日本史大戦略 ~日本各地の古代・中世史探訪~

列島各地の遺跡に突如出現する「現地講師」稲用章のブログです。

小平沢古墳|山梨県甲府市 ~山梨県内で唯一の前方後方墳~ 【近場のため油断していた甲斐歴史探訪 ⑮<最終回>】

2020-05-17 22:23:09 | 歴史探訪
 ⇒前回の記事はこちら

 人っ子一人いない上の平遺跡で、雨に降られながら方形周溝墓の復元を見て歓喜したあとは、小平沢(こびらさわ)古墳へ向かいます。

 小平沢古墳は、平野部以外の前方後方墳にお決まりのパターンで山のてっぺんにあるようです。

 山の上まで車で行けるか分からないので、雨は降っているものの時間はありますから、麓の適当な場所に車を止めて歩いて山を登ってみます。

 なんだ、意外と普通の舗装道路じゃん。

 小平沢古墳については詳しい情報は知らないんですよね。

 まあ、適当に歩いていけば見つかるでしょう。

 あ、おそらくあのあたりじゃない?



 標高が少しずつ上がってきました。

 甲斐銚子塚古墳の後円部が見えますよ。



 甲斐銚子塚は墳丘長169mを誇る県内で最も大きな古墳で、4世紀半ばに築造された前方後円墳です。



 私が大好きな古墳の一つで、花の季節や紅葉の季節など、いつ行っても美しい姿が見られる古墳ですよ。

 ⇒たまに私もクラツーで案内していますので気になった方はこちらのページで確認してみてください。

 あー、なんか墳丘っぽいのが見えてきた。



 着きましたよー。



 ここまでだったら雷電號でも来れましたが、まあいっか。

 説明板はおろか標柱もありませんね。

 でもどう見てもこれは古墳でしょう。



 墳丘に登ります。



 残念、麓方向の眺望はゼロです。



 小平沢古墳はさきほどチラッと見えた甲斐銚子塚古墳より前の時代の首長墓です。

 墳丘長は45m。

 曽根丘陵では、弥生時代の終わりころには先ほど見た上の平遺跡の方形周溝墓群が造られはじめ、古墳時代に入ると、権力の象徴としてこの小平沢古墳が築造されました。

 県立考古博物館の学芸員の方もおっしゃっていましたが、この地は東海地方と古道(中道往還)が通じており、東海勢力が入部しやすい場所だったようです。

 では、車へ戻りましょう。

 甲斐の初代首長、さようなら。



 本当はあの森にも潜入したかったんですよね。



 あの森の中には大丸山古墳という前方後円墳があります。

 坂を下りながら、甲斐銚子塚を眺めます。



 大型円墳の丸山塚古墳もチラリ。



 さて、時刻は14時半。

 いつもならもう少し探訪しますが、雨が止む気配はまったくありませんし、朝7時からたくさん見られたので今日はこれでいいでしょう。

 あー、しかし雷電號で甲斐に来るのも今日が最後か・・・

 でもその最後の日に念願の上の平遺跡や竜塚古墳、そして前方後方墳マニアとしては絶対に見ておくべき小平沢古墳などが見られて良かったです。

 今日訪れた遺跡を列挙してみます。

 ① 甲斐国分尼寺跡
 ② 中部地方で唯一の八角墳・経塚古墳
 ③ 甲斐国分僧寺跡
 ④ 本当は前期の前方後円墳か・亀甲塚古墳
 ⑤ 考古学的には実証されていない甲斐国衙跡
 ⑥ 東日本三大石室と言っちゃっていいですか・姥塚古墳と南照院および國立神社
 ⑦ 穴山氏や南部氏が居城し鳥居元忠も守った小山城跡
 ⑧ 甲斐国熊野四所の第一霊場・八代の熊野神社
 ⑨ 超謎ティックな形状の狐塚古墳
 ⑩ 元々は帆立貝形古墳だった八幡塚古墳
 ⑪ そっか、横穴式石室が開口していたのか・・・地蔵塚古墳
 ⑫ 方墳としては珍しい中期の築造でしかも大型の竜塚古墳
 ⑬ アイドル「いっちゃん」の出身地・一の沢遺跡
 ⑭ 全国のホーケーシューコーバー垂涎の遺跡・上の平遺跡
 ⑮ 県内唯一の前方後方墳・小平沢古墳

 しかし当初想像していた以上に今日の探訪は楽しかった!

 では、高尾へ帰りましょう。

 (了)

 ⇒この探訪を最初から見たい方はこちら


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