☆つる姫の星の燈火☆

つる姫的3年目の3・11~福島で祈りを~

3月11日午前6時。

18切符を握りしめて駅に向かう私。

私の旅の出発としては遅い時間です。笑

まず山手線で上野に行き、快速ラビットで宇都宮。

そこから、各駅で黒磯、郡山と乗り継いで福島には12時前に着く予定です。

去年の天橋立の時とは距離も違いますが、乗り継ぎも余裕があって楽勝でした。

北に向かう電車の車窓から眺める風景。

美しい山が近づいては遠ざかります。

郡山に着きました。

何気に電車は3分ほど遅れていたらしく

この電車は私たちが乗ってきた電車の到着を待ってすぐに出発。

これが最後の乗り継ぎです。

福島駅に着くと、ついおととい恵比寿でお会いしたばかりの和田さんが、笑顔でお出迎え。

ストレートの髪、ジャンパーにジーンズ、そしてリュックを背負って首にカメラをぶら下げた私。

「今日は旅人バージョンですから」と言い訳をしてしまう自分がいました。

まあそれが私の本来の姿です。

 

福島に来たのは、その日の夜に行われる追悼イベントの「キャンドルナイト」に参加しようと思ったから。

本当は去年来るつもりでしたが、例の天橋立行でロッキー君が留守中死にそうになったから

その後の福島は見送ったといういきさつです。

 

和田さんという方は、福島市から30分ほどの山の上の方に

心滋館http://www.k5.dion.ne.jp/~kirie-ky/を作られて

どうもこの私が一言では説明できないほど色々な活動をされている方です。

ご自身でも自分の肩書に悩んでおられる。

 

その日は2時46分に、一人で般若心経をあげようと思っていたところだったそうで

私も一緒にお祈りをさせていただくことになりました。

お昼ご飯を御馳走していただき、車で心滋館に向かう途中

白鳥の飛来地に寄ってくださいました。

 

車から降りると、ものすごい数の鴨たちが一斉にこちらに向かって歩いてきます。

餌をくれると思っているらしい。

このありえない光景に大笑いです。

つるのくせに鳥が苦手な私も、何だかめちゃくちゃ癒されました。

全員が私の方をつぶらな瞳で見上げているんですもの。

 

があがあがちゃがちゃぐうぐうげこげこ。

人間の言葉に訳すとですね。

ねえねえ、あんたたち食べるモノもってきてくれたんじゃないの? みたいな感じです。

終いには鴨のくせに、ガンとばされました。何百もの目でのガン飛ばしは恐ろしいものがありましたが。

ごめんね。パンくずひとつ持っていないのよ。

和田さんはいいます。


前は毎年900羽も来ていた。

何十年来面倒を見てきた野鳥の会は、鳥インフルエンザ問題の時から手を引き

今は個人が餌やりをしているらしい。

ここにも人間の勝手で見捨てられた動物たちがいるのだ、と。

 

やがてなにもくれないと分かった鴨たちは、散らばって行きました。

さすがハクチョウは品格があります。

近寄って餌を貰おうなんて態度は示しませんが

ハクチョウは言いました。

「この、はくちょうもの!」

私は鼻がむずむずしました。

「はっくちょん!」

 

山の上の和田さんの工房に向かいます。

手作りの看板が至る所にあります。

この山道に入ったとたん、雪景色です。

実家の山道を彷彿とする曲がりくねった坂道をどんどん上ります。

ここに来る人は必ず一回不安になるそうです。

行き止まりになりそうなほど狭い山道ですから。

 

昇りつめて和田さんの工房に到着して車を停めると、後ろからもう一台車が上ってきました。

実はお昼を食べている時に、先日恵比寿のライブのVTRを撮っていたカメラマンの方から

今日の様子を記録させてくれないか、と電話があったらしいです。

一人旅の途中の私とプロのカメラマン。

和田さんのお祈りの様子を記録することが出来ました。

ワンちゃんたちが誰か来たぞと吠えてます。

 

君たちは、よい所に住んでるね!

