Hochschulvokabular A ⇒ N |
留学手続き、勉学、学生生活など、ドイツ留学の準備や留学中によく出くわし、一般の辞書ではなかなか意味のつかめない言葉を中心に紹介しています。留学に関係した意味のみを示し、適宜解説も加えています。
協力:矢羽々崇 獨協大学教授(NHKラジオ講座やNHK「テレビでドイツ語」講師等を歴任)
A |
AAA -Akademisches Auslandsamt- | 外事課、国際センター、国際交流センター 大学の留学生受入れ/送り出し、留学生のケア、外国の大学との交流などを担当する部署、窓口。入学願書の提出先でもあり、留学生が一番お世話になるところ。International Office 等英語の名称になっている場合も多い。 |
absolvieren | 卒業する、学業を修了する |
Ablehnungsbescheid | 入学不許可通知 入学出願書類審査の結果、入学許可要件を満たしていない場合に出願者に送付される。詳細はこちら。 |
Akademisches Viertel | 大学の授業や講座などは実際に記載されている時刻よりも15分遅れで始まり、15分早く終わる、という大学という特別な空間内だけに通用する時間世界。 「11時開始13時終了」の授業は但し書きがない限り実際に始まるのは11時15分で12時45分終了ということになる。2時間(2-stündig)と表記されていれば、実際の授業は前後の15分を除いた90分。 ラテン語(cum tempore)の略称 c.t.で表し、例えば11 c.t.は11:15のこと。これに対し、時刻をきっちり表す場合はやはりラテン語(sine tempora)の略称 s.t.で、11 s.t.(11時ジャスト)と表記される。 |
ALTE -Association of Language Testers in Europe- | ヨーロッパ標準外国語能力基準 ヨーロッパ各国のそれぞれの言語の習熟度を言語の違いを越えて測る基準。Stufe1~Stufe5の5段階に分かれている。 Stufe1:初級、Stufe2:中級Ⅰ、Stufe3:中級Ⅱ、Stufe4:上級Ⅰ、Stufe5:上級Ⅱという目安になる。 |
amtliche Beglaubigung | 公的な認証 出願書類として提出する証明書が現物(オリジナル)でなくコピーの場合は、そこに公的な認証印をスタンプしてもらう必要がある。また、日本語で書かれた証明書は公的な認証を受けた翻訳を添付する必要がある。詳細はこちら。 | Anerkennung | (単位/科目の)認定 日本の大学を卒業して留学する場合などは、卒業した大学で修得した科目や課程の認定手続きを行おう。これによって留学先での学位取得期間を短縮できる場合がある。 |
anrechenbar | 算入可能な、認定し得る 単位や科目の認定要件や、ある課程の修了要件をカバーすることができる科目は、"anrechenbar"である。 |
AOK -Allgemeine Ortskrankenkasse- | 一般現地健康保険組合 ドイツでは30歳未満の学生には、健康保険の加入が義務づけらているが、最も大規模な健康保険請負機関がAOK。全国に支店があり、学内で手続きが取れる場合が多い。AAAでインフォメーションを行っている。 |
AStA -Allgemeine Studierendenausschuss- | 学生委員会 ドイツの大学に在籍する学生は、その勉学・生活を支援する学生組織(Studentenschaft/日本の大学で言えば「学友会」のようなもの)に所属することになる。この学生組織は「学生議会(Studierendenparlament)」と「ASTA(学生委員会)」から成る。ASTAは学生議会での決議事項を履行し、運用する。また、学生の勉学・生活条件、法的な問題など様々な問題での相談窓口ともなっている。金銭の一時貸し付けなども行う。 |
Aufnahmeverfahren | 受入れ手続き ドイツの大学に願書を提出し、実際に入学許可が発行されるまでの一連の手続き。 |
B |
Bachelor | 学士/学士課程 従来のドイツの大学で与えられていたDiplomやMagisterといった学位に代わり新設された、大学に入って最初に得られる学位。取得までの最短年数は大学や学部によって異なるが3年から。米国や日本の4年制大学を卒業して得られる「学士」に相当する。 人文科学系のBachelor of Arts(B.A.)と自然・社会科学系のBachelor of Science(B.Sc.)に分かれる。 |
BAFöG -Bundesausbildungs- | 学習奨学援助金制度 生徒/学生に給付、或いは無利子で貸与される制度で、学生の経済状況に則して支給される。 |
