ゆったり山登り

北海道で暮らす自然が好きで、山登りやカヌーを楽しんでいるのんびり者です。
日々の自然や人との触合いを書いて行きます。

帚木蓬生氏作「インターセックス」を読んで

2011-11-27 16:35:09 | 感想
 私はインターセックスと言う言葉も意味も知りませんでした。
現実に私の周りにはいませんでしたし、いや、居ても分からなかったかもしれませんが。

主人公は産婦人科の女医さんです。ただ、通常の産婦人科ではなく性差医療と言う分野の医者です。
そして、彼女がこの新しいインターセックスの分野の治療に挑戦していく物語なのです。(それと同時にサスペンスもありますが作者の意図するところはやはりこの病気に対する人類が取り得る方向性を示したかったのではないか)
最近、性同一性障害が病気がとして認可されました。これによって性の転換手術、及び戸籍の変換も認可されました。
ここまでは私も知っていました。が、これは外見と心が違っている場合です。しかし、それとは違った性の問題があることを知りました。それもかなりの確率で生まれているそうです。
両性具有と云う言葉を知っていますか。これは男性と女性の機能を備えた人のことを云います。その他にもっと性が曖昧な状態で生まれてくる状況もあるようです。
現在では親と相談の上染色体の性別に合わせて外見を合わせるそうです。この場合、睾丸、男性器若しくは小宮、膣が未成熟で大人になっても機能する確率は低いようです。特に睾丸の場合残して置くと癌になる確率は高いそうです。
どちらにしても何回もの手術が必要でその苦しみの他にも両親や舅達との葛藤等想像以上の苦しみを持ちながら生きていかなければなりません。
そこで主人公はこの手術には反対の立場をとります。まずは本人の意志にかかわらずに性別を決めるべきではない云います。それに術後の精神面でのアフターケァーが必要であって本人が大人になって納得した上で性別を決めるべきと主張します。

主人公がドイツの学会に行った際に友人の医者がこの病気のメンバーの集りに出席するのに同行します。
ここでは各自が苦労した話などをみんなに聞いて貰います。そこで最後に話した人の意見が結論ではないかと私は感じました。
それは人間には肌の色の違いがあります。それでも人類としては同じ扱いです。それと同じように性の問題も男と女だけでなく染色体がXYでありながら、性器の外見が女性の人。そしてXXであっても女性性器が欠如して男性化している人。そして男性器と女性器の両方を持っている人の五種類に分けるべきだと主張します。

たとえ少ない確率とはいえこのような性を持って生まれることがあるならそれ自体が認められる社会であるべきかと考えました。
偏見とは多数主義が生み出す悪習のようです。大勢の中にいることで少数派をいじめて安心する現代社会の病魔でしょう。

性に関して現在テレビなどに出演している女装者などがほとんど認知されていることからいずれ変わりうる可能性はあると思います。