。
このバレエをプロコフィエフは「チャイコフスキーに捧げ」た。
1870年の秋口にチャイコフスキーはこの題材で
バレエの作曲を試みた事実がある。結局は
作曲は進まなかったし、その断片すら残ってないが。
プロコフィエフはそれを念頭に置いてたのである。そして、
この愛の主題はチャイコフスキーの"最初"のバレエとなった
「白鳥の湖」の第1幕第5曲「パ・ドゥ・ドゥ」のコーダの中間部
……現在では3幕に移されてオディールのいわゆる
「32回転グランフェッテ」が披露される箇所となってる……の
♪ミー・>ドー│>シー・<ミー│>ドー・>シー│<ミ>ド・>シー│
ミー・>ドー│>シー・<ミー│>ド>シ・<ミ>ド│>シー・●●♪
にインスパイアされたかのような音列である。
それはともあれ、
この「愛の主題」をオクターヴユニゾンで両翼vnに擦らせるむこうで、
フルート1管に、
♪ソー・ーー・・ー>ミ>ド(3連符)・>ソ>ミ>ド(3連符)♪
という音型を吹かせてるのである。これは、
チャイコフスキーのいわゆる「くるみ割り人形」第2幕第11曲の
♪●●・ドー・・ー>ソ>ミ(3連符)・>ド>ソ>ミ│>ド♪
♪●●・ソー・・ー>ミ>ド(3連符)・>ソ>ミ>ド│ー♪
♪●●・ミー・・ー>ド>ソ(3連符)・>ミ>ドド│ー♪
という3管のフルートのフラッターへのオマージュである(+)。さらに、
「シンデレラ」全巻の終わりには、チェレスタに
♪ド<レ<ミ<ファ<ソ<ラ<シ(7連符)・<ドー♪
という上昇音階を2度弾かせるのである。これは、
チャイコフスキーの"最後"のバレエとなった、
チェレスタを動員したいわゆる「くるみ割り人形」の「パ・ドゥ・ドゥ」の
♪ドーーー・>シー>ラー・・>ソー>ファー・ーー>ミ>レ│>ド……♪
という下降音階の主題を反転させ、この作品が
チャイコフスキーへのオマージュであることをはっきりと示した。それと、
チャイコフスキーのオーケストレイションといえば、
チューバの重用も忘れてはいけない。
いわゆる「くるみ割り人形」第9曲「雪片のヴァルス」での
チューバの使用法も巧みである。で、
プロコフィエフは「シンデレラ」終曲の終いの小節の弱音ハ長調主和音の根に、
低音チューバの[C(は)]を添えたのである。
(+)チャイコフスキーの「くるみ割り人形」第11曲冒頭2小節に
プロコフィエフの「シンデレラ」終曲冒頭8小節を繋げて、
上記フルートのオマージュが目立つように少し手を加えたものをTwitsound
( http://twitsound.jp/musics/tshHdmbBq )にアップしておきました。
大量殺戮魔ジュガシヴィリが死んだ日とされてる。実際には、
その数日前に、殺戮の手先を務めてたビェーリヤによって
毒殺されてたという説もある。ともあれ、
3月5日に死んだことが公になったことで、
Сергей Сергеевич Прокофьев
(スィェルギェーィ・スィェギェーイヴィチ・プラコーフィイフ、いわゆる
セルゲイ・セルゲイヴィッチ・プロコフィエフ、1891-1953)の死に対する
報道とその葬儀はうら寂しいものとなったらしい。
ロシア人のサーネイムは外来貴族以外はほとんどが渾名が由来である。
プロコフィエフというサーネイムもそのご他聞にもれず、
「小銭集め野郎」「守銭奴」という意味である。
「係わり」を表すロシア語の接頭辞"про(プロ)"+
копьё(カピヨー=槍)である。なので、
「槍持ち」という意味かもしれない。が、
1534年、イヴァーン雷帝による貨幣制度改革でできた硬貨には
槍を持った騎士いわゆるゲオルギー・ポベドノースィェツが刻まれてた。で、
"копейная денга(カピェーィナヤ・ヂェーンガ=コピヨーのジェンガ)"
と呼ばれ、それが"копейка(カピェーィカ。いわゆるコペイカ)
となったのである。現在のロシアでもコペイカは、
ルーブリの1/100の補助通貨として使われてる。
ソ連が「日ソ中立条約」を破って
南樺太・千島列島・満州・朝鮮に侵攻し、
民間人殺戮・略奪・強姦の限りを尽くし、
日本人シベリア抑留・強制労働に向い、
北方四島を不法占拠する前年の
昭和19年にプロコフィエフが完成させたソ連バレエ
Золушка(ゾールシカ、いわゆるシンデレラ)"は、
全篇がうら寂しさに貫かれた音楽である。が、
この中のいわゆる「愛の主題」とされてるものから成る