これは和田さんが丸太をチェーンソーで彫って作られたのですよ。

これらすべて和田さんが腱鞘炎になりそうになりながら作られました。

健勝を祈ります。

左の空に月が浮かんでいるのですが、私のカメラではこれが限界。

 

さて、2時46分です。

 この刺し子も和田さんの手製です。

私も後ろで手を合わせていました。

般若心経の声が風に乗ってそのあたりをさまよい

やがて空の彼方に消えて行きます。

私には綺麗な空と山しか見えない。

そこにあるらしい、見えない数値など。

冬の軒下の光景。

甘い干し柿だって、数値を計らなければ口にすることは出来ません。

私もお焼香させていただきました。

 

風が何かを叫んでいたのが聞こえました。

そして、和田さんの背中辺りに何やらちらちらと

見え隠れしていたものは、、あれは何だったのかしら。

何度もご近所の方か誰か上がってきたのかと思いました。

私には時々そう言うものが見えるんです。

 

その後ギャラリーを拝見しましたが、これがもう本当に素晴らしいというか

すごいと言うしかできない作品が沢山あって、

これは切り絵なんですよ。

そばで見たら驚きです。

これはもっと沢山の人に観てもらいたい。

観てもらいましょうよ!和田さん!

喫茶室で和田さんの淹れてくださったコーヒーをいただきながら

カメラマンの佐藤さんと三人でお話しをしました。

あの震災でなくなった方の数を、関連死の方の数が上回った、という話を聞きました。

特に福島は多いらしいです。

補償の問題やその他終わりの見えない問題が山積しているという話も

テレビでは聞いていましたが、現実にそこで暮らしている方の話は貴重でしたし

説得力もありました。

世の中はきれいごとではない。

生きて残った人間は大変なんです。。

 

ちなみに、いまやコーヒーをブラックで飲めない私ですが

ここのコーヒーはブラックでもとても美味しくいただきました。

ちゃんとこだわって淹れておられます。

機会があればぜひどうぞ。いや、ぜひ機会を作ってください。

 

その後山を下り、キャンドルナイトの会場へ行きますが、まだまだ明るいです。

和田さんの行きつけのお店で、コーヒーを飲みのみ時間を潰します。

 

5時過ぎても、まだ明るい会場に行くとキャンドルの用意がされていました。

それぞれのメッセージをかいた器の中に水を入れて

蝋燭を浮かべています。

この日は7時頃から、オレンジレンジのライブもあるらしかったです。

オレンジレンジ、最近はテレビに出ませんが、こういうところで活動してるんだ。

 

一人のアーティストが舞台の横で絵を描いていました。

桜の絵。

見ている間に、一輪一輪増えて行きました。

イベントが終わる8時には満開になるという演出です。

とても綺麗な絵でした。

満開になったところをみたかったです。

絵のプロ和田さんも興味津津。

 

さて薄暗くなり、キャンドルに火が灯され始めます。

偶然こんなメッセージを見つけました。

 

会場が蝋燭で彩られ始めた時に、突然上空にものすごい数のカラスが飛び交いました。

うまく写せませんでしたが、こんなもんじゃなかったです。

上空を見ていたのは多分、私と和田さんくらいではなかったかしら。

夕方にカラスは集団で塒に帰るものではありますが

このタイミングでのこの様子は、不思議な空気感でした。

 

さて、小さな広場のステージで司会の女性の声がします。

何気に、いつの間にか、イベントは始まっているようです。

名も知らぬ歌手の方が歌を歌って終わって、これからも応援していきたいと言っておられ

その後福島の副知事さんが、非常に短い挨拶をされました。

もっとも挨拶が長いのはまっぴらですが

なにか他に言う事はないのかしら、と思いました。

そして、全く知らなかったのですがキャンドル・ジュンさんが来ておられました。

キャンドルを扱う時のモットーは「安全第一」だそうです。

そう、それは一番大切な事です。

危険性は0でなくてはいけないんです。

限りなく0に近づける事しかできないものを

動かしたらいけないんです。。

あ、彼は今何かと大変みたいですね。

頑張ってください。

 

先日チャリティーコンサートを開いたばかりの和田さんにも

色んな想いがあったことでしょう。

しかし・・

私は何のイベントに来たのかしら、と徐々に灯されていくキャンドルを見ながら思っていました。

 

様子によっては、遅らせようかと思っていた電車の時間が迫っている事に気づき

もう、これ以上ここにいる理由がないと感じ、和田さんと一緒に会場を後にしました。

あの綺麗な桜の花が満開になったところが見れなかったことだけ残念でした。

 