Bewerbungsunterlagen | 出願のための書類 大学入学出願時はもちろん、留学中に試験や特別講座を受ける際なども、この言葉はよく目にすることになる。 |
Bildungsinländer | 教育自国民 ドイツ人ではなくてもドイツの教育制度で修学した者、あるいは他国にあってもドイツの教育制度で修学したドイツ人。 ドイツの学校に通ってAbiturを取得者した外国人や、国外のドイツ人学校でAbiturを取ったドイツ人などはBildungsinländerとしてドイツ語試験も免除され、一般のドイツ人と同じルートで大学への入学手続きを行うことになる。 |
D |
Dekanin/Dekan | 学部長 学部長は学部教授会において選出される。 |
Dekanat | 学部長室/学部運営課 学部を代表する事務機構の総称 |
Diplom | 主に自然科学、工学、社会科学、経営系の学科で最初に取得する旧来の学位名称。Diplom取得試験に合格して取得できた。Diplom取得までには4年半~6年かかり、それ以上かかる場合も多かった。(文系ではMagister)
なお、DiplomとMagisterの課程は、大学改革により2010年までに全てヨーロッパ統一規格のBachelor/Masterコース統合され、一部の例外を除いて廃止された。 |
Diplomprüfung | Diplom取得試験 Diplom系の学科において、所定の課程(GrundstudiumとHauptstudium)を終えた後に受ける学位取得試験。各学部・学科単位で行われ、論文(Diplomarbeit)作成と口述/筆記試験により審査される。 |
Diplom-Vorprüfung | Diplom中間試験 MagisterにおけるZwischenprüfung同様に、Diplomをめざす場合にGrundstudium修了の際に受験する。 |
DSH -Deutsche Sprachprüfung für den Hochschulzugang ausländischer Studienbewerber- | 大学入学ドイツ語試験 大学の専門課程を始める前に、ドイツ語を母国語としない外国人に課せられるドイツ語試験。レベルは上級で大学ごとに実施される。詳細はDSHの項目を参照のこと。 |
E |
ECTS -European Credit Transfer System- | ヨーロッパ単位システム 科目を単位(credit)に置き換え、この分野で何単位修得すればその課程を修了するかを測る単位制度。30時間の授業を1単位相当としている。 一つの課程はいくつかの分野にモジュール化され、そのモジュールの習得のために何単位(ECTS)必要かが定められている。 国際規模の大学交流が進む中で他国の大学との単位互換を行う際に共通の基準が必要となり、ヨーロッパの多くの大学が共同して試験的に導入を始めた。ドイツでもBachelor-Masterへの移行を機に定着している。 |
ECTS-Note | ECTS評価 ECTS制の導入に伴う世界標準の学業成績の相対評価。科目の修得者全体の中での相対評価で、A~Fまでのアルファベットで表記される。各評価は以下のルールで与えられる。 A(10%):die besten B(25%):die nächsten C(30%):die nächsten D(25%):die nächsten E(10%):die nächsten F:nicht bestanden |
Eignungsprüfung | 入学適正試験 一般には適正試験という意味で使われているが、大学が実施するEignungsprüungとは、特定の大学や学科が入学志願者に行う選考試験のこと。 ドイツの大学では原則として入学試験は行われないが(ドイツ語を母国語としない志願者にはドイツ語の試験は実施される)、音楽・美術・体育といった学科に入るには実技や 作品制作といった試験に合格しなければならないことが多い。 |
Einstufungstest/ Einstufungsprüfung | クラス分け試験/受入れ試験 多くの場合ドイツ語コースの受講生をレベル別に振り分ける際に行われる試験。DSH準備コースなどの場合は事実上の受入れ試験となり、合格者と不合格者に分けられる。 |
ERASMUS | エラスムス・プログラム ヨーロッパの大学間の柔軟な交流を目差した単位互換/奨学金制度。ドイツの大学はどこもこのプログラムで数百の他大学と協定を結んでおり、これらの協定先大学で奨学金の支給を受けながら原則として1年間の留学ができる。ERASMUS圏外(欧州外)の学生は原則としてこのプログラムは利用できない。 |
