アルゼンチンから砂漠の国へ

2005年~2009年のオリジナル記事に、シンガポール時代の記事と、2009年以降のアメブロの旅行記を転記しました。

人種差別の帝国

2005年02月11日 | 読書
人種差別の帝国 著者:矢部武 光文社ペイパーバック 952円

米国留学以降、米国の現状を追って30年のジャーナリストが、その実体験と具体的な事例で、「白人至上主義」のアメリカの現実を解説する。本のタイトルほど、センセーショナルな表現はなく、マイケル・ムーアのような過激な表現もない。しかし、その事実に基づく具体的な解説は、アメリカの病根をえぐり出している。

白人の特権の上にあぐらをかき、外国の文化や習慣に無知・無関心で、1964年の公民権法施行で公には差別が撤廃されたにもかかわらず、白人の心の奥に潜む差別の感情は、裏に隠れて、ますます陰湿なものになっている。

その中に、少数ではあるが、公民権運動や、多文化主義の推進活動に関わっている、世界中から集まった人種、民族が平等に共存する世界を夢みる人たちがいる。著者は、米国がWASP系の白人文化中心主義から決別して、真の民主主義国となるのを期待しているように思える。
単なる批判だけではないところに、好感が持てるが、いまのアメリカじゃ無理だろう。

こんなアメリカに、アメリカン・ドリームの幻想を抱き、おまけに好感をもっている人が70%を超えるという日本人は、なんとお人好しだろうか。




最新の画像もっと見る

コメントを投稿