和田さんと別れ、郡山方面行の電車に乗りましたが

私は何のためにここに来たのだろうという想いで一杯でした。

和田さんやジュンさん達のような才能のないただのオバサン。

黙祷なら家でも捧げることは出来たはず。

ただどこかに旅をしたくて、それで被災地を訪れるといううまい理由をくっつけただけじゃない。

確かに震災後私の意識が大きく変わった事は事実だけど。

 

しかし、偶然というか必然というか

和田さんにお会いできたお蔭で

福島の山の上で黙とうを捧げることが出来たことが唯一の救いでした。

亡くなった方たち、今もこれからも苦しみが続く人たちへの想いだけは

確かに心の中にありましたから。

 

でも、それがいったい何の、誰の役に立ったのだろう。

結局自分の自己満足だけで、私の祈りなどに意味があったのだろうか。

家族に多少の負担をかけてまで、出かけてくる必要なんてなかったのではないだろうか。

 

考えても考えても考えても、考えても考えても考えても考えても、しつこい、無駄だと悟り

ここからは純粋に旅を楽しむことにしました。

今日は会津若松に泊まる予定でした。

郡山から会津方面の電車に乗ろうとしたら、入ってきた列車は豪華! わたしにすれば、ですけど。

快速ですが昔のL特急みたいな車両で、座席も二人掛けの席が並んだや~つ 笑   *注 18切符は快速まで乗れます

おっ!これはいいぞ ♪

私は俄然嬉しくなって、売店で缶ビールをゲットしましたぜぇ。

ワイルドだろう?

 

ややこしい事はまた後で考えよう。

まずは行動だ!

プシュッ! そっちかい。

 

さすがに身体は疲れていて、ふた口ほどでほろほろします。

昨夜はよく眠れず、4時起きでしたし。

外はもう真っ暗。

車窓におでこをくっつけて外を覗くと、どうも周りはかなり深い雪が積もっているよう。

遠くの山に一列に並んだ灯りは、ああ・・・あれはゲレンデか?

磐梯スキー場なんてのがあったような気もします。

こんなに嬉しい時には叫びます。

ばんだ~い ・・・。

 

雪の中に引かれた黒い線路の上。

直線やカーブを描きながら進む一本の列車。

ライトに照らされたところの雪が黄色や赤に染まりながら移動する。

私は自分の乗った列車の光景を俯瞰で見ていました。

 

そう。。

私は今日、自分の中にうすい層を重ねたんだ。

それは油絵のように、この後で塗り重ねて行く色を綺麗に出すための下地になる。

まずは行動ありき。

今日の事は私の大切な一部になった、そう思えるまでには時間がかかるかも知れないけれど。

 

350ミリリットルの缶ビールをちびちび飲み干す頃、会津若松に到着!

さぞや空気がゾクッと冷たいかと思いきや、そうでもない。

駅から一番近いというホテルにチェックインして、今回は思い切って一人居酒屋へ行くぞ!!

幸いな事にまじ切りのある、しかも空いた店内の2階で、周りには誰もいない!

とりあえず生ひとつ、あっ一人だからひとつで当たり前ですね、とお姉さんに冗談を言うつる。

ただにこりとする会津のお姉さん。

そう、そういうのを、あいづちをうつ、というのだ。

呼ぶときのあいずには、ピンポンを押してくれという事でした。

づとずのつかいかたは、いまだにこんらんするずら。

どうもこのお通しってのが、なぞ!

出すんだったら気合の入ったものを出してほしい。

これで260円とられるってか、まあそう言うシステムなんだから仕方ないね。

これね、キャベツの芯のケチャップ味 汗 いや大汗

メニューには沢山食べたいものがあるんだけど、シェアできないので種類が食べれない。

今日はおさしみより肉が食べたい!

牛タンのうま塩焼き

ヘルシー志向で(爆)みず菜としらすのサラダの梅ドレッシング、これがまた非常に酸っぱくて

いま思い出しても唾液が放出してしまうわ。

あ~すっぱい。

 

馬刺し。ニンニクを効かせて食す。

 

これらを付け合せまで完食して

ううむ、身体を想ってサラダを頼んだが、量が多かった。

野菜でお腹いっぱい。

ビールは残しました。 嘘

この後飲み干してお会計。

生何杯飲んだか忘れました。  大嘘!

 

道に少し雪が残っていたので、転ばないように気を付けて徒歩1分のホテルに戻りましたが

やはりちっとも寒くないんです。

今朝の東京が一番寒かった。

 

あまりきれいではないけれど

小さい湯船にお湯をはって、小っちゃくなって入浴後

そのままバタンキューかと思いきや、なんだかたまに外がうるさい!

