花咲ける騎士道アイ・ヴィー・シーこのアイテムの詳細を見る |
世間が『エピソード3』で盛り上がる中、ひっそりと公開されているのがこの映画。
アンディ・ガルシアも嫌いじゃない。嫌いではないが、モディリアニとくればこの人!と言われたのが、往年の仏蘭西(この表記が相応しい)映画界を代表する二枚目、永遠の貴公子ジェラール・フィリップ(1922~1959)。
彼がモディリアニに扮した『モンパルナスの灯』は、アマゾンに在庫はあるものの No image なので、アフィリエイトには、これも代表作の一つ『花咲ける騎士道』(これも最近リメイクされた)を。
もちろん私とて、リアルタイムで彼を知る訳もなく、その出会いは父が所蔵していた古い映画雑誌の記事を見たことによります。
「なんて綺麗な人だろう……」
と思って一目惚れして以来、自分にとって、古今東西あらゆる「二枚目俳優」の中でヒエラルキーのトップに君臨し続けているのが彼です。
男性に対して「綺麗」という形容をすることを思いついたのは、この時が初めてでした。
よく見れば、いわゆるハンサムではないし、むしろ「ファニーフェイス」に属するんじゃないかという気もするけど、全体の雰囲気が「綺麗」としか言いようがありません。
この後の世代に属するアラン・ドロンのような、良くも悪くも「下品」な感じも、セクシャルな匂いもなく、それこそ貧窮にあえぐモディリアニだろうが、ホームレス同然の呑んだくれに扮しようが、まさに「夢の貴公子」であり続けました。
と言って大根役者でも「顔だけ」の人でもなく、元来が舞台俳優としての評価も高く、実生活は年上の奥さんひとすじの愛妻家で、政治的にはリベラルーーという訳で、実は男性ファンが多いのも特記すべき点かも知れません。
意地悪い見方をすると、上記の如く「単なる二枚目ではない」というエクスキューズあればこそ、男性も「安心」して好きだと言えたのかも知れません。時代を考えると、背景に「仏蘭西(やっぱりこの表記)文化への憧れ」があったことも見逃せないでしょう。
舞台の役では、ラシーヌの『ル・シッド』などが名高いようですが、実はカミユの『カリギュラ』も、初演はこの人でした。
手許に本がないので正確ではありませんが、新潮文庫版の解説で渡辺守章氏が「堕天使は確かに天使だった」と感じさせる俳優だと書いていたのが記憶に残っています。
亡くなったのは36歳の時ですが、つい「夭逝の美少年」という表現を用いたくなります。ご存命なら、それはそれでダンディなおじさまや、洒脱なおじいちゃんぶりを見せてくれた人だとは思いますが、しかしやはりあれは天命だった、天使は天に還ったのだという気がしています。
そして、没後45年の今も彼にはオフィシャルファンサイトが現存するのです!但し、現在活動しているか否かは不明。
でも、こちらのフォトギャラリーを覗けば、生前の美麗なお姿の一端をご覧になれますよ。
蛇足:長年ヒエラルキーのトップにいた彼の地位に(これも自分の中で)現在迫りつつあるのが、誰あろうヒュー・ジャックマン氏なんですね(笑)。
まあ、全く似てないとも言えないかも。舞台出身。小造りの少年ぽい顔立ちに長身。外見が王子様の渋い演技派。というあたり…あ、奥さんが年上の愛妻家ってとこもか(笑)。
え、デイヴィッド?彼はわたくし的にはまた別のカテゴリに属する人なんですよ。