尾道水道は対岸の向島をはさんで、その幅わずか200m。古くから瀬戸内の島々を結ぶ船の寄港で栄え、貨物船やフェリーなどの無数の船が終日、忙しそうに行き交っています。水道の左手には、尾道大橋がスマートな姿を見せています。
千光寺山などから見下ろす尾道水道は、箱庭に似た美しさが特色です。晴れた日には、四国連山も望むことができます。
千光寺山などの山腹には、市街地を見下ろすように本瓦葺き、朱塗りの堂塔が点在し、数多くの古寺が立ち並び、尾道水道と調和して独特の情景をつくり出しています。浄土寺・西国寺・西郷寺・天寧寺・千光寺をはじめ各宗派のさまざまな建築様式の建造物は、落ち着いた町並みとあいまって、中世以来の港町のたたずまいをとどめています。その寺を連ねるのは、生活道にもなっている昔からの狭い坂道と小路です。
千光寺は、806年(大同元年)の開基。境内から尾道の絶景を見下ろすことができ、尾道屈指の大パノラマを見ることができます。朱塗りの本堂である「赤堂」や日本の音風景100選に選定された「鐘楼」は尾道のシンボル的存在になっています。
「音に名高い千光寺の鐘は 一里聞こえて二里ひびく」(俚謡)…いつの頃、誰が作ったともわからないが、みなと尾道でうたわれつづけてきた俚謡(りよう)の一つである。千光寺の時の鐘は尾道に生れ尾道に育ったものにとってはどこにいても忘れられないものといわれる。沖合遥に働いていた船人もこの鐘の音を聞いて港に急いでいたことであろう。(千光寺境内の案内資料より)…
千光寺の境内の「夫婦岩」…この岩の前で二人が愛を誓うと願いが叶うといわれています。
御朱印「千光寺」…
千光寺ロープウェイ…長江口から千光寺山山頂の間を運行(片道約3分間)。ロープウェイ車窓から望む日本遺産の景色は絶景です。春には、千光寺公園の桜がみごとに咲き誇ります。山頂駅からは、エレベーターで頂上展望台PEAKへのぼることができます。
港町、寺の町、文学の町……尾道のどの顔にも水道の風情が大きくかかわっている「心のふるさと」の趣があります。