11月30日(水)
ついに11月も終わり。
仕事に追われていると、時のたつのが早い。今日は、真冬のロンドンがから二人応援が駆けつけ、日本から一人帰ってきた。また、土曜日にメンバーが一人増えるので、通勤のマイクロバスが満杯だ。
ひさし振りに帰ってきたIさんは、懐に依頼した大金を預かってきており、これで、アパート契約でお金を立て替えて、すっからかんになった財布が元に戻った。プロジェクト仲間のA社のメンバーが、「Iさんはいつ帰って来るんだ。」としょっちゅう聞きに来る。Aさんのコメントがないと、書類を返却するのが心配だとのこと。「いいかげん、人に頼らず、自分で考えろ。」といいたいところだが、遠まわしに「この設備は、お前が責任者なんだから、回答を要求せず、自分で案を考えろ。そしたら良し悪しをチェックしてやる。」とえらそうに指導する。
現在仕事をしている相手のT社は、ここアルゼンチンでは大手の会社で、働いている連中はエリートなんだろう。実質失業率15%程度のアルゼンチンで、一等地のビジネス街に本社を置いている。そのため、やたらにプライドが高い。提出図面にコメントをしても、すぐには修正しない。なぜ修正しないのか正すと、PM(プロジェクトマネジャー)の正式レターがないものは、認めないと、平気で答える。
この連中、馬鹿じゃないの?と心で思っても、ぐっとこらえて、「それなら、書類にコメントする意味がないじゃないの。」我々はオーナーで、彼らは、我々の注文でエンジニアリングをしているという感覚がないのだろうか。
一例は、ポンプ設備の配管設計で、あまりの過大な設計のため、質素・倹約が染み付いた感覚で、設備の縮小化をコメントすると、ハイドロリック・インスティチュートの基準であり、変更できないと言う。「それなら、その基準の基になっている、理論的な背景を説明しろ。」と言うと、「これは、経験から来ているので、理論はない。」ととぼけたことをいう。たまには、自分の頭を使って仕事をしろよ。といいたくなる。
最初は、従業員がわが社の7倍もある、大会社と思っていたが、今では、たんなる工事屋あがりの会社で、エンジニアリング会社じゃないと感じている。
最近、問題があり、ロンドンからKさんが応援に来たが、会議の席で、うまいことを言った。
「私は、ここに来る前は、日本のH社におり、ポンプも製造していましたが、大体、メーカーは、お客様には、2倍程度安全を見た数値を推奨します。」
「エンジニアリング会社が仕事を請け負うと、その値を変更して、万が一トラブルがあると責任問題になるので、そのままの数値をお客様に伝えます。」
「しかし、その数値では客先で設備を設置するときに不都合が起きる場合、優秀なエンジニアリング会社は、限界値を予測できるので、メーカーの言う安全を見た数値と、限界値の間の適当な値を選定して、客先と相談して結論を出します。これがエンジニアリング力です。」
「メーカーの言う数値を鵜呑みにして、お客にそのまま流すのはエンジニアとはいえません。」
その場では、返答のなかったT社のメンバーだが、今日の会議では、またもとの状態に戻って、一時間程度の水掛け論で時間を無駄にした。やはり、彼らにはエンジニアリング能力はなさそうだ。先が思いやられる。
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