半年ぶりに歌舞伎座に出向いてきた。
(cf;「絵に描いたような海老蔵の二枚目ぶりと三津五郎の幇間ぶり/歌舞伎座6月興行(第3部)助六」
http://blog.goo.ne.jp/passionbbb/e/61c065e250368c07b8f2eb82407dc2ce )
松竹にコネのない私ながら、今回は、
新装なった歌舞伎座で初めて1階西桟敷席で観ることができた
(初日や千秋楽ではなかったが)。
もともと観にいくつもりだったのだが、
膵臓癌の三津五郎のモロナオの代役が海老蔵になったので、
染五郎、海老蔵のような顔がいい役者が好きな
私にとってはさらに楽しみな舞台になった。
巷で言われてるほどには染五郎も海老蔵もヘタではない。
イビリ役師直の海老蔵の悪人顔はもとの顔がいいからこそ引き立つ。
少なくともその顔とその表情は、海老蔵のこれからの
憎まれ役への大いなる可能性を示してる。
当初イビられる役の若狭之助の染五郎も、これが
ブサイク顔の役者だったら、芝居的効果が薄れる。むしろ、
染五郎の品のいい顔とその地味な芝居が、
武士というものの本質をよく表してるのである。
のみならず、
今回の舞台を観おわってみると、
若狭之助に替わってイビられる立場となった
塩冶判官役の菊之助の実力をまざまざと感じた。
セリフと所作がじつに行き届いてる。かつ、美しい。
刃傷に及んだその心のうちを周囲にあきらかにすることができない
「武士」の定めを、その大仰でない静的な演技でものの見事に表現してる。
菊之助は女形も綺麗なのだが、このような
"哀れな死に役"の男形を演らせたら、
現在最高なのではないかと思った。かように、
贔屓の染五郎と海老蔵、そして、新たにファンになった
菊之助の3イケメンによるイビリ・イビラレ劇は、
大変に満足いくものだった。
また、
女形一筋みたいな七之助も、期待以上にすばらしかった。
塩冶判官が切腹して果てたのち、舞台に姿を表した、
七之助にとって今回が初役である顔世御前の白塗りの顔は、もはや
オーラさえ放ってるかのような神々しいものだった。そして、
その所作の幽玄さが輪を掛けて研ぎ澄まされてる。ところで、
藤十郎や吉右衛門や左団次などは、
その声質からセリフの言葉がはっきりしないので、私は
あまり好きでない。そういうタイプのなかでも、ラ・マンチャの男、
幸四郎のくぐもった声とそのセリブわしはもっとも聞きづらい。
鳴物が入る箇所ではそのセリフはほとんど聞きとれない。ともあれ、
立ち姿や所作の見事さ以上に、菊之助と七之助は声がいい。
よく通る声なので、じつに聞きやすく判りやすいのである。
これは七之助の兄勘九郎にもいえることである。
菊之助とともに、七之助はこれからの歌舞伎界の女形の
花形となること間違いないだろう。
声という点においては、
玉三郎に対しても私は否定的な評価である。
昼の部最後の「道行旅路の花聟」で、
踊りがあまり得意でなさそうな海老蔵の勘平に対して、
熟練した所作の玉三郎のおかるだった。
「オカルト勘平」といったって、べつに、
玉三郎は首を180度回転させるような
超常現象的な振りをするわけではない。熟練の
そつない動きで海老蔵をリードしてた。とはいえ、
セリフの場面になると、興が醒めてしまう。すなわち、
玉三郎の女形のときの声が、
いかにも男が安易に裏声を出してるような、
わざとらしく、下卑た滑稽な声だからである。
「チックショー!」
とでも雄叫びしようものなら、
小梅太夫と聞きまごうこと間違いない。
ともあれ、
やはり菊之助と七之助の名演が光る
12月大歌舞伎「仮名手本忠臣蔵」(刃傷の場、切腹の場)だった。
年末の銀座は人で賑わってたが、
ここ数年の年末に比して、
紙袋を下げてる、つまり、物を買ってる人の割合が、
はるかに高い。いわゆる"アベノミクス効果"で、
yenや株価がいい具になり、
財布の紐が緩む気分となってるのかもしれない。
私も負けじと山野楽器で、
Enya女史の"Wild Child"が入ったCDと、
ドリフターズの「ドリフ音頭」が収録されてるCDを買って帰った。
