都会に来て はじめて見たその花は
季節のヒロインを勝ち取ろうとするかのように
桜散るアスファルトに 目を落とすことなく
天に向かって うす紅の花びらをアピールしていた
誰にも知られずに そっと咲く小さな花でいい
本心を包み隠して生きていた私の目には
空に浮かぶ太陽よりも まぶしい花だった
何度目かの恋は ハナミズキの赤い実の頃
恋は 青いまま
待っているだけの 秋の空
都会に咲く花に 郷愁を覚える時の流れ
想い出は いつかのハナミズキ
今日は 雨の中
思い出の花はありますか?
感謝をこめて つる姫