第50曲(終曲)"Amoroso(アモローゾ)"いわゆる「愛をこめて」は、
カメレオンのような作風変化に彩られたこの作曲家の作品の中で、
もっとも感動を呼び起こす音楽である。
[アンダーンテ・ドルチッスィモ、4分音符=60、4/4拍子、4♯(ホ長調)→無調号(ハ長調)]
♪ドー・ーー・・ーー・<ミー│>シー・<ドー・・>♯ラー・<シー│
>♯ソー・<ラー・・>ファー・・ーー│ーー・ーー、・・>ミー・ーー│
>レー・ーー・・ーー・ーー│ーー・<ミー・・>ドー・>シー│
<ドー・ーー・・ーー・ーー│ーー・ーー、・・<<ミー・ーー│
>ドー・ーー・・ーー・>シー│<ミー・>シー・・<ドー・♯ラー│
<シー・>♯ソー・<ラー・ーー│<ファー・ーー・・>ミー・ーー│
>レー・ーー・・ーー・ーー│<ラー・>ミー・・>ドー・>シー│
<ドー・ーー・・ーー・ーー│ーー・ーー・・(ハ長調に転じる)ーー・●●♪
ハ長調に転じて上記を繰り返す(*)。この
[ホ長調]→[ハ長調]
という転調は、チャイコフスキーがその3つのバレエすべてで
重用した転調でもある。
(*)出だしは、
♪ドー・ー>シ・・<ド<レ・<ミー│>シー・<ミー・・>♯ラー・<シー│
>♯ソン<シ・>ラー・・>ファー・ーー│……♪
と、少しばかり変奏させてる)
弦が美しい旋律を擦りあげる裏で
ホルンにオッブリガートを吹かせて感動を煽る、
というチャイコフスキー特有のオーケストレイションでも、
それをここ一番という箇所で踏襲したラフマニノフ同様に
プロコフィエフはチャイコフスキーへの敬意を表してるのである。
このバレエをプロコフィエフは「チャイコフスキーに捧げ」た。
1870年の秋口にチャイコフスキーはこの題材で
バレエの作曲を試みた事実がある。結局は
作曲は進まなかったし、その断片すら残ってないが。
プロコフィエフはそれを念頭に置いてたのである。そして、
この愛の主題はチャイコフスキーの"最初"のバレエとなった
「白鳥の湖」の第1幕第5曲「パ・ドゥ・ドゥ」のコーダの中間部
……現在では3幕に移されてオディールのいわゆる
「32回転グランフェッテ」が披露される箇所となってる……の
♪ミー・>ドー│>シー・<ミー│>ドー・>シー│<ミ>ド・>シー│
ミー・>ドー│>シー・<ミー│>ド>シ・<ミ>ド│>シー・●●♪
にインスパイアされたかのような音列である。
それはともあれ、
この「愛の主題」をオクターヴユニゾンで両翼vnに擦らせるむこうで、
フルート1管に、
♪ソー・ーー・・ー>ミ>ド(3連符)・>ソ>ミ>ド(3連符)♪
という音型を吹かせてるのである。これは、
チャイコフスキーのいわゆる「くるみ割り人形」第2幕第11曲の
♪●●・ドー・・ー>ソ>ミ(3連符)・>ド>ソ>ミ│>ド♪
♪●●・ソー・・ー>ミ>ド(3連符)・>ソ>ミ>ド│ー♪
♪●●・ミー・・ー>ド>ソ(3連符)・>ミ>ドド│ー♪
という3管のフルートのフラッターへのオマージュである(+)。さらに、
「シンデレラ」全巻の終わりには、チェレスタに
♪ド<レ<ミ<ファ<ソ<ラ<シ(7連符)・<ドー♪
という上昇音階を2度弾かせるのである。これは、
チャイコフスキーの"最後"のバレエとなった、
チェレスタを動員したいわゆる「くるみ割り人形」の「パ・ドゥ・ドゥ」の
♪ドーーー・>シー>ラー・・>ソー>ファー・ーー>ミ>レ│>ド……♪
という下降音階の主題を反転させ、この作品が
チャイコフスキーへのオマージュであることをはっきりと示した。それと、
チャイコフスキーのオーケストレイションといえば、
チューバの重用も忘れてはいけない。
いわゆる「くるみ割り人形」第9曲「雪片のヴァルス」での
チューバの使用法も巧みである。で、
プロコフィエフは「シンデレラ」終曲の終いの小節の弱音ハ長調主和音の根に、
低音チューバの[C(は)]を添えたのである。
(+)チャイコフスキーの「くるみ割り人形」第11曲冒頭2小節に
プロコフィエフの「シンデレラ」終曲冒頭8小節を繋げて、
上記フルートのオマージュが目立つように少し手を加えたものをTwitsound
( http://twitsound.jp/musics/tshHdmbBq )にアップしておきました。
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