夜の出入りは、音に気を遣ってほしい。

旅先でのマナーに、その人本来の姿が表れるように思います。

バタン、ドタンで夜中何度か目が覚めて

朝はいつも通り5時半前に起床。

 

ねむいなあ・・・

ごそごそベッドを降りると。

 

つづく

 

最後までお付き合いくださりありがとうございます。

今日書いたことは

あくまで私個人の感想で、誰かを批判したりする意図は全くないです。

ご理解をお願いします。

 

感謝をこめて つる姫


私の好きなものは笑顔。笑顔は世界を救うと信じるつる姫のブログです。

コメント一覧

つる姫
ブライトあいさん
和田さんは、多才でしかも
お茶目でユーモアのセンスも抜群です。
私もすごいとか素晴らしいとかという言葉でしか
表現できません。
勝手に師匠と呼ばせていただいてますが 笑

ありがとうございます。
私も今は行ってよかったと感じていますが
ブライトあいさんのコメントでまた救われました。
この事はそのうちまた記事にさせていただきます。

ブライトあい
貴重な体験!
和田さんの彫られたお像のお顔は素晴らしいですね。
作者和田さんの内なる深さがにじみ出ているように思えます。

長時間細やかな作業に徹されたでしょう切り絵にも
深く感動しました。
素晴らしいという言葉は全く不十分ですが・・・
ほんとに素晴らしい!

どこかに自分の足で出向くということはとても
意味があると思います。
そうすることでその地とご縁が繋がり、その後は
遠くから思うだけでも、一瞬でエネルギー的に
再び繋がれるのではないでしょうか。
つる姫
ブラボーさん
ありがとうございます。
目の錯覚かと思ったのですが
それが和田さんの背中辺りにだけ見えたのが不思議で。

表現者。
和田さんも素晴らしい表現者で
大師匠です。
千年経っても同じステージには立てないと思いますが
これからもできる形で何かしらの強力が出来ればと思います。
あのような素晴らしい方に長生きしてほしい。
つる姫
ふっきーさん
和田さんとご一緒させていただいたことで
救われました。
素晴らしいご縁に感謝しかありません。

私はもうつくづくテレビに幻滅してます。
だから、この旅で自分が感じとった事が正解だと思えます。

はい、会津に入ったらすっかり旅人。
大好きな雪の匂い♪
つる姫
keiさん
本当にありがとうございました。
あったかくなったらまた!
つる姫
テバネさん
そうですね。
まだまだ自分探し。
ずっと続くよ。
でもそれってとっても幸せな事だと思いました。
ブラボー
油絵の下地
この表現今回の旅にピッタリね!読みながらそう感じました。
そして和田さんの背中にチラチラ見え隠れするもの。。。
こう言った経験は見た物しかわからないんだけど、私もね
最近皆が見えなかったものが見えて、アレはいったい何の意味?
なんだったのかなぁ~。。。と考える事が有るんです。
同じ波長の霊なのか?何か知らせているのか?不思議ね。
人には生きて学ぶ事が人生で有ってそれを表現できる人は
素晴らしいと思います♪
ここ数日表現者に憧れてます。

ふっきー
お疲れ様
色々と考えさせられる旅をされたんですね。
でも、一人でなくて和田さんとご一緒されて
良かったんじゃないですか?

思う事は有りすぎて上手く言葉に出来ない私ですが
つる姫さんの文章を、うんうんと頷きながら読ませて頂きました。
最近、新聞、テレビ等の報道を素直に受け入れられません。
情報の向こう側にあるものを探してしまいます。
あっ、あくまでも個人の意見です(^^;)

旅の締めはやっぱりビール?
ほろっとなって固まった心と体はほぐれたでしょうか(^^;)
kei
3・11の日に
色々な意味で疲れ旅だったんですね。でも偶然の様に二人が参加してくれてよかったし、こんなに記録が残せたし、ライブのVTR(来月編集完成)の頭にこの日の祈りをフアーストシーンにしたらもう何も説明が要らないと思いつき、すごくうれしい。
まだ心滋館の半分まで見る時間がなかったので、季節を変えてまたぜひ来てください。
テバネ
ある意味、自分を見つける旅のようなきがするな~
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