映画は観たときの状況と関連づけられて記憶されている。『ソイレント・グリーン』は地方では『最後の猿の惑星』と併映で,ある女性と初めてのデートムービーだった。「ソイレント・グリーンの原料はな,絶対に人肉やで」と映画の途中で誇らしげに言う。「そんなん誰でもわかるがな」と私は返した。
私も中学時代までは相当なイチビリで,友だちと映画を観る前,観てる間に,平気でネタバレを話したり,茶化したり,リアクションしたりする鬱陶しい観客だった。けど,「ソイレントグリーンは人肉やで」と得意げに語る彼女をみて,悔い改めた。よほどのことがないと映画を観ている間に話さなくなった。
『クラウドアトラス』の登場人物の一人がいきなり「ソイレントグリーンは人間やで!」と喚いたときは吹き出した。隣に座った男が連れの女性にその意味を解説してる。そして,別の時代にそれに関連したエピソードが出てくると「ここでソイレントグリーンの伏線が活きるのや」と解説してる。鬱陶しい。
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ネタバレを連れの女性に話す男を横にして,「鬱陶しいな」と思いつつ,“先にパンフレット買ったり,ネットで調べたりして懸命に予習してきたやろな”と微笑ましくもなった。一昔前の私ならばキレていただろう。だが,今は相当に寛容になった。人間は変わりうる。『クラウドアトラス』はそういう物語。
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『クラウドアトラス』は絶賛か酷評しかあり得ない映画だ。映画を前頭葉で観ようとする人ほど酷評になるのではないか。私の妻がそうであるように。意味がわからないと気色悪いのだ。けど,人生にも,世界にも実は意味はない。意味がわからなくても関連しあい行動する。「見る前に跳ぶ」観客が絶賛する。
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『クラウドアトラス』は六つの時代の物語が同時並行で語られるので観客は混乱する。それぞれのシーンは俳優,台詞,小道具,音楽やシチュエーションなど不思議な連関を保ちつつ,テンポよくつながれていく。ストーリーテリングは巧い。この映画を受け入れるか否かは,編集に対する生理的感覚で決まる。
『クラウドアトラス』には六つの物語世界をつなぐキーリンクが存在している。観客に対するご褒美というところか。隣の男がバッチリのタイミングで丁寧にそれらをすべてネタバレしてくれた。どこで誰が誰を演じているかも。たぶん前日に鑑賞して「予習」したんやろな。腹が立たないのは結末のおかげか。
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『クラウドアトラス』で隣に座った鬱陶しくもありがたい男性。文句は言わないまでも「ちょっと挨拶ぐらいしておこうか」と思ったら,エンドロールが始まった瞬間に連れとともに席を立っていった。さすがの私も久々にロールを最後まで見なかった。上映時間172分の映画は老若男女の膀胱に厳しい。
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輪廻転生したとして,悔い改める人もいる。何度も何度も罪・過ちを犯す人もいる。赤い糸もあれば,すぐに切れる糸もある。人生や世界の複雑さを複雑なままにぶちまけたのが『クラウドアトラス』だ。一つの答えを無理に引き出そうとせず,複雑さを複雑なまま受け入れるのが疲れない態度だろう。
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SF小説を読み,B級も含めて映画を観てきた人間にとって,『クラウドアトラス』は「さあ解釈せよ! 解釈してみせろ!」と投げ出された好餌だ。複雑さの中に法則を見いだし,わずかな手がかりを極大に敷衍していくような姿勢。でも,この映画は「解釈遊び」をしたくないなー。それも加齢ですかね。
間違いないのは「六つの物語のディテールやエピソードをもっと味あわせてくれ」ということだ。どうせ大量にカットしたに違いないのだから。『クラウドアトラス』Blu-rayデラックス・エディションは間違いなく購入して何度も見る,ってことだ。原作小説はかったるそうだから(笑)読まない。
『クラウドアトラス』で「原作小説がかったるそう」と思うのは,映画でのシームレスなつなぎを体験しているからだ。生理的に心地よいタイムリープ感。酷評された映画だが,編集のアレクサンダー・バーナーには何らかのプライズをあげてよかったんじゃないかな。製作者と監督の狭間で苦労したはずだし。
『横道世之介』『クラウドアトラス』がそうだったように,『アンナ・カレーニナ』(3/29公開予定)もTOHOシネマズららぽーと磐田のみの公開になる。『ジャンゴ 繋がれざる者』と同様に,『ヒッチコック』も遠州地方3サイトでは公開されない。TOHOシネマズ編成担当者にブーイング!
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70年代後半の大学では,二見書房刊のカルロス・カスタネダの著作(『呪術師と私 ドン・ファンの教え』など,真崎真博訳)は読書会の必須アイテムだった。カウンターカルチャーからニューエイジ(そして新宗教)に向かう流れ。SF者はカスタネダにハマる人たちを密かに軽蔑していた。差別の連鎖?
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振り返れば,最初のデート・ムービーでネタバレを平気で口にできる図太さは,OSAKAディープサウス出身者特有のフレンドリーさとしか解釈できない。ふつうだと上映中はおとなしくしているものだろう。いちごミルクをはじめ,お菓子も次々と出てきた。「飴ちゃん食べる?」とは言わなかったけれど。
ショートプログラムの演技から判断する限り,キム・ヨナの演技はバンクーバー五輪あたりとほとんど変化していない。新機軸にも乏しい。10.00(満点)は「練熟の結果」とも言える。だとしたら,曲や振付は変わっても演技構成をほとんど変えずに「極めた選手」が勝利者になる競技なんだ,ってね?
『クラウド アトラス』を観に磐田まで / 絶賛と唾棄の二種類しかない映画。六つの時代のドラマがほとんど無関係に並行する。役者だけは共通。時代は自在にスイッチングされる。映像スクラッチのように。... my365.in/redtail2733/p/…