日本史大戦略 ~日本各地の古代・中世史探訪~

列島各地の遺跡に突如出現する「現地講師」稲用章のブログです。

佐味田宝塚古墳|奈良県北葛城郡河合町 ~他に例のない家屋文鏡が出土したことで有名な前方後円墳~

2021-06-08 13:47:29 | 歴史探訪
 

3.探訪レポート                         


2020年9月5日(土)



この日の探訪箇所
狐井稲荷山古墳 → 狐井城山古墳 → 領家山古墳群 → 築山古墳 → かん山古墳 → 新山古墳 → 安部山1号墳 → 牧野古墳 → 佐味田宝塚古墳 → 三吉2号墳 → 巣山古墳 → 狐塚古墳 → 倉塚古墳 → 一本松古墳 → ナガレ山古墳 → 乙女山古墳 → 池上古墳

 ⇒前回の記事はこちら

 牧野古墳に続いて佐味田宝塚古墳を目指しますが、佐味田宝塚古墳の位置は分かっているものの、古墳に到達するための道が良く分かりません。

 今いる住宅街の外側に古墳はあるのですが、この住宅街から古墳へ向かう道が無さそうなのです。

 ひとまず、牧野古墳のすぐ東側にある公園にやってきました。

 これも古墳っぽいですが分かりません。



 先ほどの牧野古墳は「うまさん公園」でしたが、こちらの公園は「ねずみさん公園」。



 公園の西側にはさきほどの牧野古墳の森が見えます。



 公園内の丘は古墳に見えるんだけどなあ・・・





 佐味田宝塚古墳は公園の北東方向にあるということは分かっているのですが、そっちへ行く道がありません。

 公園の隣のこの森の中には径30mの円墳の貝吹山2号墳があると思うのですが、これも良く分かりません。





 仕方がないので遠回りになりますが、住宅街を歩いて向こう側へ行ける道を探してみます。

 あ、南の方には新木山古墳の森が見えますよ。



 このあと行ってみる予定ではありますが、だんだん疲れてきたので今日は無理かもしれません。





 ※帰宅後に気づきましたが、新木山古墳の右側(西側)には、葺石で復元された三吉石塚古墳も写っていました。

 住宅街の中をウロウロしますが、全然近接できない。

 かなり無駄に歩いて疲労だけが増加して行きます。

 半ば諦めかけたところ、住宅街の端っこで向こう側の道とわずかながら繋がっている個所を発見しました。

 車は通れませんが、徒歩なら行ける。

 ありがたい。



 古墳からはかなり離れてしまいましたが、この道を進んでいけば佐味田宝塚古墳に到達するはず。

 さきほどの住宅街とは打って変わって、谷沿いの景色の良い場所を歩いて行きます。

 でも、いくら景色は良くても全然古墳は現れません。

 通常、古墳は標高の高い場所にあるのに、道は徐々に下り坂になって行きました。

 本当に古墳はあるのかな?

 不安になってきました。

 人も歩いていないし、車も全然通らない。

 でもこの道でいいはずなので歩き続けます。

 相変わらず緩い下り坂が続きます。

 あ、カーブの向こうに説明板らしきものが見える!

 あったー!



 佐味田宝塚古墳発見!



 見つかってよかった・・・

 説明板を読んでみましょう。



 佐味田宝塚古墳は、ここに書いてある通り墳丘長111.5mの前方後円墳で、馬見古墳群の前方後円墳の中では最古級です。

 銅鏡が36面も見つかっており、その中でも目玉は、倭鏡と考えられている家屋文鏡で、4棟の違う種類の建物が描かれており、こういう文様の鏡は他にはないですし、古墳時代の建物を知る上でも非常に重要な資料になっています。



 ご覧の通り4種類の建物が描かれており、まるで後世の私たちのためにわざわざ造ってくれた資料のように思えて感動です。

 現物は宮内庁が管理しており私は見たことが無いのですが、超貴重な鏡なので、その出土した場所をこの目で見たいと思い、今日はここまでやってきたわけです。

 なお、上野の東京国立博物館の平成館には、佐味田宝塚古墳から出土した他の遺物が展示してあります(以下3枚の写真は平成館にて撮影)。

 ●変形方格規矩獣文鏡



 ●斜縁二神二獣鏡(中国製です)



 ●巴形銅器



 これら3点はすべて国指定の重要文化財ですよ。

 墳丘はご覧の通り。



 でも現況は藪化しており、墳丘に足を踏み入れることはできません。



 前方部底辺側から見ます。



 見つかった安堵感から、座る場所も無い道端に座り込み少し休憩します。



 お茶が少し残っていて良かった。

 さて、時刻はもう14時ですが、ようやくこれからある意味で馬見古墳群のメインともいえる馬見丘陵公園へ向かいます。

 でも今歩いてきた道を引き返さないといけない。

 さすがにこれだけ歩いていると車が欲しくなりますね。

 さあ、頑張ってもう一歩きしますよ。

 ⇒この続きはこちら


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