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今日の深夜(正しくは明日の未明)1:47~3:50、日本テレビ【月曜映画】で放映されます。
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実は私もごく最近になってDVDを観ました。
ストーリーは【月曜映画】やアマゾンの解説通り。
フィンランドの首都ヘルシンキでレストラン<かもめ食堂>を始めた日本人女性サチエ(小林聡美)。店と彼女を巡る人々を淡々と描いた作品ですが、その醸し出す空気が何とも心地良かったです。
開店当初は、好奇心満々で遠巻きにする人たちはいても、店を訪れるのは日本オタク青年トンミくらいしかいないサチエの店。それでも腐ることなく、背筋を伸ばして、きちんと店を守り、日々の生活を送る彼女の姿は、とても「綺麗」で清々しいです。
やがて、ひょんなことで知り合った日本人女性ミドリ(片桐はいり)が、居候兼店の手伝いを始めたり、「コーヒーの美味しい入れ方を教えてやる」を言う男が現れて、またふらっと去って行ったり。
その他、連日暗い表情で店の前に佇む女性や、空港で荷物が届かなかった日本人女性マサコ(もたいまさこ)など、いわくありげな人物が次々と登場するものの、事件らしい事件も起こらず、彼女たちの日々が静かにゆったり描かれるだけですが、では退屈かと言うと、全くそんなことはありません。
いわゆる「ドラマチック」な展開はなく、ただ映画の空気や流れに身を委ねていたいような気持ちになるのは、演出の巧さなのか、エピソードの配分の妙なのか、出演者の演技によるものなのでしょうか。
出て来る料理も、レストランのメニューだけでなく、サチエとミドリが家でする食事に到るまで、丁寧に作られていることがちゃんと伝わって美味しそうだし、ヘルシンキの街や海、また森も、「観光案内」にはならず、さりげなく美しく描かれています。
そして思うことは、「のんびり生きよう」ではなくて、やっぱり「きちんとした暮らし」をしなくちゃな、ということだったりします。「ゆったり」と豊かに、自由に生きることと、単なるグータラとは違うんだよね、と反省。
出演者では、小林聡美は勿論、「初老の不思議ちゃん」風だけど、苦労の連続の半生を送って来たことが察せられる(でもその表現はさりげない)マサコ役もたいまさこも良かったですが、片桐はいりのミドリが、何かいいなぁと思いました。
ともすれば容貌の「特異さ」にばかり言及される女優さんですが、その元気さや、どこかに感じられる傷や迷い共に、「今どきの普通の女の子」がリアルに表現されて可愛かったです。
そういう訳で、映像にも演技にも、あざとさや押しつけがましさがなく、小品ながらほぼ完璧と言っていい映画だと思います。
同じ監督、主演女優による新作『めがね』も楽しみ。
「かもめ食堂」公式サイト
「めがね」公式サイト