Erststudium | Bachelor、Master、或いは旧来のコースであるDiplomやMagisterなどに関わらず、大学入学資格を得て初めて専攻する学業課程のこと。 同じ専攻でBachelor-Masterと続ける場合はどちらもErststudiumだが、ある専攻でBachelorを修了し、専攻を替えてまたBachelorを始める場合や、別の専攻でMasterに進む場合などはZweitstudiumとなる。 ある課程の途中で(修了前に)他の専攻に変更した場合などは、変更後の課程もErststudiumとなるが、この場合は学費徴収の対象として扱われる場合が多い。 2004年にErststudiumへの学費導入は合法という連邦憲法裁判所の判決を受け、ドイツの大学のErststudiumへの学費導入が加速された。 |
Exmatrikulation | 退学、除籍 Immatrikulationの逆。学籍登録した学生が、他の大学に移る時や、学位修得時、あるいは留学期間を終えて帰国する時などは在籍する大学でこの手続きを踏まなければならない。 |
F |
Fachbereich | 学群/学部 共通する分野の複数の専攻課程/学科(Studiengang)によって構成されている。従来の「学部」を発展的・広義的にとらえた新しい形態として始まったが、「学部」という認識で構わない。伝統的なシステムを取る大学ではFakultätという。 |
Fachhochschule(FH) | 専門大学 ある分野に限定された学部学科で成り立ち、職業に必要な専門的で高度な訓練や実習に重点が置かれた大学。在学期間は、一般の大学(Universität)よりも一般的に1~2学期(半年~1年)長い。これはFHが、より独自性が強く職業能力取得と結びついているため。FHで得られる学位はDiplom(FH)と、カッコ付きの(FH)でUniversitätと区別していたが、学位としては同等の価値が認められていた。ボローニャ宣言による大学改革でUniversitätと統一され、BachelorおよびMasterとなった。 |
Fachschaft | 学部学生会 学部単位で構成された学部を代表する学生組織。特に入学後間もない学生の、学部での勉学についていろいろアドバイスしてもらえる他、学生生活上のあらゆる問題での相談窓口でもある。 |
Fakultät | 学部 共通する分野の複数の専攻課程/学科(Studiengang)によって構成されている。 |
Feststellungsprüfung -Prüfung zur Feststellung der Eignung ausländischer Studienbewerber für die Aufnahme eines Studiums an Hochschulen in der Bundesrepublik Deutschland- | 大学入学資格認定試験 日本で高校を卒業し、4年制大学に合格すれば、それがAbiturに該当するドイツの大学の大学入学資格として認定されるが、これに該当しない場合は、原則としてドイツでStudienkollegという大学入学資格取得学校へ通い、Feststellungsprüfungに合格しなければならない。試験科目はドイツ語の他に、志望学科によって数学や理科・社会などが課せられる。 |
G |
Gasthörer/in | 聴講生 「聴講生」としての手続きを取ったうえで、大学の授業に参加することができる。聴講生には学生証は発行されず、試験を受けることもできないし、従って成績をもらうこともできず「受講証明書」のみが発行される。 |
H |
Hauptseminar | 本ゼミ 主専門課程(Hauptstudium)で行われるゼミナール科目。議論・発表・レポート提出等を通じてより専門的な知識を深め、独自の論理を導き出すことが求められられる。基礎専門課程(Grundstudium)で行われるゼミナールはProseminar。 |
Hochschule | 大学 狭義ではFachhochschuleやMusikhochschuleなどの単科大学などを指す。広義ではUniversitätを含めて、大学レベルの「高等教育機関」を指す。 |
Hochschulerschaft | 学生会 主にオーストリアで使われる言葉。 "Studentenschaft"を参照。 |
Hochschulzugangs- berechtigung | 大学入学資格 ドイツのAbitur、またはこれと同等と認められる外国の資格。日本の教育制度に当てはめると、高校の卒業証明+大学入学許可通知書がドイツの大学入学資格のために最低限必要となる。詳細はこちら。 |
HRK Hochschulrektorenkonferenz | ドイツ大学学長会議 連邦の文部省はドイツ全体の大学を管轄しているわけではないので、この機関はドイツ全体の大学を(ゆるやかに)まとめ、高等教育機関の政策や世論を代弁する機関であり、高等教育機関の意見形成のための議論の場でもある。 |
