魔障ヶ岳ー妖怪ハンター講談社このアイテムの詳細を見る |
「妖怪ハンター」もしくは「稗田礼二郎のフィールドノート」シリーズ久々の新作新刊!売れ行き好調らしく、あちこちの本屋さんを探し歩いてしまいました。
『メフィスト』増刊号に掲載の連作に加筆修正して、一冊にまとめたものです。
稗田シリーズの短編は、このところ、ただでさえあまり達者とは言えない絵が(我ながら気を遣った表現だ…)ますます困ったことになっていたし、お話的にも今一つのものが多かっただけに、今回は久しぶりに読み応えあって嬉しかったです。
こういう話で嬉しいって言うのも何ですが、絵も近年としては、まあ…安定していますし、ストーリイの完成度も高いと思いました。
伝奇的世界を扱いつつ、基本的なアイデアにSFマインドを感じさせる諸星ワールドは健在です。このシリーズには珍しい、へたれた(?)終わり方は「時代」を反映しているのでしょうか。
ややネタバレですが、見るからに胡散くさいインチキ教祖みたいだった岩田狂天が、案外マトモな人で、稗田先生同様「モノ」に憑かれないあたりも面白いなあと思いました。
一方、「生命の木」をベースとした映画『奇談』が公開されるなど(この映画は結局観ていませんが)、昨年末くらいから諸星大二郎プチブームなのか、集英社からも、かつて少年ジャンプに掲載された作品をはじめとするシリーズ総まとめ的な文庫三冊が出たので、収録作品はワイド判コミックスで殆ど読んだことがあるのに、また買っちゃいました。
但し元の話の発表年代順や刊行順にはなっていません。
地の巻
天の巻
水の巻
このへんは表紙からして怖いですねえ。内容的にも、読む前にお祓いが必要かも知れませんよ。いや本当に。
個人的には、完成度が高く面白いと思ったのは「天」の諸作です。「地」に収められているお話は、どれもこれも本当にコワイ!です
怖い話は割と平気どころか、むしろ好きな自分でさえ、かつてここにはいっている諸作を大判で(よせばいいのに深夜に…)読んだ時には「うしろを見るな」状態でした
そもそも絵が怖い。描写が怖い。それだけじゃなくて、人間の根源的もしくは生理的な恐怖や嫌悪感に触れてくる何かがある…いえ「いる」のですよ。
しかし、作者のスタンスは理性的と言うか「憑かれない」人のもので、前述したようにSFマインドやアイデアが横溢しているあたりが、また絶妙です。
決して万人におすすめはしません。「良い穴」を見出すも「悪い穴」に落ちるも、はたまた「ぱらいそ」に行くも、全てはあなた次第ということで。
安心しました~
おお、お好きでしたか!(笑)
諸星氏、昔は何しろ「絵」に抵抗あって読んでいなかったのですが、読み始めるとはまりますねー。SF方面での傑作も多いですし。
それにしても、妖怪ハンターシリーズもですが、『暗黒神話』『孔子暗黒伝』を週刊連載するなんて、昔の少年ジャンプは真にすごい雑誌だったんだなあ、と思います。