トムっち。
あれから、もう8年なんだね。
この間、新聞でトムっちを見つけたよ。
あまりにもそっくりで、胸が騒いでしまった。
見れば見るほど、トムっちに思えて仕方がないの。
いや、きっとトムっちだよね?
トムっち。
こんなところにいたんだ。
生まれ変わるときは おかあさんのところに来てね・・・と、あれほど頼んだのに。
あぁ、でも・・・
トムっちの気持ちはよくわかるよ。
おかあさんのところに帰ってきたら、もう自由にお外へ行き来できないもんね。
雨の日も、雪の日も、嵐の日でさえお外に飛び出していったトムっち。
家の中だけで過ごすのは耐えられないんだよね?
庭に出られたとしても、自由ではない。そう思っているんでしょ?
トムっち。
おかあさんが虹の橋に迎えに行くまで待てなかったんだね。
こなつが来たので、おかあさんはもっともっと長生きしないといけなくなったから。
あぁ、でも・・・
トムっちは、きっとそうなると知っていたんだね?
だから、おかあさんが寂しくないように、色違いだけど模様がそっくりのチャオを届けてくれた。
トムっち。
お鼻周りの模様はチャオに譲ったから、もう付けてないんだね。
でも、その模様がなくてもトムっちだとわかるよ。
家でも こんなふうに塀の上でよくお昼寝してたよね。
そう。そんなふうに片手を伸ばして。
偶然なんかじゃない。
おかあさんはそう思ってる。
もうすぐトムっちの日だとわかってて知らせてくれたんだね。
「おかあさん、オレはのんびり暮らしているよ~」って。
トムっち。
ありがとう。