I |
Immatrikulation | 学籍登録 Zulassung(入学許可)をもらった者がドイツ語試験など所定の条件を満たしたうえで、大学の正規の学生となるために行う手続き。所定の期間内に行わなければならない。これにより学生証が交付され、学生としての権利が与えられ、義務を負うことになる。 |
K |
Klausur | 筆記試験 |
Kolloquium | コロキウム 「ともに語り合う場」という語源のKolloqiumは、大学においては主に卒業試験期間に行われる公開討論会の意味で用いられる。いわゆる「卒業のための単位(Schein)」には算入されない。 |
Kommilitone/in | 学友 大学の友人のことをこう呼ぶが、最近は使われなくなってきている。 |
L |
Lehrveranstaltung | 授業 様々な形態の授業(講義科目、ゼミナール、ユーブング等)の総称。 |
Leistungsnachweis | 成績証明書 授業において所定の課題(レポート、発表、筆記試験等)をこなしてもらえる教科修得証明書。一般的にScheinと呼ばれることが多い。 |
M |
Magister(M.A.)/ Magistra Artium |
人文科学系と社会科学系の一部の学科で最初に取得する学位の名称。Magister取得試験に合格して取得できる。試験は主専攻1つ+副専攻2つ、或いは主専攻2つについて行われる。学位取得までには4年半~6年、あるいはそれ以上かかる場合も多い。
なお、Magister課程は、Diplom、Staatsexamen等のドイツの大学の他の伝統的な学位も含め、大学改革により2010年までに全てヨーロッパ統一規格のBachelor/Masterコースに置き換わり、現在は一部の例外を除いて廃止されている。 |
Master | 修士/修士課程 Bachelor(学士課程)とPromotion(博士課程)の中間に置かれている学位/学位取得課程。取得までの最低年数は大学や学部によって異なるが1年~2年。Bachelorを取得していることがこの課程を受ける前提条件となる。Masterの学位は従来のドイツの大学で与えられていたDiplomやMagisterといった学位に相当する。また、米国や日本の大学院の博士前期課程(修士)に相当する。 人文科学系のMaster of Arts(M.A.)と自然・社会科学系のMaster of Science(M.Sc.)に分かれる。 |
Modul/Module | モジュール 従来の基礎課程(Grundstudium)と専門課程(Hauptstudium)の組み合わせに代わり、Bachelor(学士課程)/Master(修士課程)への移行に伴ない導入された、それぞれの専攻課程のカリキュラムを構成する基本単位で、1モジュールはある特定のテーマを扱った専門分野の講義・ゼミナール・ユーブング等の一連の科目によって構成されている。 互いに関連し合ういくつかの分野(モジュール)から構成された課程をモジュール化された専攻課程(modualisierter Studiengang)と呼び、これらに要する単位(ECTS)を全て取得することでその課程を修了し、学位を取得することができる。 |
N |
Note | 成績/評価 ゼミナール等、Schein(修得証明書)が発行される授業ではその修得結果に応じて1~5までの成績(Note)が与えられる。評価基準はそれぞれ "1"(sehr gut)、"2"(gut)、"3"(befriedigend)、 "4"(ausreichend)、"5"(nicht ausreichend)で、 "4"までが合格点。しばしば、それぞれの評点に+や-記号が付記されることもある。 大学改革によるECTSの導入に伴ない、これに加えてECTS-Noteが付与される場合がある。詳細はECTS-Noteを参照。 |
Numerus Clausus(N.C.) | 入学定員制限 ドイツの教育制度ではAbitur取得者は原則として誰でも好きな大学の志望学科に入れるが、定員オーバーとなった場合はAbiturの成績等で事実上の選考が行われる。詳細はこちら。 |
(Die) NC-Grenze | 入学定員制限学科受け入れ最低ライン 当該学期のNC-Fachへの志願者のうち、受け入れを許可された志願者の成績の下限。 例えば15名の外国人受け入れ枠のある医学部に50名が志願し、上位15名の志願者の成績が1,2~1,6だったとすると、1,6がNC-Grenzeということになる。 過去のNC-Grenzeを参照することで、どのぐらいの成績があれば次学期に受け入れ可能となるかの目安となる。 |
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