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人間を創れない ~人材流出を止められない企業

2012-05-25 04:04:11 | 思考の散歩
 これを『正しい』と思って書かれた事に、大変な現実との齟齬を感じる記事がありました。


「もう督促なんて嫌だー!!」 入社ひと月半で退職する女子社員出現


 全文貼ります。(色付き部分引用文)

今年もコールセンターに、新卒で入社した数人の新入社員が配属されました。けれど残念ながら、毎年ゴールデンウィークを過ぎてこのくらいの季節になると、

「こんな仕事するなんて聞いてない!」
「もう耐えられません!」

と言ってコールセンターを去っていってしまう新人さんが出てきます。

今年もつい先日、一人の女子社員が「もう督促なんて嫌だー!!」と突然退職してしまいました。


なんで配属先でこんなにも仕事が違うのか

実は私も、クレジットカード会社に就職が決まった時は、まさかいきなり督促の部署に配属されるなんて想像もしておらず、「支店に配属されてカードの営業でもするのかな~」なんて、のほほんと考えていました。

新卒向けの説明会に来ていたのは、華やかにスーツを着こなしてバリバリと営業をしている支店や本社の先輩ばかり。就活中の学生向けのパンフレットには「債権回収」の文字なんてまったく出てきません。

ところがいざ入社してみると、配属されたのは支払いを延滞しているお客さまに一日中電話で「ご入金をお願します」と案内をするコールセンター。仕事内容は、言ってしまえば借金の取り立てです。

「だ、だまされたー!」

入社前とはあまりに違う仕事の印象に、コールセンターに配属された同期全員が心の中でこう叫んでしまいました。その上、コールセンターは業務内容もエグイですが、就業環境もキツいことでも社内で有名でした。

新入社員の配属とは恐ろしいものです。会社の采配ひとつで、ある新入社員は朝7時に出社して午後9時まで、土日も祝日も関係なくお客様に督促電話をかける仕事に就きます。クレーム対応や事務作業が夜中まで続くことも珍しくありません。

ところが、別の新入社員は朝9時に出社して18時ぴったりに仕事が終わり、土日祝日はお休みで、一日中机に向かって事務をするような仕事に就いたりもします。新入社員からしてみれば、「なんて自分だけ!?」「やってらんねーよ!」って思うのも無理ないですよね。


騙されて才能を開花させるのもアリ?

ある消費者金融では、入社してすぐに新入社員を研修所に送って泊まり込みで合宿を行い、3週間かけて徹底して貸金業の心構えを叩き込むそうです。

その徹底した教育はお金を貸すことや督促をすることへの抵抗を消して、研修を終えた新入社員は督促でも貸付でもどんな部署に配属されても全く辞めないのだそうです。ただ合宿中に耐えかねて脱落する新入社員はいるらしいのですが……。

一方、私の会社のように、あんまり研修らしい研修を行わずいきなり現場に入れてしまう会社もあります。ここでは見よう見まねで仕事を覚えなければならないので苦労はしますが、自分で苦しんで解決方法を模索するので、思ってもみない成長をすることができます。

私は会社に入るまで人と話すことが苦手で、初対面の人と全くうまく話せないようなコミュニケーション能力が最低レベルの人間だったのですが、一日中、人としゃべり続けるコールセンターでの荒療治のおかげで、今ではなんとか人並みに話をすることができるようになりました。この点だけは、コールセンターに死ぬほど感謝しています。

最初に選別して残った、ある程度タフな社員を残すほうがいいのか、次第に振い落としながら鍛えていくほうがいいのかは、判断に迷うところです。でも一つだけ言いたいのは、配属された部署に行って「騙された!」と思うこともあるかもしれないけど、騙されてみるのもある意味いいんじゃないかなぁということです。

毎年新人さんの中には、「この子、督促大丈夫かな?」と思うようなコもいるのですが、続けるうちにものすごい才能を開花させてしまうコもいます。思わぬ部署に配属されるのも、意外な化学反応が起こるかもしれませんよ? だからほんとに、突然辞めないで新人さん……(涙)。




 ここまでです。突っ込みたい場所はたくさんあります。


 まず全体的に感じますのは、所謂「最近の若い者は~」云々と言う意識です。本当に、それは状況を遺漏無く把握出来ているのでしょうか。

 随分前にこのブログで話題に出しましたが、「最近の若い者は~」という論理は大昔からあります。こちらの方が上の世代からも言われたでしょうし、数千年前に建てられたピラミッド内部に書かれた古代文字も、解析が進むと「最近の若い者は~」という部分が明らかになりました。

 どうしてそうなのか、という考察をすっ飛ばして検証を怠り「自分がこう思った」のみを押し通すと帰結する先が「最近の若い者は~」になるようです。これは、ある程度成功を収められた方が経験則に依存する(成功した自分を否定されたくないので、自分が通った道から脇道へ逸れるのが怖くて同じ道しか通れない)傾向を持つことから、ある程度止むを得ないとは思います。ここから一歩違う道を模索出来る方は正直、極一部です。

 また、現代の世代間に於ける意識の違いは文部科学省の方針転換により、現在年配であられる方々が考えるよりも劇的な開きがあります。

 すなわち、『ゆとり教育』による競争意識の欠乏です。切磋琢磨に於いて成長と躍進を促された世代と違い、『みんな平等』『知る権利』『組織よりも個人が大切』『競争は良くない事』といった思想を植え付けられています。


