『親と子』
あなたの子はあなたの子ではありません。
自らを保つこと、それが生命の願望。
そこから生まれた息子や娘、それがあなたの子です。
あなたを通ってやってきますが、あなたからではなく、
あなたと一緒にいますが、それでいて、あなたのものではありません。
子に愛を注ぐがよい。でも考えは別です。
子には子の考えがあるからです。
あなたの家に子の身体を住まわせるがよい。でもその魂は別です。
子の魂は明日の家に住んでいて、あなたは夢の中にでも、
そこには立ち入れないのです。
子のようになろうと努めるがよい。
でも、子をあなたのようにしようとしてはいけません。
なぜなら、命は後へは戻らず、昨日を一緒に留まってもいません。
あなたは弓です。その弓から、子は生きた矢となって放たれて行きます。
射手は無窮の道程にある的を見ながら、力強くあなたを引きしぼるのです。
かれの矢が遠くに飛んでいくために。
あの射手にひきしぼられるとは、何と有難いことではありませんか。
なぜなら、射手が、飛んで行く矢を愛しているなら、
留まっている弓をも愛しているのですから。
カリール・ジブラン 『予言者』より
私は子供二人を育ててきた。
十数年前、この言葉に出会って、自分を叱咤激励して生きてきた。
この言葉は強い味方であった。
3・11から、息子達に働きかけるも、失敗してメールの返事さえ来なくなった。
被曝の危険を正確なデータで伝え、避難しかないと勧めても聞いてくれない。
それでも諦めないで、祈りをもって立ち向かうことにする。
二度と逢えなくてもかまわない。
この言葉に支えられて、小雀を育てた古巣を片付け、困難な移住の道を踏み出す。