【必読】
フェンスとバリケード 福島と沖縄 抵抗するジャーナリズムの現場から
新聞記者お二人による臨場感溢れる取材現場等の記録です。
付箋をたくさん付けて読みました。
普段から定期購読している全国紙と他全国紙数社と地方紙数社、沖縄の2紙は無料購読できる範囲ではありますが、メールでのサービスとSNS(Meta, Twitter, LINE)でフォローしているので、著書に書かれている事柄はある程度、記憶していました。
しかしながら、その記事ができあがる以前の取材現場や行動の一部始終を著書で再度追うことができ、自分自身もその場にいるような気持ちで読むことができました。
著書に書かれている元首相の会見の裏舞台等、TVニュースや新聞記事で読んだ記憶のある事柄の取材現場がありありと浮かんできます。
著者の三浦さんと阿部さんは1974年生まれとのこと。私が高校を卒業し都内で進学した年に生まれた方々です。その頃、知り合った友人たちに特に沖縄戦のことや父が対馬丸事件の遺族ということは話したことが無かったと思います。友人たちも私が沖縄出身と言うことを特に意識していなかったように思います。
数年前、沖縄慰霊の日に元首相が台本をそのまま読んでいるだけの生スピーチを聴き、その後、TVニュースで流れたスピーチとのギャップに違和感を持った経験があるので、他にもそう言うことはあるだろうと、TVで流れる報道がいかに作られたものであるのかを実感しています。
元首相の「アンダーコントロール」や前首相の『核兵器のない世界』の読み飛ばし等々は、少し注意をしてニュースを聞いていれば、「え~?」と一般的に気が付くことだとは思います。その言い切ってしまうところや釈明には疑問を持つ人は多かったのではないかと思いますが。記者の方々でも反応が違うと言う事、それに違和感を持つと徹底的に調べて記事にする記者の方々はプロだな~と、当たり前ながら感じます。
(p.193)
翁長前県知事や安倍元首相のスピーチをリアルに聴いたことがある者の感想としては、その言葉の重みや受ける印象は雲泥の差があります。
翁長前沖縄県知事の沖縄県市長会の会長として述べた重みのある言葉は、元首相、前首相、現首相は到底、真似ても同じように話すことはできないでしょうね。
下記の相馬市長の演説、「マスコミの皆さんに申し上げます。(略)放射能によって病気になった福島県民はおきません!」(p.218)
もビックリ仰天です。どうしてそういう風に言い切ることができるのでしょう??
(p.218)
私は2013年8月に、映画「ひろしま」の上映会で井戸川元双葉町町長のスピーチを生で聴いたことがあります。井戸川氏のお話は真実味があり震災当時の悲惨さや混乱が伝わってきました。当時の井戸川氏の言動についても詳細に記されています。
時間に余裕のある年末年始、ぜひご一読ください。