(cf;「絵に描いたような海老蔵の二枚目ぶりと三津五郎の幇間ぶり/歌舞伎座6月興行(第3部)助六」
http://blog.goo.ne.jp/passionbbb/e/61c065e250368c07b8f2eb82407dc2ce )
松竹にコネのない私ながら、今回は、
新装なった歌舞伎座で初めて1階西桟敷席で観ることができた
(初日や千秋楽ではなかったが)。
もともと観にいくつもりだったのだが、
膵臓癌の三津五郎のモロナオの代役が海老蔵になったので、
染五郎、海老蔵のような顔がいい役者が好きな
私にとってはさらに楽しみな舞台になった。
巷で言われてるほどには染五郎も海老蔵もヘタではない。
イビリ役師直の海老蔵の悪人顔はもとの顔がいいからこそ引き立つ。
少なくともその顔とその表情は、海老蔵のこれからの
憎まれ役への大いなる可能性を示してる。
当初イビられる役の若狭之助の染五郎も、これが
ブサイク顔の役者だったら、芝居的効果が薄れる。むしろ、
染五郎の品のいい顔とその地味な芝居が、
武士というものの本質をよく表してるのである。
のみならず、
今回の舞台を観おわってみると、
若狭之助に替わってイビられる立場となった
塩冶判官役の菊之助の実力をまざまざと感じた。
セリフと所作がじつに行き届いてる。かつ、美しい。
刃傷に及んだその心のうちを周囲にあきらかにすることができない
「武士」の定めを、その大仰でない静的な演技でものの見事に表現してる。
菊之助は女形も綺麗なのだが、このような
"哀れな死に役"の男形を演らせたら、
現在最高なのではないかと思った。かように、
贔屓の染五郎と海老蔵、そして、新たにファンになった
菊之助の3イケメンによるイビリ・イビラレ劇は、
大変に満足いくものだった。
また、
女形一筋みたいな七之助も、期待以上にすばらしかった。
塩冶判官が切腹して果てたのち、舞台に姿を表した、
七之助にとって今回が初役である顔世御前の白塗りの顔は、もはや
オーラさえ放ってるかのような神々しいものだった。そして、
その所作の幽玄さが輪を掛けて研ぎ澄まされてる。ところで、
藤十郎や吉右衛門や左団次などは、
その声質からセリフの言葉がはっきりしないので、私は
あまり好きでない。そういうタイプのなかでも、ラ・マンチャの男、
幸四郎のくぐもった声とそのセリブわしはもっとも聞きづらい。
鳴物が入る箇所ではそのセリフはほとんど聞きとれない。ともあれ、
立ち姿や所作の見事さ以上に、菊之助と七之助は声がいい。
よく通る声なので、じつに聞きやすく判りやすいのである。
これは七之助の兄勘九郎にもいえることである。
菊之助とともに、七之助はこれからの歌舞伎界の女形の
花形となること間違いないだろう。
声という点においては、
玉三郎に対しても私は否定的な評価である。
昼の部最後の「道行旅路の花聟」で、
踊りがあまり得意でなさそうな海老蔵の勘平に対して、
熟練した所作の玉三郎のおかるだった。
「オカルト勘平」といったって、べつに、
玉三郎は首を180度回転させるような
超常現象的な振りをするわけではない。熟練の
そつない動きで海老蔵をリードしてた。とはいえ、
セリフの場面になると、興が醒めてしまう。すなわち、
玉三郎の女形のときの声が、
いかにも男が安易に裏声を出してるような、
わざとらしく、下卑た滑稽な声だからである。
「チックショー!」
とでも雄叫びしようものなら、
小梅太夫と聞きまごうこと間違いない。
ともあれ、
やはり菊之助と七之助の名演が光る
12月大歌舞伎「仮名手本忠臣蔵」(刃傷の場、切腹の場)だった。
年末の銀座は人で賑わってたが、
ここ数年の年末に比して、
紙袋を下げてる、つまり、物を買ってる人の割合が、
はるかに高い。いわゆる"アベノミクス効果"で、
yenや株価がいい具になり、
財布の紐が緩む気分となってるのかもしれない。
私も負けじと山野楽器で、
Enya女史の"Wild Child"が入ったCDと、
ドリフターズの「ドリフ音頭」が収録されてるCDを買って帰った。
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