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産経新聞の加藤達也前ソウル支局長の無罪判決を報じる18日付の韓国各紙。多くが起訴した検察や朴政権の言論の自由に対する姿勢を批判した(共同)
韓国の朴槿恵(パク・クネ)大統領(63)の名誉をコラムで傷つけたとして在宅起訴された産経新聞の加藤達也前ソウル支局長(49)に、ソウル中央地裁が17日に下した無罪判決を受け、韓国紙は18日、検察当局の「無理な起訴」を批判する社説を一斉に掲げた。歴史問題などで韓国に批判的な産経が絡む裁判とあって一部左派系紙を除き、腰が引けた報道しかしてこなかったことと比べると隔世の感がある。だが、判決後もただ1紙、産経や安倍晋三政権非難に終始した最大手紙もあった。
「無理な起訴」と糾弾
「加藤前支局長の起訴は名分も実利もなく、外交的な恥だけをさらした事件となった」
京郷新聞は、在宅起訴に踏み切った検察当局をこう批判した。政府当局が朴槿恵政権を非難する報道やインターネット上の書き込みに提訴や告発を相次がせている現状に、「公権力を動員し、表現の自由を抑圧する時代錯誤的やり方を即刻、中断すべきだ」と主張した。
ハンギョレは「裁判所が検察の“大統領の顔色うかがい”に伴う無理な起訴に鉄槌(てっつい)を加えた」と評した。「言論の自由への弾圧という批判を招き、韓日関係にも悪影響を及ぼした」検察の責任に加えて「処罰を望まない」と意思表明しなかった朴大統領にも「相当の責任がある」とその姿勢を問いただした。「政府はこれを機に名誉毀損(きそん)の刑事罰制度の廃止を検討することを望む」と法律改正にも踏み込んで提起した。