Passy with ひな & Coco

思いつくままに綴るPassyの日々
春と秋の薔薇園めぐり
四季折々の花々
(=^・^=)(=^;^=)との暮らし

ぼけの花の美しさ

2009-04-22 | 心に花を

ぼけの花も、もう散ってしまいましたが
ふっくらとした優しげな風情が魅力的です

先日お話した、母が大切にしていた思い出のぼけは
小振りの赤い花でしたが
もう1つの思い出のぼけの花は
ちょうどこの色でした

もう1つの思い出、それは大人になってからのものです

私たち夫婦が結婚する前
夫はアパートで1人暮らしをしていて
結婚と同時に入居する予定だった家の契約の都合で
短い間、そのアパートで2人で暮らしました

アパートの大家さんご夫妻は
すぐお近くの古くて大きなお屋敷にお住まいでした
もうお子さま達もとっくに自立
お2人での暮らしで、車はもう廃車処分にしていて
ガレージが空いていますよ、と
ご厚意で敷地内のガレージを使わせて下さっていたので
車の出し入れの度に、広いお庭を眺めていました

もう引越しの日取りも決めて
お別れの日も近づいた頃
車を出そうとしたら、何となくいつもと雰囲気が
違うような気がしました
ふと見上げたら...
大きな樹に淡いサーモンピンクと白の
見事なグラデーションに染まった
雲のようなお花が見えたのです

しばらく夢心地でうっとりと見とれてしまいました

ご夫妻がご結婚なさったときの記念樹とのことでした
そのお話を聞いたとき
いつか私たちの家が持てたら
こんなに大きな樹は無理でも
この美しい色合いの花の咲くぼけの木を
私たちの庭に植えてみたいわね
そんな夢のような会話を交わしました

夫は、そのときのアパートがあった住所から
本籍地を移動しないままにすると宣言
いつか必ず、この区に自分の家を持つから
そう言っていました

そして月日は流れ
転居や転勤、その後の社宅での仮住まいを経て
10数年前に、そのときの約束どおりに
本籍地のある区に住まいを持ちました
そして、ここが私たちの終の棲家と決めて
本籍もこの住所に移しました









国立のさくら並木を歩いていたときに
ふっくらと咲くグラデーションカラーの
ぼけの花を見かけて...
そんな思い出が胸をよぎりました

今の家の庭に、こんなに立派に育った
ぼけの木が...とご紹介できれば
まるで小説の中のエピソードのようなのですが
残念ながら我が家の庭に、ぼけの木はないのです

シンボルツリーを決めるときに
夫婦で意見が合わず...
あぁ...あの思い出の日は遠い日のまぼろし...?
しみじみと、そんな風に思ったのでした

その「がっかりの思い出」から更に月日が流れ
近頃の私は...
多分、夫は昔の思い出の後半部分を心に強く思って
この地に家を持つ、と心に誓い
私は思い出の前半部分を心の奥に大切にしまって
いつか私たちの家の庭にはぼけの木を...と
願っていたのでしょう
そんな風に思うようになりました

確かに同じ日の思い出を
長い長い間、共有し続けていたことを
うれしく思いましょう...

「うっとりの日」から、「がっかりの日」までの
長い長い間、なぜか私たちは1度も思い出の話を
したことはなかったし
その時にも、2人ともその話題は出しませんでした

正直に言うと、未だに2人であの日の
思い出を語り合ったことはないのです 

本当に大切なことは
もしかしたら言葉にできないのかもしれません
 
「大切なことは
 耳を澄ましていないと聞こえないんだよ。」

村上春樹さんの小説の中に
そんな言葉がありました 


 ぼけ(木瓜)について


 母との思い出の赤いぼけの花は、こちらです








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2 コメント

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それぞれの思い出 (blue tango)
2009-04-25 17:06:12
大家さんのガレージはPassyさんとご主人様に別々の思い出となったのですね。

意見は合わなくても、でも夢を現実のものにされるなんて、すばらしいではありませんか
ピンクと白のグラデーションの木瓜の花、新妻の頃のPassyさんを連想します。
返信する
blue tangoさんへ (Passy)
2009-04-26 00:17:27
tangoさん
優しいコメントありがとうございます

来年の春には、お世話になった
大家さんのお屋敷のぼけの花を
確かめに行こうかしら...
そんなことを思っています

ずいぶん前に代替わりなさったので
もしかしたらマンションになっているかもしれませんが...

誰にも若かった時代がある、ということですよね 
返信する

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