一寸の兎にも五分の魂~展覧会おぼえがき

美術展のおぼえがきと関連情報をすこしばかり。

フジテレビの「what's 文楽?」文楽のおもしろさと厳しさを実感!

2013-06-01 | 文楽
2013年5月30日(木) 02:25~03:25、フジテレビで文楽をとりあげた番組が放映されました。

放映が真夜中なので録画しまして、さきほど拝見しました。

「what's 文楽? 受け継がれる300年の伝統」

広告があるとはいえ、1時間枠で文楽のみとりあげるというのはテレビ、しかも民放ではなかなかめずらしいこと。

盛りだくさんの1時間です。

見られなかった方にもご参考になれば、と主な内容をご紹介します(まあ、厳密さには欠けるかもしれませんが、だいたいの内容ということで御容赦くださいませ~)。

○人形と人形遣いの技の紹介

○今年の春、表参道ギャラリー5610で開催された「渡邉肇 × 堀部公嗣『人間・人形 映写展』」の紹介
→「エアー人形」の撮影現場もあり。実際の映像作品(「曾根崎心中」の心中場面)も、かなりたっぷり放映してくれています。

○義太夫節および人形浄瑠璃の歴史について

○筋金入りの文楽ファンの紹介(「神宗」八代目社長の尾嵜彰廣さんと四日市文楽公演の主催者の人見春代さん)

○豊竹咲寿大夫さんの密着取材

「竹本義太夫300回忌追善・勧進特別公演」の紹介

○主に紹介されている文楽技芸員(いちおう登場順のつもり。漏れがあったらゴメンナサイ)
吉田蓑助さん(人形遣い)
桐竹勘十郎さん(人形遣い)
吉田蓑之さん(人形遣い)※インタビューあり
豊竹咲大夫さん(太夫) ※インタビューあり
豊竹咲寿大夫さん(太夫)※インタビューあり


咲寿大夫さんの密着取材では、楽屋ですとか、床の裏を見ることができて、とてもおもしろいです(床がぐるっとまわって太夫&三味線が交代する場面も、舞台裏から見られます)。

お弟子さんがお師匠様のお世話をする大変さとともに、有難さも伝わってくるよいドキュメンタリーになっています(編集の仕方もうまい!)。

文楽という伝統芸能のおもしろさはもちろんですが、修業を積んで芸を引き継ぐということの厳しさ、緊張感が伝わってくるという点が、非常にすばらしいと思います。

若者であっても、常に緊張感と敬意をもって芸にのぞんでいるということが、画面から伝わってきます。

文楽入門の形式はとっていますが(近松門左衛門の電話相談室コーナーなど)、実際には文楽にそれなりにはまっている人は、より楽しめるかもしれません。

また、以前このブログでも取り上げたパンフレット「近松が描いた上方」シリーズは、「神宗」八代目社長の尾嵜彰廣さんが「自腹で」作られたもの、と紹介されていました。

単に文楽を好きというだけでなく、積極的に応援する具体的な方法として、こうした優れた解説パンフの作成・配布を実践なさっているのですね。

感服いたします。

最後に紹介されている「勧進公演」の紹介では、お稽古から撮影が入っていて(ここでちょっとだけ三味線がクローズアップ)、実際の舞台を拝見した者としては、おもしろさもひとしお。

しかし! しかしですね。「文楽といえば三味線」派のわたくしとしては、三味線の取り上げ方があまりに少ないのがかなり残念。

えー、もう終わっちゃうの!? といいたい。

もう少し取り上げてもいいのでは……。

まあここは欲張らず、またいずれ、文楽の三味線がクローズアップされた番組が作られることを期待しつつ。

今回はこういう番組をフジテレビが放映してくれたことに感謝したいと思います。

最後に印象に残った言葉。

「一にも二にも好きにならないと。この世界は。うち(文楽)の世界は24時間と違うて25時間この世界に浸かっていないとしようがない」(豊竹咲大夫)




ということで、ぜひ「文楽」体験しちゃいましょう。

6月の文楽公演は、国立文楽劇場(大阪)での「文楽鑑賞教室」



2013年6月7日(金)から06月20日(木)まで。10日(月)と19日(水)は「社会人のための」と銘打ち18時30分から。

演目
「日高川入相花王(ひだかがわいりあいざくら)より 渡し場の段」(←有名な安珍・清姫の物語より清姫が大蛇になっちゃう場面です)
「解説 文楽へようこそ」(←技芸員がでてきていろいろ解説してくれます)
「絵本太功記(えほんたいこうき)より尼ヶ崎の段」(←三味線が超かっこいい曲)。

まだ、席はあるようです。お早めに~。

ちなみに16日(日)は、大阪市主催の「文楽デー」だそうです。

この日は特別に、「三業体験コーナー」(太夫、三味線、人形をそれぞれ体験できるコーナー)もあるようです。

それから6月22日(土)、23日(日)は「文楽若手会」も開催されます。



若手(20~40代)の技芸員が「大役に挑み、その経験が今後の技芸向上につながることを目指して」開催されます。

演目は、
「二人禿」「絵本太功記より 夕顔棚の段、尼ヶ崎の段」「新版歌祭文より 野崎村の段」

いずれも名作ばかり。若手の奮闘が期待されます。

東京は、9月の文楽公演「伊賀越道中双六」までしばしお待ちを!



あ、その前に8月はPARCO劇場で三谷文楽「其礼成心中」(8月8日~18日) が再演されます。昨年話題になり、チケットがとりづらかった公演。くれぐれもお見逃しなく!


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