 そこで、


『みんな平等』『知る権利』

 就業時間の明らかな差は、新入社員にとって上の世代よりも悲劇的に、理不尽な物に映っているはずです。しかも、おそらく情報をあらかじめ開示すると心証を害するとの計算からと思われますが、入社してからいきなり『知らない仕事』『説明を受けていないストレス仕事』を与えられ、上司が想像する以上に『会社に対する信用』を著しく損ねてしまい、勤務モチベーションを削いでしまっています。『ブラック企業扱い』されてしまうわけです。手当に反映されていればまだマシかもしれませんが、所謂『サビ残(サービス残業)』では『ブラック企業』扱いが免れないばかりでなく、同世代のご友人に相談しては「やめちゃいなよ、危ないよそこ」と背中を押されるのは想像に難くありません。


『組織よりも個人が大切』

 ここで割り切って伸びていく人材も確かにみえると思います。記事主さんの様にプラスに生かせる方も現れるでしょう。
 しかしドライに割り切ったことでしか就業出来ない人材は、いざと言う時に会社に対して献身的な働きは見込みにくいのではないでしょうか。

 昔、某大手証券会社の解体に際して一部社員は何年間も無給・無償で処理に当たられました(間に一人挟んだ知り合いで、私と直接言葉も交わしている方のことですから本当です)。その会社が似たような惨事に見舞われた時、ドライに割り切っている社員は堅実に保身の為、いち早くお逃げになられることでしょう。派遣社員の如く上手に働いてくれるようでも、自社社員として『育たない』のです。


『競争は良くない事』

 特に今回の場合は債権取り立てですから、営業成績で追われるのはまず確実でしょう。記事内に有りました他業態の研修で行われるような『何故取り立てるのか(目指す目的地と勤務意義)』『どういった根拠で取り立てるのか(法律などの知識や判例)』『金の回り方(自社の利益、社員の給料捻出プロセス)』をじっくり叩き込んで『人材を育てる』手間と経費をけちって「さあ、お前ら今日もがっつり回収しろよー」と言われても、新入社員のモチベーションは下がる一方です。回収相手だって新人相手で舐めてかかりますし、おそらくメンタルケアも万全でない環境で「どうしてこの仕事をしているのだろう」「どうして数字を出さなければならないのだろう」「どうして数字が出ないのだろう」となるのは自明の理です。競争を仕掛けても効果は薄い世代ですから、いい事ありません。




 また、育てる事に力を入れない以上、『自然に出来る人』と『何故か出来ない人』に当然分かれていきます。

 昔、私が音楽家を目指した頃『絶対音感(固定ド)』という物がネックになりました。小さい頃からピアノを習わせてもらえなかった私は『相対音感(移動ド)』でしか曲を捉えられず大変苦労しましたが、絶対音感を持った方には、音が分からない人が『どうして分からないのか』がサッパリ分からないのだそうです。自分は分かるけれど、どうやって「こうだよ」と教えれば良いのか為す術が無い。

 そうなると、分からない人に『訓練』をさせるしかないのです。(音楽ではソルフェージュを行います)


 仕事に於いて、「分からなくても気合でなんとかしろ」でなんとかなるのはせいぜい、現在二十代後半ぐらいまでではないでしょうか。学校の指導要綱について詳細を調べずに適当な目測を付けましたが、だいたいその辺りではないかなと思っております。それより下の世代に対して「最近の若者は~」では済ませられない事情があるはずです。そこへ仮説・検証も行わずに記事を『突然辞めないで新人さん……(涙)』と締めくくられる事に、『なんと蒙昧に思考を放棄した、自論を発展させられない無責任な記事なのだろう』と正直怒りを抑えきれません。(近年私が他人をここまで責めるケースはほとんど無いつもりですが……)


 よく、『これだから、ゆとり世代は』と新人を馬鹿にしますが、私が思いますのは『それは、あなたにゆとり世代を育てる力がまだ身に付いていないだけだ』という事なのです。

 「シジミには砂が入っているから食べられないよ」なんて放り投げずに、一晩じっくり水に浸けておけば砂を吐いて、味噌汁に入れておいしく食べられるではありませんか!


 せっかく面接で選ばれた人材を採用して、さあ会社の次代を担ってもらおうという時に「そのまま味噌汁に入れたシジミが食べられない」と嘆く馬鹿馬鹿しさと言ったら!!




 また、随分と違う視点のお話になりますが、記事中では女子社員が突然辞められたケースなわけですが、男性視点としましては正直「借金の取り立てで出世する女性との結婚は御勘弁願いたいなぁ」と思ってしまいます。一般的に情緒豊かな女性が男性には大事にされる傾向が強いと思いますね。

 仕事で鬼のようにバリバリ債権を回収するのもその方の幸せ。しかし、決めた男性とゴールインして温かい家庭を築く方を幸せと感じる方もみえるかもしれません。


 もし、その方に決めた男性がみえて、他人を責めたりしない所に惚れられているのだとしたら。

 そのまま『説明を受けなかった(そんなつもりの展望で就職したわけではない)仕事』を続けるうちに「なんか君、変わっちゃったね」とお相手に去られてしまうのならば。


 『ちゃんと誠実に説明を受けた仕事』に移って、尚且つ温かい家庭に一生を捧げられる幸せを享受した方が、結果的に本人が満足出来る一生のようにも思えるのです。




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